『桜の護王』12.召命(2) アップ。
春の月にしては清冽な、きんきんと痛いほど鮮やかな月だった。
その月を何かを思い出すようにしばらく見上げていた護王が、朱に染まった体をふらりと振り向かせた。
乱れた髪にも頬にも血が飛び散っている。瞳が赤々と光を放っている。血の涙がまた一筋二筋頬に伝う。死体を引きずって一歩ずつ宴の席に戻ってくる姿は一匹の修羅、思い出したように風に吹き乱されて散る桜吹雪の中、鮮血に染まる舞台のために闇の花道を辿ってくる。
「逃げるぐらいやったら……殺してみぃ……それまで…」
くく、と漏れた笑い声は地の底を這うほど昏い。
「一人ずつ嬲り殺したる……」
振った手が男の首をもぎ取った。放り投げられた首が篝火に紅の虹を描き、それを合図に護王が走り出す。
血の祝宴が、始まった。
その月を何かを思い出すようにしばらく見上げていた護王が、朱に染まった体をふらりと振り向かせた。
乱れた髪にも頬にも血が飛び散っている。瞳が赤々と光を放っている。血の涙がまた一筋二筋頬に伝う。死体を引きずって一歩ずつ宴の席に戻ってくる姿は一匹の修羅、思い出したように風に吹き乱されて散る桜吹雪の中、鮮血に染まる舞台のために闇の花道を辿ってくる。
「逃げるぐらいやったら……殺してみぃ……それまで…」
くく、と漏れた笑い声は地の底を這うほど昏い。
「一人ずつ嬲り殺したる……」
振った手が男の首をもぎ取った。放り投げられた首が篝火に紅の虹を描き、それを合図に護王が走り出す。
血の祝宴が、始まった。
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登録日 2016.10.16 19:31
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