最新話『第28話　捨てられた名と引き受けた任務』更新しました！
車に戻るとかなめは誠達に誠達が予想した通りかなめは三郎に何度も抱かれたと告白した。
三郎としては最上級の『女王様』を手に入れたつもりだったが、抱かれたかなめに言わせれば三郎がいつ殺されても仕方が無いような情報を聞き出す手段だったとかなめは自虐的な笑いを浮かべた。
そんなかなめにカウラはそんな任務を国で一番の姫君に与えた甲武軍を理解できないと言った。
それにかなめはカウラは甲武問国を分かっていないと言い切った。
甲武陸軍にとってかなめの家である西園寺家は憎んでも憎み切れない天敵だった。
かなめの祖父は陸軍の予備役の将校に三度のテロで爆殺されかけ最後のテロでかなめはその身体を失った。
かなめの父の右腕ともいえる陸軍大臣の醍醐の任官を拒絶し続けたのも『官派の乱』というかなめの父の挑発に乗って自分達が起こした内乱に負けたことへの腹いせだという。
内乱に敗れて外部への発言権を失った陸軍は恨みを内部の人間であるかなめに向けた。
そしてかなめに与えらられたのは娼婦として『租界』に潜入して甲武の利権を守る事だった。
カウラは政治的に勝利した父の名を借りれば拒否できたのではと尋ねた。
それに対してかなめは笑って当時は父に頼りたくないと突っ張っていたと言った。
そしてかなめが任務を拒否すれば派遣されるのは士族の生身のご令嬢だという。
生身の人間ならば心だけではなく身体も汚される上に生存確率も低い。
サイボーグでいくらでも体を交換可能な自分がその仕事をする方が生存確率が高い身体とかなめは笑った。
車は『租界』を出た。
そんな『租界』を見ながらかなめは生まれ育った御所よりもこの『租界』が今の自分を作ったのかもしれないと独り言を言った。

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