『アシュレイ家の花嫁』8.運命の輪 アップ。
長い間、ずいぶんと長い間、マースは暗くて寒い場所を漂っていた。
(今度こそ、死ねたのかもしれない)
そう思うと、ほっとしたような気持ちと同時に、微かに胸が傷んだ。
『にいさま、とうさま、どこ?』
暗闇の中で小さな男の子が泣いている。肩で切りそろえた銀色の髪を振り乱し細い肩を震わせて。
(クリス……)
あれはいつのことだっただろう。確か父親が死んだと聞かされたときのことだったから、もう15年以上前になるか。泣き出してしがみついて、何度も何度もクリスは問うた。
『かあさまもとうさまも、どうしていなくなるの?』
『みんなどうしていなくなるの?』
『ぼくはどうしてここにいるの?』
『どうしてぼくだけずっとここにいるの?』
(僕がいるよ)
何度も答えては、小さな体を抱き締めた。
(僕がずっと側にいるよ)
それは成長しても変わらぬ約束、悪夢にうなされ怯えて眠れなくなるクリスが泣きながら部屋に駆け込んでくるたびに、抱きとめて繰り返したことばだったのに。
(今度こそ、死ねたのかもしれない)
そう思うと、ほっとしたような気持ちと同時に、微かに胸が傷んだ。
『にいさま、とうさま、どこ?』
暗闇の中で小さな男の子が泣いている。肩で切りそろえた銀色の髪を振り乱し細い肩を震わせて。
(クリス……)
あれはいつのことだっただろう。確か父親が死んだと聞かされたときのことだったから、もう15年以上前になるか。泣き出してしがみついて、何度も何度もクリスは問うた。
『かあさまもとうさまも、どうしていなくなるの?』
『みんなどうしていなくなるの?』
『ぼくはどうしてここにいるの?』
『どうしてぼくだけずっとここにいるの?』
(僕がいるよ)
何度も答えては、小さな体を抱き締めた。
(僕がずっと側にいるよ)
それは成長しても変わらぬ約束、悪夢にうなされ怯えて眠れなくなるクリスが泣きながら部屋に駆け込んでくるたびに、抱きとめて繰り返したことばだったのに。
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登録日 2016.11.14 23:19
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