生贄のように嫁いだ敵国で愛する人を見つけました

Adria

文字の大きさ
7 / 25

初夜①

しおりを挟む
「んっ、っあ……んんぅっ」

 レーリオの纏う雰囲気がいつもの柔らかなものから、男の欲を孕んだそれに変わる。
 歯止めが効かなくなるという言葉どおりに、息をつく暇もなく口内を貪られて苦しい。が、その余裕のない口付けが嬉しくてたまらなかった。

(レーリオ様のこのような余裕のないところ――はじめて見た気がします)

 その特別感に酔いながら口付けを深めていく。彼が今どんな顔をしているのか気になって薄く目を開くと、視線が絡み合った。


(あれ……?)

 目が合った時、一瞬だけレーリオの瞳が暗い紫色に見えた気がして目を眇める。その瞬間、部屋の照明が落ち、ベッドサイドにあるライトが灯った。

「え?」
「大丈夫。怖くないよ」

 急に部屋の明暗が変わったことに驚いてしまったエミリーを宥めるように、頭を撫でてくれる。微笑みかけてくれる彼の瞳は――いつもと同じピーコックブルーだった。やはり緊張から見間違えたのだと、エミリーはホッと胸を撫で下ろした。


「急に部屋が暗くなって……いよいよだと思うと、少し緊張してしまっただけです。気にしないでくださいませ」
「え? もしかして明るいほうが良かった? 私としてはそちらのほうが嬉しいけど」
「いいえ! 暗いほうでいいです!」

 慌ててぶんぶんと首を横に振ると、レーリオが笑う。

「明るいのは駄目です! 恥ずかしすぎて死んでしまいます」
「それは困るな」

 レーリオがくすくす笑いながら、エミリーの存在を確かめるように体に触れた。

「あっ!」
「エミリー、愛しているよ」
「わ、わたくしもっ」

 こくこくと何度も頷く。
 彼の吐く息も、体に触れる指も、全部熱い。触れられたところから徐々に熱が染み込んでいくのが分かり、そっと目を伏せた。


「んぅ……はぅ、っやぁん!」

 レーリオは頬から首筋――鎖骨へと手を這わせながら、再度口の中に舌を入れた。尖らせたレーリオの舌が上顎をなぞると、甘い吐息が喉の奥を震わせる。

(や、やだ、さっきから変な声ばかり出ちゃう……)

 恥ずかしいが口付けをされているので、手で口を覆うこともできない。エミリーが羞恥に耐えるようにぎゅっと目を瞑ると、彼の手がエミリーの胸を揉んだ。形を確認するかのように優しく揉まれると、肌と肌が触れ合う感触に心臓の鼓動が速くなっていく。

 レーリオが自分の胸を揉んでいる。羞恥と興味が混じり合い、そっと目を開いて彼を見ると、寝衣の合わせから手を入れ胸の先端を摘み上げられた。


「きゃっ」

 突然の刺激に思わず悲鳴のような声が漏れ出てしまう。すると、レーリオが唇を離して、胸の先端を捏ねながらエミリーの顔を覗き込んだ。

「ああ、エミリー。すごく可愛い。恥ずかしいの? でも声も顔も全部。隠すのはいけないことだよ」
「で、ですが、変な声が出てしまって……恥ずかしくて」
「花嫁になったらそういう姿を旦那様にすべて曝け出さなきゃならない決まりがあるんだよ。隠すのは罪深いことなんだよ。だから恥ずかしくても頑張ろうね。エミリーだって、色々な私を見たいと言ったよね? それは私も同じだよ。だから隠さないで」

(え……?)

 エミリーはレーリオの言葉に二、三度瞬きをした。
 そんな決まりがあるなんて知らなかった。それなら恥ずかしくても耐えなければ、レーリオに決まりも守れない妻だと、がっかりされてしまう。


「申し訳ございません……わたくし、罪深いことだなんて知らなくて……。頑張りますので許してください」
「エミリーは素直ないい子だね。以前とは違う純粋さがあって新鮮だよ。もっと悪いことを教えたくなっちゃうな」
「ひゃっ、あぁ……っ」

 上擦った声で呟くレーリオに緩やかに胸を揉みしだかれて、徐々に息が上がってくる。自然と甘い声が漏れ出てしまうが、我慢をするのは悪いことだ。


「可愛い。声が恥ずかしいなら口付けをしようか」
「は、はい」

 頷くと、唾液を纏ったレーリオの舌が口の中に入ってきて、まるで生き物みたいにうごめく。舌のつけ根から先までをゆるくなぞられて、唇の隙間からくぐもった声が漏れた。

「はっ、んっ……ふ、ふぅ、ん」
「エミリーからも舌を絡ませてみようか」
「ふぇっ、は、はいっ」

(えっと、こうかしら?)

 レーリオの舌の動きを真似るように、おずおずと彼の舌に自分の舌を絡ませると、とろりと唾液を喉に流し込まれた。その途端、全身が熱くなり、下腹部がずくりと疼く。


「ひうっ、あっ……ぁあっ、何? あつい……熱いの」
「はぁっ、本当にたまらないな。以前は邪魔をされたが、もう絶対に離さない。もう二度と奪わせたりしないから」
「……ふ、っぅ、やだぁ……変なのっ」

 レーリオの口付けで頭がうまくまわらない。唇を離していやいやと首を横に振ると、レーリオが「よしよし、大丈夫だよ」と頭を撫で、胸の先端を摘み上げた。そして寝衣の腰紐をするりとほどかれる。


「きゃあっ!」

 乳房がまろび出て、慌てて寝衣の合わせを手繰り寄せ、体を隠す。恥ずかしくてたまらないのに、彼は感嘆の息を漏らし胸の谷間に顔をうずめてきた。

 エミリーが隠しているのもお構いなしに、すりすりと頬擦りをする。胸にレーリオの熱い息がかかって思わず身を捩ると、彼が肌を吸った。


「んっ」

 そのわずかな刺激に反応してしまうと、レーリオが布越しに胸の先端を摘んで、くりくりと弄ってきた。布越しの摩擦が気持ちいい。


「エミリー。隠しちゃいけないよ」
「あ、ごめんなさい……」
「いいよ。少しずつ慣れていこう」

 上目遣いで見つめてくる彼に、こくんと頷く。

 彼は優しい。花嫁の決まりも守れない自分に呆れることなく、待ってくれる。
 エミリーが掴んでいる寝衣から手を離すと、レーリオが嬉しそうに笑う。その目がまるで褒められているようで安堵の息をつくと、太ももを撫であげられた。


「あ……だめ……」

 触れてくる彼の手が大きくて熱い。
 思わず太ももを撫でる彼の手を押さえてしまうと、レーリオの舌が露わになった乳房の曲線を舐り、先端を舌の先でつついてくる。そしてしゃぶりついた。もう片方の胸は寝衣の上から指で摘まれる。


「ひゃぁ……は、ぁ、ああっ」

 尖らせた舌先で胸の先端をくりくりと転がしたかと思うと、たっぷりの唾液を纏わせた舌で舐められて、背中が弓なりにしなった。

 体がびくびくと跳ねるのが止められない。目を瞑って見ないようにしているはずなのに、自分が何をされているのか――分かってしまう。

 レーリオは胸の先端を口に含み、まるで食べるみたいに舌で転がしたり、吸いついたりしてくる。まるで味わわれているみたいで恥ずかしいのに、気持ちがよくてたまらない。体が勝手に反応して、自然と感じいった声が出てしまう。


(夫婦の交わりって、こんなにも恥ずかしくて気持ちのいいものだったんですね……)


「エミリー、ここも触っていい?」
「え? ま、待って……」

 レーリオは、エミリーの返事を聞く前に胸の先端を弄っていた手をすべらせた。太ももの内側を撫で、脚を左右に開かせようとしてくる。恥ずかしくて脚に力を入れて寄せると、咎めるように胸の先端に甘く歯を立てられた。

「ひゃんっ」

 びくんと身を竦ませた隙をついて、レーリオが脚の間に体を滑り込ませた。そこに陣取られては脚を閉じたくても閉じられない。

(わ、わたくしったら、つい隠すようなことを……。いけません。妻として全部を見せなければ)

 覚悟を決めてレーリオを見つめると、彼が微笑んでくれる。そしてまだ誰にも見せたことのない秘所に触れた。花弁を割り開くように指を動かされると、くちゅっという卑猥な水音が耳に響く。


「いい子だね。とてもよく濡れている。唾液に含ませた魔力に催淫効果を混ぜておいたけど、必要なかったかな」
「さいいん? え? なんですか?」

 言われていることが分からなくて、不安げに彼を見ると、「なんでもないよ」といつもの笑顔で笑ってくれる。その笑顔にホッとすると、レーリオの指がまた動き出した。

「あ……っ、ああっ」

 とろとろに濡れたそこをくるくると撫でられ、花芽にあふれる蜜を塗りつけるように触れられる。


(やだ、そんなとこ……)

 レーリオが触れるたびに、体の奥からじわっと何かが滲み出てきて腰が浮いた。手を伸ばして彼の手を掴み、「待って」とお願いすれば宥めるように口付けをしてくれる。でも彼の手は止まらない。
 唇を食んで舌をすり合わせて、敏感な花芽を円を描くように撫でたり、引っ掻いたりしてくる。そこを中心に甘い痺れが広がってきて、エミリーはレーリオの胸を震える手で押した。が、伝わらなかったのか、彼は指の動きを止めてくれない。


「ああ、ふぁっ……ひぅっ」

(これ駄目……。体が変になってしまいそう)

 言葉でを訴えたくても、唇が塞がれていてできない。自分の体を内側から支配するあつい熱と疼きに、どうにかなってしまいそうだ。自分の体なのに、まるで操られているかのように思い通りにならない。

 エミリーは初めて経験する感覚に――レーリオにしがみつきながら、必死で耐えた。すると、二本の指で花芽をきゅっと摘まれて、腰がびくっと引ける。でもすぐにレーリオの左手に腰を押さえつけられ引き寄せられた。

 そしてエミリーの口内をねっとりと舐めまわしてから、唇を離す。


「エミリー。慣らすために指を挿れるよ」
「ふぇっ?」

 彼がくれる快感にとろんとしていると、彼の指が花弁の奥に隠された蜜口に触れる。ほぐすように丹念に指でなぞり、ゆっくりと中に入ってきた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!

エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」 華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。 縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。 そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。 よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!! 「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。 ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、 「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」 と何やら焦っていて。 ……まあ細かいことはいいでしょう。 なにせ、その腕、その太もも、その背中。 最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!! 女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。 誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート! ※他サイトに投稿したものを、改稿しています。

処理中です...