『アシュレイ家の花嫁』《プロローグ》
『ありえないもの、廃虚に立つ青き虹』
「おっはよ!」
背後から明るい声が弾んで響き、紫陽芽理は笑顔になって振り返った。
「おはよ」
「聞いた? 『お客さん』だよ」
「ふうん。つまり、我が紫陽学園への寄付がまた増えるってわけだ」
紫陽学園園長の一人娘としてはついつい皮肉っぽく応じてしまう。
父の豪三の経営能力のなさはここ数年ますますはっきり証明されてきていて、園は慢性的赤字状態、その予算のほとんどを、金に飽かせて整えた設備に集まってくる生徒達の父母からの莫大な寄付金で賄っているのを知っているからだ。
だが、芽理のうんざりした顔にたじろいだふうもなく、声をかけてきた小坂鏡子が、にやっと意味ありげに笑った。
「何よ」
「美形、なんだって」
「いくつ?」
「21。も一つおまけに、外国人よお」
「へええ…」
芽理は思わず声を上げた。
「5歳上か。わざわざ外国から寄付に来るなんて、そんなにウチは有名だっけ」
肩をすくめてあきれて見せる。
「うっふっふ」
鏡子はおかしな笑い方をした。
「ただの寄付志望じゃないらしいよ」
「え?」
「名前は、マース・アシュレイ。ヨーロッパの小国の貴族なんだって。でね」
鏡子はなお嬉しそうに目を細めた。
「なんと、ここに来た目的というのが、花嫁探し、なんだって」
「花嫁ぇ?」
(何てロマンチックな…というより、時代錯誤ってやつ?)
「おっはよ!」
背後から明るい声が弾んで響き、紫陽芽理は笑顔になって振り返った。
「おはよ」
「聞いた? 『お客さん』だよ」
「ふうん。つまり、我が紫陽学園への寄付がまた増えるってわけだ」
紫陽学園園長の一人娘としてはついつい皮肉っぽく応じてしまう。
父の豪三の経営能力のなさはここ数年ますますはっきり証明されてきていて、園は慢性的赤字状態、その予算のほとんどを、金に飽かせて整えた設備に集まってくる生徒達の父母からの莫大な寄付金で賄っているのを知っているからだ。
だが、芽理のうんざりした顔にたじろいだふうもなく、声をかけてきた小坂鏡子が、にやっと意味ありげに笑った。
「何よ」
「美形、なんだって」
「いくつ?」
「21。も一つおまけに、外国人よお」
「へええ…」
芽理は思わず声を上げた。
「5歳上か。わざわざ外国から寄付に来るなんて、そんなにウチは有名だっけ」
肩をすくめてあきれて見せる。
「うっふっふ」
鏡子はおかしな笑い方をした。
「ただの寄付志望じゃないらしいよ」
「え?」
「名前は、マース・アシュレイ。ヨーロッパの小国の貴族なんだって。でね」
鏡子はなお嬉しそうに目を細めた。
「なんと、ここに来た目的というのが、花嫁探し、なんだって」
「花嫁ぇ?」
(何てロマンチックな…というより、時代錯誤ってやつ?)
コメント 0件
登録日 2016.11.02 12:03
0
件
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。