『未来を負うもの』8.攻防戦(1)アップ。
「なんだか、夜の病院って、こわいな」
先に立ってガラス戸を開けた仁の後ろから続きながら、さとるはおどおどと呟いた。
呼吸を弾ませているのは恐怖からだけではなく、たった今、仁を抱えて『飛んだ』せいもあるのだろう。
「受付に人がいない」
いくら夜間とはいえ、8時を過ぎた程度、緊急患者も来るだろうに、宮岸病院は奇妙に静かだった。
『受付』と書かれたコーナーのガラス戸の向こうにも、人の気配がない。振り返った夜の街がいつもと変わらぬ喧噪に満ちていて、玄関の向こうを次々と人が通っていくのに、この中だけは時の狭間に切り取られたみたいに誰も入らない、振り向こうとさえしない。
(ひょっとして、この病院そのものが、今は周囲と切り離されているのかもしれない)
『普通』の人間にはそれと気づかぬ、目に見えない結界でもって。
「仁…」
「うん、まっすぐ奥の方からだ」
「そこ、エレベーターがあるよ、ぼくらがいつも使うやつ」
「わかった」
先に立ってガラス戸を開けた仁の後ろから続きながら、さとるはおどおどと呟いた。
呼吸を弾ませているのは恐怖からだけではなく、たった今、仁を抱えて『飛んだ』せいもあるのだろう。
「受付に人がいない」
いくら夜間とはいえ、8時を過ぎた程度、緊急患者も来るだろうに、宮岸病院は奇妙に静かだった。
『受付』と書かれたコーナーのガラス戸の向こうにも、人の気配がない。振り返った夜の街がいつもと変わらぬ喧噪に満ちていて、玄関の向こうを次々と人が通っていくのに、この中だけは時の狭間に切り取られたみたいに誰も入らない、振り向こうとさえしない。
(ひょっとして、この病院そのものが、今は周囲と切り離されているのかもしれない)
『普通』の人間にはそれと気づかぬ、目に見えない結界でもって。
「仁…」
「うん、まっすぐ奥の方からだ」
「そこ、エレベーターがあるよ、ぼくらがいつも使うやつ」
「わかった」
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登録日 2017.01.12 00:53
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