segakiyui

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『ラズーン』『そして別れの時』連載中。メルマガ『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー3』』『闇を闇から』『ドラゴン・イン・ナ・シティ』展開。

『古城物語』 9.エンディング 最終話アップ。 

 船は滑るようにラインの川面を進んで行く。風が少し冷たい。両岸に次々広がる美しい自然と古城や廃墟に、船の中から歓声とも溜め息ともつかぬものがあがる。
「凄いな」
 見上げた蒼く澄んだ空、その空を映して青く輝くライン川、両岸の幾重もの緑が重なり合い、あの迷路を思い出させる。
 ライン下り。
 完全な『ライン下り』は、スイス国境のバーゼルから河口に当たるオランダのロッテルダムまでの1300kmだが、俺と周一郎は、その中でも特に美しい、賊に『ロマンティック・ライン・コース』と呼ばれるマインツからコブレンツに至る、約90kmのライン下りを楽しんでいた。
 一つ、また一つと現れる城に、玲奈の面影が重なり、朋子の顔が過っていく。既にこの世にいない人々の思い出が、この風景には妙に合う。
 河の中央に立つプファルツ城塞を過ぎると、隣に居た周一郎が一枚の便箋を封筒から取り出した。
「何だ?」
「マリーネの書き置きです。死ぬ寸前、僕へ書き残していることがあるからと言っていました。僕なら、全てを理解してくれるだろうと」
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登録日 2016.10.30 21:49

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