『ハートレイト』12アップ。
「事情はよくわからないんですが、私がたまたま入っていったときに、岩見さんの弟さんがおられて……しばらく話されていたんですけどね。私が他の患者さんと話し始めた後、岩見さんがトイレに立たれた間に、引き出しから通帳を出されたんですよ。あれ、と思って振り返ったら、にこにこ笑って、『大事なものはこんなところに置いておくべきじゃない。自分が預かることになった』って言われて…。看護師は刑事じゃないし、ましてや岩見さん、身内のことをあれこれ言われるのが嫌いな患者さんだったでしょう。だからこっちも、弟さんを疑うようなことを話せなくて…そのせいで、北野さんに迷惑がかかってるなんて、知らなかったんです、すいません」
「ううん……そうなのか…」
北野は医師に付き添われて出て行った岩見夫人の姿を思い出した。そのよろめくような足取りと、今呼吸器をつけてベッドに一人横たわっている岩見のことを思った。
岩見の側には誰もいないのだ。
そう思うと、岩見のところへ行くと言い残して席を立った、師長の気持ちがわかるような気がした。
「ううん……そうなのか…」
北野は医師に付き添われて出て行った岩見夫人の姿を思い出した。そのよろめくような足取りと、今呼吸器をつけてベッドに一人横たわっている岩見のことを思った。
岩見の側には誰もいないのだ。
そう思うと、岩見のところへ行くと言い残して席を立った、師長の気持ちがわかるような気がした。
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登録日 2017.05.12 01:03
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