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第ニ章
day.34
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久しぶりに周さんと再会した。
落ち込んでいた俺を気遣ってか、元気が無い時は甘い物がいいですヨ!とか言って、あれよあれよとカフェに連れて行かれてしまった。
そして今、何故か俺はメニューを見ている。
「ここはパフェが美味しいらしいですヨ。ささっ、遠慮なく頼んでくださいネ!」
真正面で、ニコニコと期待に満ちた笑顔を向けられると、今は何も食べたくないとも言えず、適当に注文を決める。
「あの、じゃあ、この今月のオススメのやつで…。」
「この桃とクリームたっぷりのやつですネ!わかりましタ!」
そう言うと、ささっと店員さんに注文してくれた。
昔少し接点があったからといって、こうして甘えるのは、正直気が引ける。
そういえば、周さんは冬悟の諏訪ホールディングス時代の秘書だったから、会社を辞めた今はもう冬悟の秘書ではないのかもしれない。
「あの、周さんって、今はもう冬悟の秘書じゃないんですよね?」
「いえいえ、私は今でも社長にはお世話になっておりますヨ。私はあの会社の秘書ではなく、社長の秘書ですのデ。」
「?」
どういうことなんだろう?冬悟の専属秘書ってことなのだろうか。
「細かいことは、気にしなくて大丈夫ですヨ。とにかく、今も社長の秘書をやらせていただいているということでス。」
「そうなんだ。」
そんなことを話していると、パフェが運ばれてきた。どうゾと勧められ、一口食べると、甘さが落ち込んだ心に染み渡り、少しだけど気持ちが軽くなった。
「そういえば奥サマ、何かあったんですカ?ずっと浮かない顔をされておりますガ。私でよければ、お話を伺いますヨ。誰かに話すことで、楽になるかもしれませんシ。」
心配そうにしながらも、俺が安心できるように優しく微笑んでくれる。
1人で抱え込むのは苦手なため、誰かに話したかった。
だから、そんな周さんに、思わず口が動く。
「実は…。」
先程の冬悟とのことを話すと、周さんは馬鹿にすることもなく、ゆっくりと頷いた。
「なるほど、そういったことがあったのですネ。まったく、あの方は本当に困った人ダ。それで、奥サマは、社長がご自身との関係をひた隠しにするのは、他人に公表するのが恥ずかしく、また奥サマだと認めたくないから、と思っていらっしゃるということですネ?」
コクッと頷くと、周さんは顎に手を当てて、何かを考え始めた。
俺の知らないところで、何か思い当たることでもあったのだろうかと、段々と不安になっていく。
しかし、周さんの口から次に出てきた言葉は、全く関係の無いことだった。
「失礼ですが、奥サマ、社長と何処かのパーティーなどにご出席されたことはありますカ?」
パーティーがどうしたんだろう?
質問の意図はわからないが、そんなことは一度もない。
だから、フルフルと首を横に振る。
すると周さんは、徐ろに自身の鞄から1枚の紙を取り出し、俺の目の前に置いた。
見るとそこには、“クルーズ船パーティー”との記載があった。
「クルーズ船パーティー?」
「はい、こちらは毎年7月に超富裕層向けに開催されております、クルーズ船パーティーでス。SNS等の公には一切公表されていない、完全クローズドパーティーとなっておりまス。こちらには、毎回各界の著名人や政治家も参加されておりまス。」
「ふ~ん…?」
どうして周さんは、俺に全く関係無さそうなこの話をしてくるんだろう。
そんな疑問を抱いたまま、ちらっと周さんを見ると、視線に気付いたのかニコッと微笑まれた。
「こちらのパーティーには、社長も出席いたしまス。私も、社長の同伴者として参加いたしまス。つきましては、奥サマ、私の同伴者として、こちらのパーティーに、社長に内緒で潜入してみませんカ?」
「えっ!?」
まさかのお誘いに、驚きのあまり手に持っていたスプーンを落としそうになる。
「俺が、そのパーティーに、参加するの!?」
思ってもみなかった展開に、流石に動揺した。
冗談じゃないかと思ったが、どうやら周さんは本気のようで、真っ直ぐに俺の目を見つめ、静かに頷いた。
「ハイ。そうすれば、社長が言うお金持ちの世界がどんなものなのか、そして、社長が何故奥サマとの関係をひた隠しにされるのか、きっとおわかりになるかと思いまス。」
この件と俺との関係を隠したいことに何か関係があるのだろうか。
ただ、俺はちゃんと冬悟の本当の気持ちを知りたい。いや、これから先も一緒にいるためには、知らなければいけないのだと思う。
そして、冬悟の気持ち次第では、俺達はもう一緒にはいられない。
そう思ったら、俺の答えは1つしかない。
「お願いします!俺をそのパーティーに連れて行ってください!」
バッと頭を下げると、周さんは困ったようにわたわたしてしまった。
「あぁ、奥サマ、どうかお顔を上げてくださイ!もちろん、喜んでお連れさせていただきまス!今回は私も参加いたしますので、精一杯サポートいたしまス。奥サマには、何人たりとも指一本触れさせませんので、ご安心くださイ。」
まさか、俺がパーティーというものに参加する日が来るなんて。
それに、周さんのサポートがあるのは、心強すぎる。
そっと顔を上げ、もう一度軽く頭を下げる。
「よろしくお願いします!」
「お任せくださイ。ただ、1つ問題がございましテ。」
とても言いにくそうにされ、何か重大な問題でもあるのかとゴクリと息を呑む。
「な、何でしょうか?」
「パーティーは5日後なのですが、それまでに奥サマには、最低限のマナーを覚えていただかなくてはなりませン。」
「ま、マナーだって!?」
突然現れた目の前の高い壁に絶句する。マナーなんてカテゴリーは、残念ながら、俺の脳味噌には存在していない。
果たして俺は、たったの4日間で無事に習得できるのだろうか。
落ち込んでいた俺を気遣ってか、元気が無い時は甘い物がいいですヨ!とか言って、あれよあれよとカフェに連れて行かれてしまった。
そして今、何故か俺はメニューを見ている。
「ここはパフェが美味しいらしいですヨ。ささっ、遠慮なく頼んでくださいネ!」
真正面で、ニコニコと期待に満ちた笑顔を向けられると、今は何も食べたくないとも言えず、適当に注文を決める。
「あの、じゃあ、この今月のオススメのやつで…。」
「この桃とクリームたっぷりのやつですネ!わかりましタ!」
そう言うと、ささっと店員さんに注文してくれた。
昔少し接点があったからといって、こうして甘えるのは、正直気が引ける。
そういえば、周さんは冬悟の諏訪ホールディングス時代の秘書だったから、会社を辞めた今はもう冬悟の秘書ではないのかもしれない。
「あの、周さんって、今はもう冬悟の秘書じゃないんですよね?」
「いえいえ、私は今でも社長にはお世話になっておりますヨ。私はあの会社の秘書ではなく、社長の秘書ですのデ。」
「?」
どういうことなんだろう?冬悟の専属秘書ってことなのだろうか。
「細かいことは、気にしなくて大丈夫ですヨ。とにかく、今も社長の秘書をやらせていただいているということでス。」
「そうなんだ。」
そんなことを話していると、パフェが運ばれてきた。どうゾと勧められ、一口食べると、甘さが落ち込んだ心に染み渡り、少しだけど気持ちが軽くなった。
「そういえば奥サマ、何かあったんですカ?ずっと浮かない顔をされておりますガ。私でよければ、お話を伺いますヨ。誰かに話すことで、楽になるかもしれませんシ。」
心配そうにしながらも、俺が安心できるように優しく微笑んでくれる。
1人で抱え込むのは苦手なため、誰かに話したかった。
だから、そんな周さんに、思わず口が動く。
「実は…。」
先程の冬悟とのことを話すと、周さんは馬鹿にすることもなく、ゆっくりと頷いた。
「なるほど、そういったことがあったのですネ。まったく、あの方は本当に困った人ダ。それで、奥サマは、社長がご自身との関係をひた隠しにするのは、他人に公表するのが恥ずかしく、また奥サマだと認めたくないから、と思っていらっしゃるということですネ?」
コクッと頷くと、周さんは顎に手を当てて、何かを考え始めた。
俺の知らないところで、何か思い当たることでもあったのだろうかと、段々と不安になっていく。
しかし、周さんの口から次に出てきた言葉は、全く関係の無いことだった。
「失礼ですが、奥サマ、社長と何処かのパーティーなどにご出席されたことはありますカ?」
パーティーがどうしたんだろう?
質問の意図はわからないが、そんなことは一度もない。
だから、フルフルと首を横に振る。
すると周さんは、徐ろに自身の鞄から1枚の紙を取り出し、俺の目の前に置いた。
見るとそこには、“クルーズ船パーティー”との記載があった。
「クルーズ船パーティー?」
「はい、こちらは毎年7月に超富裕層向けに開催されております、クルーズ船パーティーでス。SNS等の公には一切公表されていない、完全クローズドパーティーとなっておりまス。こちらには、毎回各界の著名人や政治家も参加されておりまス。」
「ふ~ん…?」
どうして周さんは、俺に全く関係無さそうなこの話をしてくるんだろう。
そんな疑問を抱いたまま、ちらっと周さんを見ると、視線に気付いたのかニコッと微笑まれた。
「こちらのパーティーには、社長も出席いたしまス。私も、社長の同伴者として参加いたしまス。つきましては、奥サマ、私の同伴者として、こちらのパーティーに、社長に内緒で潜入してみませんカ?」
「えっ!?」
まさかのお誘いに、驚きのあまり手に持っていたスプーンを落としそうになる。
「俺が、そのパーティーに、参加するの!?」
思ってもみなかった展開に、流石に動揺した。
冗談じゃないかと思ったが、どうやら周さんは本気のようで、真っ直ぐに俺の目を見つめ、静かに頷いた。
「ハイ。そうすれば、社長が言うお金持ちの世界がどんなものなのか、そして、社長が何故奥サマとの関係をひた隠しにされるのか、きっとおわかりになるかと思いまス。」
この件と俺との関係を隠したいことに何か関係があるのだろうか。
ただ、俺はちゃんと冬悟の本当の気持ちを知りたい。いや、これから先も一緒にいるためには、知らなければいけないのだと思う。
そして、冬悟の気持ち次第では、俺達はもう一緒にはいられない。
そう思ったら、俺の答えは1つしかない。
「お願いします!俺をそのパーティーに連れて行ってください!」
バッと頭を下げると、周さんは困ったようにわたわたしてしまった。
「あぁ、奥サマ、どうかお顔を上げてくださイ!もちろん、喜んでお連れさせていただきまス!今回は私も参加いたしますので、精一杯サポートいたしまス。奥サマには、何人たりとも指一本触れさせませんので、ご安心くださイ。」
まさか、俺がパーティーというものに参加する日が来るなんて。
それに、周さんのサポートがあるのは、心強すぎる。
そっと顔を上げ、もう一度軽く頭を下げる。
「よろしくお願いします!」
「お任せくださイ。ただ、1つ問題がございましテ。」
とても言いにくそうにされ、何か重大な問題でもあるのかとゴクリと息を呑む。
「な、何でしょうか?」
「パーティーは5日後なのですが、それまでに奥サマには、最低限のマナーを覚えていただかなくてはなりませン。」
「ま、マナーだって!?」
突然現れた目の前の高い壁に絶句する。マナーなんてカテゴリーは、残念ながら、俺の脳味噌には存在していない。
果たして俺は、たったの4日間で無事に習得できるのだろうか。
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