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【17話】お買い物のお誘い
しおりを挟む正午過ぎ。
王宮にある広大な庭園で、オフェリアはティグスとたわむれていた。
これはオフェリアの日課だ。
暇さえあれば、庭園を訪れてティグスをモフモフしていた。
今は昼休み。
ティグスの柔らかな毛並みをじっくりと堪能して、午後の仕事に向けて英気を養っているところだ。
「オフェリア、少しいいか?」
アディールがやってきた。
彼がここにくるのは珍しい――というか初めてだ。
いったいどうしたのだろうか。
「君に話があるんだ」
「なんでしょう?」
「……できれば二人だけで話がしたいのだが」
チラリ。
アディールがティグスへ視線を向ける。
「いいだろう。そういうことであれば我はしばし姿を消そう……ふふふ」
ティグスはなにかを含んでいるかのような笑い声を上げた。
そういうこと、とはどういうことだろうか。
「男女の仲を邪魔するような無粋な真似などしない。アディールよ、応援しているぞ」
「な、なにを言っているんだお前は! そういうことではないぞ!」
アディールが慌てた声を上げた。
顔が真っ赤になている。
それを見たティグスはニヤニヤ。
面白い反応をする、と最後に言ってから姿を消した。
「あの……今のはどういう意味ですか?」
アディールとティグスはわかり合っていたようだが、会話の内容も反応もオフェリアにはさっぱりだった。
だから聞いたというのに、
「さ、さぁな」
視線をそらしたアディールは、わざとらしく笑ってみせた。
ごまかしているのがバレバレだ。
(……ヘンなアディール様ね)
聞かれたら恥ずかしいことなのだろうか。
そういうことなら、教えてくれそうにない。
気になるが、オフェリアは諦めた。
「それで、お話というのは?」
「そうだった!」
アディールはハッとすると、顔を強張らせた。
少し緊張しているみたいだ。
「来週、二人で街に出かけないか?」
「どうしてですか?」
「毎日仕事ばかりでは疲れるだろう。たまには息抜きも必要だと思ってな」
その言葉には抑揚がない。
あらかじめ用意してかのような棒読みが飛んできた。
棒読みが気になるところではあるが、オフェリアはその気持ちが嬉しい。
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(やっぱりアディール様は最高の上司ね!)
ラグドア王国のときの上司では考えられないことだ。
「ぜひ行きたいです!」
大きな返事をする。
せっかくのアディールの心遣いを、断る理由なんてなかった。
それに、遊び目的で街に出かけるなんて初めてのことだ。
一度やってみたかった。
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