『朱の狩人』7.リスク (1)アップ
喫茶店のドアがひどく重く感じられた。がららん、とうるさいカウベルが頭上で鳴るのに眉をしかめ、内田は頭を店に突っ込んだ。
急に降り出した雨のせいか、店の中は混み合っている。冷房をフル回転させているのに湿った粘りつくような暑さがなくならないと苛立ったような数人が入り口を振り返ったが、びしょ濡れでばたばたと水を滴らせている内田にまずいものを見たように急いで顔を背けた。
その中でたった1人、はっとしたようにレシートを掴んで席を立ち上がった者がいる。柔らかくウェーブをかけた華やかな顔だちの、紺野と同年代ぐらいの女性だ。
「内田……くん? そうでしょ?」
「あんたが、荒木尾真奈美さん?」
問いかけると相手は頷き、精算を済ませると内田を扉の外に押しやるように店を出た。
「あたしのマンション、この近くなの。いくら夏でもそのままじゃだめよ、いらっしゃい」
「いいのか?」
「子どもは余計な心配しないで」
真奈美は目を細めて笑った。
「侘しい1人暮らしよ、気にする人なんかいないって」
急に降り出した雨のせいか、店の中は混み合っている。冷房をフル回転させているのに湿った粘りつくような暑さがなくならないと苛立ったような数人が入り口を振り返ったが、びしょ濡れでばたばたと水を滴らせている内田にまずいものを見たように急いで顔を背けた。
その中でたった1人、はっとしたようにレシートを掴んで席を立ち上がった者がいる。柔らかくウェーブをかけた華やかな顔だちの、紺野と同年代ぐらいの女性だ。
「内田……くん? そうでしょ?」
「あんたが、荒木尾真奈美さん?」
問いかけると相手は頷き、精算を済ませると内田を扉の外に押しやるように店を出た。
「あたしのマンション、この近くなの。いくら夏でもそのままじゃだめよ、いらっしゃい」
「いいのか?」
「子どもは余計な心配しないで」
真奈美は目を細めて笑った。
「侘しい1人暮らしよ、気にする人なんかいないって」
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登録日 2017.02.09 21:17
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