番外編『クリス・アシュレイの肖像』(4)アップ。
短い髪は風ですぐに乾いた。
昨夜戻ったのは遅かったから、アシュレイ家の構造を碌に見ていない。
部屋を出て、広間からテラスへ歩み出しながら目を見張る。
何て光景。
目の前に息を呑むほど鮮やかな緑が広がっている。
待って待って待って。
混乱して瞬きを繰り返した。
だってまだほんの春先、遅く重々しくやってきた冬がようやく腰を上げて立ち去ろうとするような季節、ベビードールを身に着けたとき、暖房が効いていても一瞬鳥肌が立ったのを覚えている(すぐに暖房を切らなくではならなくなるほど暑くなるかもと震えたのは別として)。
今も薄青い天空から吹き付けてくる空気はひんやりとしていて、気を張っていなければ風邪を引いたかもと思えるぐらいなのに。
そして事実、背後に聳え立つアシュレイ家の建物の向こう側では、凍える風に少ない枯れ葉を吹き飛ばされて、なお寒々しい樹々しか見なかったというのに。
確かめに行こうかという想いは、テラスを辿って階段を降り出したとたん、すっかり消えた。
「なんて……緑」
昨夜戻ったのは遅かったから、アシュレイ家の構造を碌に見ていない。
部屋を出て、広間からテラスへ歩み出しながら目を見張る。
何て光景。
目の前に息を呑むほど鮮やかな緑が広がっている。
待って待って待って。
混乱して瞬きを繰り返した。
だってまだほんの春先、遅く重々しくやってきた冬がようやく腰を上げて立ち去ろうとするような季節、ベビードールを身に着けたとき、暖房が効いていても一瞬鳥肌が立ったのを覚えている(すぐに暖房を切らなくではならなくなるほど暑くなるかもと震えたのは別として)。
今も薄青い天空から吹き付けてくる空気はひんやりとしていて、気を張っていなければ風邪を引いたかもと思えるぐらいなのに。
そして事実、背後に聳え立つアシュレイ家の建物の向こう側では、凍える風に少ない枯れ葉を吹き飛ばされて、なお寒々しい樹々しか見なかったというのに。
確かめに行こうかという想いは、テラスを辿って階段を降り出したとたん、すっかり消えた。
「なんて……緑」
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登録日 2017.03.01 21:49
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