『周一郎舞台裏』6.シーン203(2)アップ。
「おはようございます、垣さん」
どうしてここに、とか、なぜここに、とか言う問いは、佐野には愚問以外の何ものでもない。必要な時に必要なタイミング、必要な状態で現れる友樹家の守護神は、にこやかに微笑みながらことばを継いだ。
「それは修一さんの服ですね?」
「あ、はい」
「着替えはこちらにあります。15分だけ準備に時間を差し上げますから、急いで下さい」
柔らかいけれども断固とした命令に、溜め息まじりに呆れる。
「知ってたのか、佐野さん」
昨夜、姿を消した修一を探し回ることさえなかったのか。
「想像はつきます」
佐野は垣に着替えを渡し、代わりに濡れて持ち重りのするゴミ袋を受け取ると、嫌な顔一つせず、後部座席にそれを置いた。
「修一さんが1人でマンションを出る理由は2つ、父親か母親からの連絡か、あなたを訪ねるためです。陽一さんはまず連絡を入れませんし、雅子さんはあなたも知っている事情の通りです。たとえ、母親に呼び出されたとしても一緒には居られないでしょうし、すぐに帰される可能性が高い。修一さんは人目を引くし、メディアも黙っていませんからね。周囲のそういう動きはなかった。ならば、残る1つはあなたのところです。修一さんのジャケットがなくなっていたし、伊勢さんにあなたの住所を尋ねていたはずだから。傘は残っていました。修一さんはコンビニで傘を買うタイプではありません。昨夜の雨なら濡れ鼠でしょう」
サングラスの向こうから零れた笑みは艶やかだった。
どうしてここに、とか、なぜここに、とか言う問いは、佐野には愚問以外の何ものでもない。必要な時に必要なタイミング、必要な状態で現れる友樹家の守護神は、にこやかに微笑みながらことばを継いだ。
「それは修一さんの服ですね?」
「あ、はい」
「着替えはこちらにあります。15分だけ準備に時間を差し上げますから、急いで下さい」
柔らかいけれども断固とした命令に、溜め息まじりに呆れる。
「知ってたのか、佐野さん」
昨夜、姿を消した修一を探し回ることさえなかったのか。
「想像はつきます」
佐野は垣に着替えを渡し、代わりに濡れて持ち重りのするゴミ袋を受け取ると、嫌な顔一つせず、後部座席にそれを置いた。
「修一さんが1人でマンションを出る理由は2つ、父親か母親からの連絡か、あなたを訪ねるためです。陽一さんはまず連絡を入れませんし、雅子さんはあなたも知っている事情の通りです。たとえ、母親に呼び出されたとしても一緒には居られないでしょうし、すぐに帰される可能性が高い。修一さんは人目を引くし、メディアも黙っていませんからね。周囲のそういう動きはなかった。ならば、残る1つはあなたのところです。修一さんのジャケットがなくなっていたし、伊勢さんにあなたの住所を尋ねていたはずだから。傘は残っていました。修一さんはコンビニで傘を買うタイプではありません。昨夜の雨なら濡れ鼠でしょう」
サングラスの向こうから零れた笑みは艶やかだった。
コメント 0件
登録日 2016.12.11 13:04
0
件