『桜の護王』15.無限環(6)アップ。(個人サイトにて)
どれほど舞っていたのだろう。
零れた涙ももうかなりが闇に呑み込まれた。所作を繰り返し、幻の護王に気持ちも体もぴたりと重ねて舞っていれば、いるはずのない人、もう洋子がいたことさえ覚えていないだろう人の夢には僅かに届くようで、それがほのかに嬉しかった。
「そこまで」
ふいにはっきりとした声が響いて洋子は我に返った。
伸ばしていた両手の先に、見覚えのある割烹着の老婆が居て、にこにこと微笑んで闇の中に立っている。
気がつけば桜がどこにもなかった。散り落ちた花弁一つも見当たらないばかりか、いつの間にかそこはあの白い鳥居の中、岬のような崖の上になっている。
(あ…あれ?)
洋子はうろたえて周囲を見回した。
「見事な踊りでしたねえ。まるで天女のようでしたよ、舞いながら上へ上へと浮かび上がってきてね。金の衣を引きずりながら、光の道を開いてくれました。おかげで私も下にゆけ、この子を拾いあげられた」
零れた涙ももうかなりが闇に呑み込まれた。所作を繰り返し、幻の護王に気持ちも体もぴたりと重ねて舞っていれば、いるはずのない人、もう洋子がいたことさえ覚えていないだろう人の夢には僅かに届くようで、それがほのかに嬉しかった。
「そこまで」
ふいにはっきりとした声が響いて洋子は我に返った。
伸ばしていた両手の先に、見覚えのある割烹着の老婆が居て、にこにこと微笑んで闇の中に立っている。
気がつけば桜がどこにもなかった。散り落ちた花弁一つも見当たらないばかりか、いつの間にかそこはあの白い鳥居の中、岬のような崖の上になっている。
(あ…あれ?)
洋子はうろたえて周囲を見回した。
「見事な踊りでしたねえ。まるで天女のようでしたよ、舞いながら上へ上へと浮かび上がってきてね。金の衣を引きずりながら、光の道を開いてくれました。おかげで私も下にゆけ、この子を拾いあげられた」
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登録日 2016.11.27 20:58
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