『アンカー』1アップ(連載開始)
ベルを鳴らしてしばらくすると、深緑のドアがそっと開いた。
小さく丸い輪郭の中、ふわりと開いたどこか眠たげな穏やかな両眼が、広子を認めてほほ笑む。
「松井さんですか?」
「谷村さんですね。どうぞ」
招き入れられた玄関は質素だった。茶色の作り付けの靴箱、その上には時計と虫かごがある。女物のつっかけの側には子どもの靴が乱れている。
「散らかしててすみません」
「いえ…あの…」
広子は奥へ入り込む相手に誘われるようにパンプスを脱ぎかけ、思いとどまった。
「『ぱるぷ』に載っていた、松井さんですか」
くるりと松井は振り返った。
「はい」
にっこり笑う。
小さく丸い輪郭の中、ふわりと開いたどこか眠たげな穏やかな両眼が、広子を認めてほほ笑む。
「松井さんですか?」
「谷村さんですね。どうぞ」
招き入れられた玄関は質素だった。茶色の作り付けの靴箱、その上には時計と虫かごがある。女物のつっかけの側には子どもの靴が乱れている。
「散らかしててすみません」
「いえ…あの…」
広子は奥へ入り込む相手に誘われるようにパンプスを脱ぎかけ、思いとどまった。
「『ぱるぷ』に載っていた、松井さんですか」
くるりと松井は振り返った。
「はい」
にっこり笑う。
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登録日 2017.05.16 10:07
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