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職業 《 勇者 》
50話 コロッセオへ
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ジョセフィーヌ王女がドラゴン=ラードロの城で生きていた。
邪神幹部がそう語ったそうだが、真実か否か、そもそも教えた意図すらも分からないが、ピエール王や国民にとって少しばかりの希望になるのは確かだろう。
生きていたとしても無事かどうか、この先も生かされるのか、何の目的でさらったのかも不明なので迂闊な行動は控えなければならないのはこの先も同じ。しかし、どこに居るか分からずに敵を攻めきれない心配は無くなったのは大きな進歩と言える。
● ● ●
サンディーはひとまず騎士団詰め所の自然公園で暮らすことになった。幼体とはえいえ体が大きすぎるのと、舗装された道路を進んで地面を穴ぼこだらけにしないためだ。ただ、チカラの使い方が上手くなれば道路に被害を出さずに進むことができるとのことだ。
ついでに、ヒトの言葉は発せないもののコミュニケーションはとれるので、ある程度社会について学んだのち正式にアレッサンドリーテの住民に加わる事になるだろう。
* * * * *
「──つっかれたー!」
使い慣れ始めた宿屋のベッドに、モコモコで白い寝巻き姿のメーシャがダイブする。
体が沈むごとに大きく包み込んでくれる感覚は、地球のベッドも異世界のベッドも共通なようだ。
「……コカトリス戦で状態異常になりながら新技開発、全速力で移動してサイクロプスを撃破、そこからサンディーと激戦を繰り広げて仲間になり、ジョセフィーヌ王女生存という新情報入手、からのコカトリスの卵の保護ケースの購入……。今日は忙しかったですね」
ヒデヨシはベッド横の机にちょちょいと登り、そこにコカトリスの卵が入った円柱型をしたピンクの保護ケースを置く。
『その後メシもしっかり食べてたし風呂も終わらせたんだから言うことなし。俺様としてもよく頑張ったと言わざるを得ないな』
「……明日キマイラと戦うのか。イケるかな?」
メーシャが枕に顔を埋めたまま言う。
「不安ですか?」
ヒデヨシは机からメーシャの横に飛び移る。
「まあ、コカトリスともサンディーとも苦戦しちゃったし」
「でも、コカトリスは新技を習得するために制限してましたよね? サンドワームは砂漠の捕食者の頂点でヌシと言われるくらい強いモンスターですよね。キマイラもかつて大きな被害を出したとは言え、実際に暴れたのは魔法も武具も発達してない500~600年前ですし、大丈夫じゃないですか?」
縛りを課しての苦戦だったので、もし全力を出せていれば容易に勝てたに違いない。
『それに、確実なことは言えねえがサンディーは子どもとは言っても、自分で狩りができたり実践経験も見たところ豊富だったから、成体と遜色ない……っつーか、なかなか才能もありそうなんだよなぁ。
ま、それはそれとして、今までたくさん魔法にしてもスキルにしても修業してきたじゃねえか。今では7属性の初級魔法をフレンドリーファイアしないように撃てるし、スキルも増えたし、ジャッジメントサイスの威力も上がってきただろ?
そもそもキマイラと戦う時は仲間への被害とか考えなくて良いし、黄金のオーラの時と比べて素の強さは勝てなくとも、実力で言えば近いところまでいけるんじゃねえか?』
「……………………」
ふたりの言葉を聞いてメーシャがしばらく黙りこむ。
そして、すこーしだけ顔を上げてひとこと。
「ほんと?」
目だけしか見えていなかったが、メーシャの顔は笑顔になっていた。
『ほんとだ。邪神倒せるって思って勇者になるよう頼んだのに、メーシャがキマイラに負けるなんて思うわけねーよ』
「お嬢様は異世界に来てちょっと弱気になりましたか? 地球にいた頃は敵の数も年齢も体型も関係なく挑んでは勝ち星をあげていたじゃないですか。武道大会のトロフィーも何個もありますし。のびのび戦えば勝てない事なんてないんですよ」
デウスもヒデヨシもメーシャを信じているようだ。
「……そっか。そうかも! じゃあ、明日は今までで1番の圧勝を決めてやるし!!」
元気が戻ったメーシャはバッと顔をあげて明日への意気込みを語るのだった。
* * * * *
次の日。メーシャはキマイラの居るというアレッサンドリーテの遺跡のそばに来ていた。
ここは昔使われていたというコロッセオの跡地で、客席は所々崩れているものの戦場になっている中心部はたいらなままで戦いやすそうだ。
「メーシャちゃん、ダメそうならすぐに安全な場所に転移させるから教えてね……!」
カーミラは今回万が一の時のための付き添いだ。
「うん! まあ~勝っちゃうけどね。カーミラちゃんありがと」
今日のメーシャは自信満々でチカラもみなぎっている。準備運動のために手や足を振るたびにキラキラとした魔力の粒子がふわりと輝く。
「頼もしい。メーシャちゃん、この戦いが終わったら渡したいものがあるから楽しみにしてね」
「そうなの? 早めに勝っちゃわないとだね!」
「お嬢様、今言うのもなんですが灼熱さんが訓練とか洞窟の改築がひと区切りついたそうなので、近々こちらに合流できるそうですよ。オーク討伐の方も順調にいけば参加できるそうです」
ヒデヨシは今朝方入った連絡をメーシャに話す。もう言いたい言葉は昨日に言い切った。
「そっか。じゃあ先輩として色々教えてあげないとだ」
「キィキュッキュキュイキ! キュキュキュ!」
サンディーも応援に来てくれた。
「ありがと。でもタコ足は昨日食べたので最後だよ? …………また港とかありそうな所に足伸ばすか」
どうやら応援と同時にタコ足のさいそくもしていたようだ。
「キュキュ~!」
『メーシャ、俺様からはひとつだけ』
最後にデウスだ。
「なあに?」
『この世界にもメーシャの好きなタコ焼きみてーな料理があるぜ!』
「気の引き締まる言葉じゃないんかい!」
デウスの予想外の言葉に、メーシャが思わずツッコミを入れてしまった。
『へへっ、詳しくは言ってみてのお楽しみだな。……てかよ、気の引き締まる言葉なんていらねーだろ? 圧勝するんだから』
「確かに……! そんじゃ客席の皆さんは見逃さないように、瞬きに注意してご照覧あれだし~」
そう言って、メーシャはキマイラのたたずむ闘技場に飛び降りたのだった。
邪神幹部がそう語ったそうだが、真実か否か、そもそも教えた意図すらも分からないが、ピエール王や国民にとって少しばかりの希望になるのは確かだろう。
生きていたとしても無事かどうか、この先も生かされるのか、何の目的でさらったのかも不明なので迂闊な行動は控えなければならないのはこの先も同じ。しかし、どこに居るか分からずに敵を攻めきれない心配は無くなったのは大きな進歩と言える。
● ● ●
サンディーはひとまず騎士団詰め所の自然公園で暮らすことになった。幼体とはえいえ体が大きすぎるのと、舗装された道路を進んで地面を穴ぼこだらけにしないためだ。ただ、チカラの使い方が上手くなれば道路に被害を出さずに進むことができるとのことだ。
ついでに、ヒトの言葉は発せないもののコミュニケーションはとれるので、ある程度社会について学んだのち正式にアレッサンドリーテの住民に加わる事になるだろう。
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「──つっかれたー!」
使い慣れ始めた宿屋のベッドに、モコモコで白い寝巻き姿のメーシャがダイブする。
体が沈むごとに大きく包み込んでくれる感覚は、地球のベッドも異世界のベッドも共通なようだ。
「……コカトリス戦で状態異常になりながら新技開発、全速力で移動してサイクロプスを撃破、そこからサンディーと激戦を繰り広げて仲間になり、ジョセフィーヌ王女生存という新情報入手、からのコカトリスの卵の保護ケースの購入……。今日は忙しかったですね」
ヒデヨシはベッド横の机にちょちょいと登り、そこにコカトリスの卵が入った円柱型をしたピンクの保護ケースを置く。
『その後メシもしっかり食べてたし風呂も終わらせたんだから言うことなし。俺様としてもよく頑張ったと言わざるを得ないな』
「……明日キマイラと戦うのか。イケるかな?」
メーシャが枕に顔を埋めたまま言う。
「不安ですか?」
ヒデヨシは机からメーシャの横に飛び移る。
「まあ、コカトリスともサンディーとも苦戦しちゃったし」
「でも、コカトリスは新技を習得するために制限してましたよね? サンドワームは砂漠の捕食者の頂点でヌシと言われるくらい強いモンスターですよね。キマイラもかつて大きな被害を出したとは言え、実際に暴れたのは魔法も武具も発達してない500~600年前ですし、大丈夫じゃないですか?」
縛りを課しての苦戦だったので、もし全力を出せていれば容易に勝てたに違いない。
『それに、確実なことは言えねえがサンディーは子どもとは言っても、自分で狩りができたり実践経験も見たところ豊富だったから、成体と遜色ない……っつーか、なかなか才能もありそうなんだよなぁ。
ま、それはそれとして、今までたくさん魔法にしてもスキルにしても修業してきたじゃねえか。今では7属性の初級魔法をフレンドリーファイアしないように撃てるし、スキルも増えたし、ジャッジメントサイスの威力も上がってきただろ?
そもそもキマイラと戦う時は仲間への被害とか考えなくて良いし、黄金のオーラの時と比べて素の強さは勝てなくとも、実力で言えば近いところまでいけるんじゃねえか?』
「……………………」
ふたりの言葉を聞いてメーシャがしばらく黙りこむ。
そして、すこーしだけ顔を上げてひとこと。
「ほんと?」
目だけしか見えていなかったが、メーシャの顔は笑顔になっていた。
『ほんとだ。邪神倒せるって思って勇者になるよう頼んだのに、メーシャがキマイラに負けるなんて思うわけねーよ』
「お嬢様は異世界に来てちょっと弱気になりましたか? 地球にいた頃は敵の数も年齢も体型も関係なく挑んでは勝ち星をあげていたじゃないですか。武道大会のトロフィーも何個もありますし。のびのび戦えば勝てない事なんてないんですよ」
デウスもヒデヨシもメーシャを信じているようだ。
「……そっか。そうかも! じゃあ、明日は今までで1番の圧勝を決めてやるし!!」
元気が戻ったメーシャはバッと顔をあげて明日への意気込みを語るのだった。
* * * * *
次の日。メーシャはキマイラの居るというアレッサンドリーテの遺跡のそばに来ていた。
ここは昔使われていたというコロッセオの跡地で、客席は所々崩れているものの戦場になっている中心部はたいらなままで戦いやすそうだ。
「メーシャちゃん、ダメそうならすぐに安全な場所に転移させるから教えてね……!」
カーミラは今回万が一の時のための付き添いだ。
「うん! まあ~勝っちゃうけどね。カーミラちゃんありがと」
今日のメーシャは自信満々でチカラもみなぎっている。準備運動のために手や足を振るたびにキラキラとした魔力の粒子がふわりと輝く。
「頼もしい。メーシャちゃん、この戦いが終わったら渡したいものがあるから楽しみにしてね」
「そうなの? 早めに勝っちゃわないとだね!」
「お嬢様、今言うのもなんですが灼熱さんが訓練とか洞窟の改築がひと区切りついたそうなので、近々こちらに合流できるそうですよ。オーク討伐の方も順調にいけば参加できるそうです」
ヒデヨシは今朝方入った連絡をメーシャに話す。もう言いたい言葉は昨日に言い切った。
「そっか。じゃあ先輩として色々教えてあげないとだ」
「キィキュッキュキュイキ! キュキュキュ!」
サンディーも応援に来てくれた。
「ありがと。でもタコ足は昨日食べたので最後だよ? …………また港とかありそうな所に足伸ばすか」
どうやら応援と同時にタコ足のさいそくもしていたようだ。
「キュキュ~!」
『メーシャ、俺様からはひとつだけ』
最後にデウスだ。
「なあに?」
『この世界にもメーシャの好きなタコ焼きみてーな料理があるぜ!』
「気の引き締まる言葉じゃないんかい!」
デウスの予想外の言葉に、メーシャが思わずツッコミを入れてしまった。
『へへっ、詳しくは言ってみてのお楽しみだな。……てかよ、気の引き締まる言葉なんていらねーだろ? 圧勝するんだから』
「確かに……! そんじゃ客席の皆さんは見逃さないように、瞬きに注意してご照覧あれだし~」
そう言って、メーシャはキマイラのたたずむ闘技場に飛び降りたのだった。
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