『桜の護王』14.鳴滝(1)アップ。
下に下に、ときおを胸に洋子はどんどん降下していく。さっきよりも数倍速く落ちていく。
自分の体から細かな霧のように光が背後に尾を引いて流れていくのがわかる。
「きれい…ですね」
泣きじゃくっていたときおがいつの間にか泣きやんで、うっとりとした声でつぶやいた。
(え?)
「とても……きれいだ……光の滝だ」
ときおは顔を上げ、洋子の胸に抱かれながら肩ごしにずっと洋子の後ろを見ている。大きな瞳が涙に潤んだままきらきらと光を跳ねている。気のせいか、その痩けていた頬がわずかに膨らみ赤みを増しているようだ。体もさっきよりふっくらと柔らかみを帯びた気がする。
「あなたの……子どもに生まれたかった」
ときおが低い声でつぶやいた。どきりとするほど大人びた声だ。
「あなたがぼくの母親であれば、きっとずっと楽に生きられただろう」
(ときお?)
「けれど、それではぼくはぼくの学びを全うできない」
少し目を閉じる顔がまた少し成長し大人びたように見えた。頬に涙がきらめきながら流れ落ちる。
「あなたは……光の母親だ……命を抱きとめ、命を護り、命を育てる……全ての母親……でも、だからこそ」
その顔にまだ不似合いな苦い微笑が広がった。
「あなたは『桜の護王』なんだ」
自分の体から細かな霧のように光が背後に尾を引いて流れていくのがわかる。
「きれい…ですね」
泣きじゃくっていたときおがいつの間にか泣きやんで、うっとりとした声でつぶやいた。
(え?)
「とても……きれいだ……光の滝だ」
ときおは顔を上げ、洋子の胸に抱かれながら肩ごしにずっと洋子の後ろを見ている。大きな瞳が涙に潤んだままきらきらと光を跳ねている。気のせいか、その痩けていた頬がわずかに膨らみ赤みを増しているようだ。体もさっきよりふっくらと柔らかみを帯びた気がする。
「あなたの……子どもに生まれたかった」
ときおが低い声でつぶやいた。どきりとするほど大人びた声だ。
「あなたがぼくの母親であれば、きっとずっと楽に生きられただろう」
(ときお?)
「けれど、それではぼくはぼくの学びを全うできない」
少し目を閉じる顔がまた少し成長し大人びたように見えた。頬に涙がきらめきながら流れ落ちる。
「あなたは……光の母親だ……命を抱きとめ、命を護り、命を育てる……全ての母親……でも、だからこそ」
その顔にまだ不似合いな苦い微笑が広がった。
「あなたは『桜の護王』なんだ」
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登録日 2016.11.13 00:42
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