【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~

夏芽空

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【12話】汚染の原因

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 クルーダからの依頼を受け、オフェリアはペルラ村を訪れていた。
 アディールも一緒だ。
 
 二人はまず村の現状を聞くために、ペルラ村の村長の家を訪ねていた。

「ワシはペルラ村の村長、ホイムじゃ。国王様から話は既に聞いておる。村の異変の調査にきてくれたんじゃろ。感謝するぞい」
「まずは現状のお話を伺ってもよろしいでしょうか?」

 オフェリアの言葉に、ホイムは大きく頷いた。

「これまでこの村は、多くの農作物が獲れる村じゃった。しかし半年ほど前から、急に不作になってしまっての。原因もわからず、お手上げ状態なんじゃよ」

 クルーダから聞いていた話とまったく同じだった。
 それ以外のことは、なにも掴んでいないのだろうか。

「この半年でなにか変わったことはありませんでしたか。どんなに小さなことでも構いません」

 ものごとには必ず理由があるはずだ。
 まずはそれを探る必要があった。

「この村の者たちは農作物を育てるときに近くを流れている川の水を使っておるのじゃが、半年ほど前にその川の上流で魔物が死んでいたんじゃ」
「それですよ!」

 魔物の死体が川に悪影響を及ぼした。その水を使ってせいで農作物が育たなくなった――そう考えれば納得できる。

「じゃがその死体は早々に片付けたぞ。それからしばらくは川の水は濁っておったが、今は元の綺麗な色に戻っておる。それに国に川の調査もしてもらったが、すべて正常値。問題は発見されなかった」

 ホイムはそう言うが、オフェリアはどうもひっかかっていた。
 
 原因があるとすれば恐らくそれだ。

 調査をしたというが、それが不十分だったという可能性がある。
 まだ問題が残っているのかもしれない。

「ホイムさん。私たちを川へ連れていってくれませんか?」

 真相を確かめるには、現地を確認する必要があった。


 三人は川へやってきた。
 
 一見すると綺麗な川だ。
 水は澄んでいるし、異臭もしない。
 
 なにひとつ問題がないように見える。
 
 だがオフェリアには、そうは見えなかった。
 真っ黒な水が流れている。
 
 真っ黒な部分は、恨みのこもった怨念だ。
 大量のそれが、川に溶け込んでいた。
 
 その出どころは、死んだ魔物のものとみていいだろう。
 
 怨念というのは、負の感情でできている。
 それが大量に溶け込んでいる水を使えば、農作物に悪影響が出るのも当然といえた。
 
 だが怨念があるかどうかというのは、普通の人間にはわからない。
 大天使の加護を持つオフェリアだからこそわかるものだ。
 
 調査で異常が出なかったのも、恐らくそれが原因だろう。
 
「農作物の不良の原因はこの川です」

 川に死んだ魔物の怨念が大量に溶け込んでいること。
 怨念は普通の人には見えないので調査をしても異常が出なかったこと。
 
 それらを二人に説明した。
 
「……ふむ。そういうことならすべての説明がつくのう」

 ホイムは頷いたが、すぐに険しい顔になった。
 
「じゃが、どうすれば怨念は消えるんじゃ。怨念を消す方法なんて、ワシは知らんぞ」
「俺もわからないな」

 顔を曇らせる二人。
 
 重い空気になりそうだったが、オフェリアは明るい笑顔を見せた。
 
「大丈夫です! これから私が浄化しますので!」

 大天使の加護の力の一つ、浄化の光。
 邪悪なものを消し去るこの力を使えば、川に溶け込んだ怨念をすべて浄化できる。
 
 川の水は綺麗になって、以前と同じ状態になるという訳だ。
 
 オフェリアが浄化の光を放った。
 金色の淡い光が、川全体に広がっていく。
 
 アディールとホイムは身を乗り出している。
 その神々しい光景に、魅入られているかのようだった。
 
 
 しばらくして、川に広がっていた淡い光が消える。
 浄化は無事に完了した。
 
「川の水に溶けていた怨念は綺麗に消えました。これでもう作物の不良はなくなるでしょう。元通りになりますよ」
「ありがとう! あなたは女神様じゃ!!」

 ホイムが大声を上げる。
 ボロボロと涙を流した。

「なんとお礼をしたらよいか!」
「お礼ならもういただきましたよ」
「え?」
「ありがとう! 、とそう言ってくれましたよね。その言葉だけで、私はもう十分ですから」

 ポカンとしているホイムに、オフェリアはニコッと笑った。
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