【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~

夏芽空

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【7話】多くの感謝

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 オフェリアが魔術師団で働き始めてから、一週間が経った。
 
 日課の仕事である回復薬づくりはとても順調だ。
 ひとつの問題もなく、日々楽しく仕事ができている。
 
 だが今日の仕事は、回復薬づくりではない。
 
 オフェリアは今、アディールと一緒に馬車に乗っていた。
 向かっている先は、ラグドア王国の国境沿いの街――セプテアだ。
 
 今日の仕事は出張治療。
 セプテアは先日、邪悪な心を持つ魔物たちによる襲撃があった。
 多数の負傷者が発生しているとのことだ。
 
 彼らを治療すること。
 それが今日の、オフェリアの仕事だった。
 
 
 セプテアに馬車が到着した。
 馬車から降りた二人は、大きな教会に向かった。
 
 ここは今日の会場。
 出張治療は、この大きな教会を借りて行われる。

 教会の中に入ると、既に多くのケガ人がいた。
 
「治療はひとりずつ行う。彼女の前に縦一列に並んでくれ」

 アディールの声を受けて、ぞろぞろと人々が動き始める。
 長蛇の列ができた。

(これだけの人数にひとりずつ治癒の光をかけたら、ものすごく時間がかかってしまうわね。……ここは一気にやってしまいましょう)

 治癒魔法の効果範囲というのは、非常に狭い。
 ひとりずつかけるというのが常識だ。
 
 でも、治癒の光は治癒魔法とは違う。
 その常識にはとらわれない。

「今から一気に治癒します。みなさんその場から動かないでくださいね」
「そんなことが可能なのか!?」

 瞳を大きく見開いたアディールに、オフェリアは笑顔で頷いた。
 
 両手を合わせたオフェリアが瞳をつぶる。
 淡い光が教会全体を包み込んだ。

「おお! 治ってる!」「ホントだわ!」「すげぇ! なんて力だ!」

 教会中から歓喜の声が上がる。
 治癒の光によって、集まっていた人たちのケガは一瞬にして治った。

「なんということだ……。こんな大規模な治癒魔法は初めて見た。まさに奇跡だ」

 通常ではありえない広範囲の治癒。
 それを目の当たりにしたアディールは、ひたすらに驚いていた。
 
「ありがとうございます!」「あなたは女神様です!」「助かったぜ!」

 歓喜の声の次に上がったのは、いっぱいの感謝の声。
 
 それを受けて、オフェリアの口元が綻んだ。
 
 ラグドア王国では、どんなに仕事をしても感謝されることはなかった。
 特別な力を持っているんだからやって当然。むしろもっと頑張れ――誰も彼もがそんな態度で接してきた。
 
 こんな風に大勢の人に感謝してもらったのは、これが初めてだ。
 この人たちのケガを治せて良かった――心の底からそう思うことができる。
 
 隣ではアディールが楽しそうに微笑んでいた。
 その視線はオフェリアへ向けられている。
 
「どうしたのですか?」
「素敵な顔で笑うと思ってな」
「……」

 笑顔を褒められたのは初めてだ。
 顔に熱が集まってきてしまう。
 
(きっとお世辞よ!)
 
 そう思うようにするも、顔に集まった熱はしばらく消えてくれなかった。
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