『周一郎舞台裏』7.シーン307 (4)アップ。
空気が変わる。ふわりと自分を包む感覚に修一は戸惑う。
(これって確か)
あの時、カチンコが鳴った瞬間の気配。
『終ったぞ、修一! もう走らなくていい! いい画が撮れた、安心しろ!』
叫んだあの時の監督の声が聞こえた気がして振り返る。
「止まれ! 抵抗するなああ!」
いきなり背後の男達の回りにばらばらと飛び出してくる点があった。あっという間に数を増し、白い雪原を蹴散らすように次々と黒点が増えてくる。
「動くなあああ!」
響き渡る叫び、上がる雪煙。
(何…?)
「友樹君!」
その黒点の中から1人が、人間の形を取りながらこちらへ向かって走ってくる。
(僕の名前…?)
これは映画のシーンだろうか。
それとも、ぼやけた意識が生み出した記憶の海の中だろうか。
けれどそれなら、修一は役柄で呼びかけられるはずだ。
それともこれもまた、『友樹修一』という役柄の、映画の一コマなのだろうか。
「大丈夫か、友樹君っ!!」
大声で叫びながら、両手を振り回しながら、雪の中でじたばたしながら、それでもかなりの勢いで突進してくる姿に思わず呼んだ。
「垣…さん…っ」
(これって確か)
あの時、カチンコが鳴った瞬間の気配。
『終ったぞ、修一! もう走らなくていい! いい画が撮れた、安心しろ!』
叫んだあの時の監督の声が聞こえた気がして振り返る。
「止まれ! 抵抗するなああ!」
いきなり背後の男達の回りにばらばらと飛び出してくる点があった。あっという間に数を増し、白い雪原を蹴散らすように次々と黒点が増えてくる。
「動くなあああ!」
響き渡る叫び、上がる雪煙。
(何…?)
「友樹君!」
その黒点の中から1人が、人間の形を取りながらこちらへ向かって走ってくる。
(僕の名前…?)
これは映画のシーンだろうか。
それとも、ぼやけた意識が生み出した記憶の海の中だろうか。
けれどそれなら、修一は役柄で呼びかけられるはずだ。
それともこれもまた、『友樹修一』という役柄の、映画の一コマなのだろうか。
「大丈夫か、友樹君っ!!」
大声で叫びながら、両手を振り回しながら、雪の中でじたばたしながら、それでもかなりの勢いで突進してくる姿に思わず呼んだ。
「垣…さん…っ」
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登録日 2016.12.17 01:25
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