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後悔する男
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「運が悪いってのはさ、さっき山岸と俺で飲んでた時に、たまたまやばい奴と鉢合わせしちまったんだ。そいつに目をつけられて、山岸だけが連れていかれた。今頃になって中学のころの因縁がぶりかえしたんだろうな・・・。」
そんなつもりはなかったが、あの場に京極を招いたのは自分だ。その結果 友人を窮地に送った事実に涼介は頭を掻きむしりたくなった。
今頃どんな目にあっているか・・・まさか行方不明になったり・・・
一瞬そんなことが頭をよぎったが、すぐに頭から追い出した。
その後も雪穂の問いは続いた。
「やばいのってなに、反社関係?でも私たちの学校はそういう人は入れないでしょう?」
「違うよ、そういうんじゃない。・・・京極。京極正臣だ。」
すると雪穂は一瞬 理解が遅れたようだが、
「えっ。京極・・・?それって松風会の?本当に?
山岸君って、幼稚舎組とかかわりがあるのはあなたぐらいなものでしょう?なんで学年も違う京極様が山岸君を?
因縁って、彼なにかやらかしたの?でも彼って、傍目にはそんなタイプには見えなかったと思うけれど。
真面目そうで、成績優秀で・・・落ち着いてて?
うん、なんていうか こう・・・良い意味で普通?」
そう 的確に友人を評したのを聞いて、俺は思わず笑ってしまった。
「はっ、実際あいつはホントにそういう奴なんだよな。
真面目だし、落ち着いてるっていうより・・・何というか、軸がぶれない奴なんだよなぁ。
努力は人一倍するけどαを意識してじゃない。特権を振りかざすΩへの妬みもない。
αとΩだらけの鶴水で、俺はあいつといるときは楽に息が出来たんだ。
あともちろん雪穂もな。」
軽い調子で言うと、雪穂もそれに合わせるように手のグラスを掲げて言った。
「光栄だわ、そう言ってもらえて。涼介に羽を交わしてもらえて私も幸運だったわよ?」
やがて俺は話し始めた。
「・・・京極が中等部に上がったとき、当時三年だった山岸に《羽の契り》を申し込んだの知ってるか?」
「何それ。初耳よ!αがβに契りを申し込むなんて聞いたことがないわ!?そもそも彼らは指輪を持ってないんだもの、契りを結ぶのは不可能だわ。一体どういうことなの?」
思った通り雪穂は驚きの声をあげる。それからハッとして、声を落とした。
「しかもそれが京極様だなんて。それが本当なら学園中 大騒ぎになっていたはずよ?
私でも知らないことを 何で涼介は知ってるのよ?」
雪穂は驚きながらも、それが本当のことなのか信じかねている様子だった。
そんな彼女から テーブルに置かれたワイングラスへと視線を移すと、俺はぽつりと言った。
「・・・たまたまその場に 俺はいたからな。」
そんなつもりはなかったが、あの場に京極を招いたのは自分だ。その結果 友人を窮地に送った事実に涼介は頭を掻きむしりたくなった。
今頃どんな目にあっているか・・・まさか行方不明になったり・・・
一瞬そんなことが頭をよぎったが、すぐに頭から追い出した。
その後も雪穂の問いは続いた。
「やばいのってなに、反社関係?でも私たちの学校はそういう人は入れないでしょう?」
「違うよ、そういうんじゃない。・・・京極。京極正臣だ。」
すると雪穂は一瞬 理解が遅れたようだが、
「えっ。京極・・・?それって松風会の?本当に?
山岸君って、幼稚舎組とかかわりがあるのはあなたぐらいなものでしょう?なんで学年も違う京極様が山岸君を?
因縁って、彼なにかやらかしたの?でも彼って、傍目にはそんなタイプには見えなかったと思うけれど。
真面目そうで、成績優秀で・・・落ち着いてて?
うん、なんていうか こう・・・良い意味で普通?」
そう 的確に友人を評したのを聞いて、俺は思わず笑ってしまった。
「はっ、実際あいつはホントにそういう奴なんだよな。
真面目だし、落ち着いてるっていうより・・・何というか、軸がぶれない奴なんだよなぁ。
努力は人一倍するけどαを意識してじゃない。特権を振りかざすΩへの妬みもない。
αとΩだらけの鶴水で、俺はあいつといるときは楽に息が出来たんだ。
あともちろん雪穂もな。」
軽い調子で言うと、雪穂もそれに合わせるように手のグラスを掲げて言った。
「光栄だわ、そう言ってもらえて。涼介に羽を交わしてもらえて私も幸運だったわよ?」
やがて俺は話し始めた。
「・・・京極が中等部に上がったとき、当時三年だった山岸に《羽の契り》を申し込んだの知ってるか?」
「何それ。初耳よ!αがβに契りを申し込むなんて聞いたことがないわ!?そもそも彼らは指輪を持ってないんだもの、契りを結ぶのは不可能だわ。一体どういうことなの?」
思った通り雪穂は驚きの声をあげる。それからハッとして、声を落とした。
「しかもそれが京極様だなんて。それが本当なら学園中 大騒ぎになっていたはずよ?
私でも知らないことを 何で涼介は知ってるのよ?」
雪穂は驚きながらも、それが本当のことなのか信じかねている様子だった。
そんな彼女から テーブルに置かれたワイングラスへと視線を移すと、俺はぽつりと言った。
「・・・たまたまその場に 俺はいたからな。」
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