『密約』18アップ。
男は、氷川退蔵、といった。四十六歳。大都市から離れた小さな街からやってきた。
表向きは南大路製紙のパート作業員だが、本当は裏の施設で働いていて、もう十年そこそこになる。使っている溶剤のせいか、最近体の調子が悪くて、ここにいるのもそろそろ潮時かもしれないと考えながら入浴していた。
氷川が秋野さんを見つけたのは偶然だ。
一番面倒な廃液処理を終えて、夜食でも買いに行こうと、工場裏手の細い専用通路から出たら、川べりに秋野さんがうずくまっていたのだ。
実は、秋野さんを見たのは初めてではなくて、前にも一度、おかしなところにおかしな人間がいる、と気にはしていた。どう見ても大学生かそこら、友達と待ち合わせている雰囲気でも場所でもない。夜目に目立たない格好をしているのも引っ掛かった。
表向きは南大路製紙のパート作業員だが、本当は裏の施設で働いていて、もう十年そこそこになる。使っている溶剤のせいか、最近体の調子が悪くて、ここにいるのもそろそろ潮時かもしれないと考えながら入浴していた。
氷川が秋野さんを見つけたのは偶然だ。
一番面倒な廃液処理を終えて、夜食でも買いに行こうと、工場裏手の細い専用通路から出たら、川べりに秋野さんがうずくまっていたのだ。
実は、秋野さんを見たのは初めてではなくて、前にも一度、おかしなところにおかしな人間がいる、と気にはしていた。どう見ても大学生かそこら、友達と待ち合わせている雰囲気でも場所でもない。夜目に目立たない格好をしているのも引っ掛かった。
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登録日 2017.05.21 22:40
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