婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空

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【12話】緊急依頼

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 その日、依頼の完了報告に行くと、ギルドがいつもより騒がしかった。
 顔を見合わせたマリアとエリックは、互いに不思議そうな顔をする。

 そんな二人に、受付嬢のミーナが声をかける。
 
「お二人とも、ちょうどいいところに来られました。少しお時間よろしいですか?」
「どうしたのよ?」

 マリアとエリックは、ミーナのいる受付カウンターまで足を運ぶ。

「こちらをご覧下さい」

 机の下からミーナが取り出したのは、一枚の依頼書だった。
 
 依頼主は、行商人組合の会長。
 一番上には赤い文字で大きく、『緊急依頼』と書いてある。
 
(緊急依頼ってなにかしら?)
 
 初めて見る項目に、マリアは首を傾げる。
 
「緊急依頼と言うのは、その名の通り早急に対処すべき特別な依頼を指します。通常の依頼と異なり、受注人数に制限はありません」
「ふーん」

 マリアの声には、微塵の興味もこもっていなかった。
 
 早急に対処する必要があるということは、恐らくそれなりの難度があるのだろう。
 たがたがEランク冒険者のマリアが受注できるとは、到底思えない。

 そんなマリアの考えを見透したかのように、ミーナはいたずらっ子のような笑みをみせた。
 
「実はですね、この依頼、受注者の冒険者ランクは不問となっているんです」
「ふーん――うん? えっ、不問なの?」

 依頼書を手に取ったマリアは、受注条件の欄にグイっと顔を近づける。
 そこにはミーナの言う通り、『冒険者ランク不問』と記載されていた。
 
「つまりそれは、私たちでも参加できるっていうことよね?」
「はい、その通りです!」
「ありがとうミーナ! 持つべきものは、気の利く可愛い受付嬢ね!」

 身を乗り出したマリアは、カウンター越しにミーナの両手をギュッと握る。
 大きく興奮しながら、握った手をブンブン振る。

 はしゃいでいるマリアを横目に、エリックが口を開く。
 
「それでミーナさん、依頼内容はどういうものなんですか?」
「モンスターフォレストにいる魔物の討伐依頼よ」

 近頃、モンスターフォレストに住まう魔物の活動が活発になっているらしい。
 
 影響は森の中だけでなく、外にまで広がっているのだという。
 そのせいで森の外を走る荷馬車が襲われるという事件が頻発しており、行商人たちは頭を抱えているそうだ。
 
 できるだけ多くの魔物を間引くことで、被害を減らしたい。
 それが、この緊急依頼の目的だった。
 
「でも、どうして急に魔物が活発化したんですかね?」
「三か月くらい前かな。長いことモンスターフォレストのボスをしていたオーガがいたんだけど、誰かに討たれたらしいのよ。それで新たなボスの座を狙って、魔物が暴れているらしいわ」

 エリックとミーナの会話を、マリアは他人事のように聞いていた。
 
 ちなみに、ボスをしていたオーガを倒したのはマリアなのだが、本人はまったく気づいていない。
 
(二人の会話にケチを付ける訳じゃないけど、正直経緯なんてどうだっていいわ)

 強い相手と戦えるかどうか、マリアにとって大事なのはそれだけだ。
 それ以外は、大して気にならない。
 
「どうします? 緊急依頼を受注されますか?」
「この依頼を受ければ、強い魔物に出会えるかしら?」
「断言はできませんが、その可能性は非常に高いと思います。新たなボスの座を狙っているのは、森の中の魔物だけではありません。現在モンスターフォレストには、外からの魔物が大量に入ってきています。そのどれもが危険で、オーガを凌ぐ危険度を持つ魔物がいた、なんていう話もあります」

 ミーナは最後に、これに関しての信ぴょう性はあまりないですけど、自信無さげに付け加える。

「そう、それなら私の答えは決まっているわ」
 
 マリアは二ッと笑う。
 
 ミーナの話がもしガセだったとしても関係ない。
 強敵と戦える可能性が少しでもあるならば、そこに飛び込んでいくまでだ。
 
(オーガよりも強い相手か……ふふふ、今から楽しみだわ)
 
 新たな戦いの予感が、マリアの心にワクワクを生んだ。
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