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第一章 First love
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ばったり偶然は花火大会の日にやってきた。
蜜の家は花火の会場からは離れているけれど高台にあるからけっこうきれいに見える。
裏花火と呼ばれて、公園でのんびり眺めたり車でやってきたりする人も多かった。
蜜の仕事はそんな花火客のために開かれる臨時店舗でかき氷やラムネや和菓子を売ることだった。
つめたく冷やした和菓子は結構人気で、この日のためだけの花火をイメージした水まんじゅうが一番人気だ。それとわらび餅。
丁寧に作られたお菓子は他の屋台のものとは全然違うと口コミで評判が広がっている。
花火が始まるまえの夕方くらいから浴衣をきて店に立った。他にも手伝いのパートさんが数人。
氷を張ったアイスボックスにラムネや冷やし抹茶を入れておく。
それと冷蔵ケースに入れたお菓子を少しずつ並べ、なるべく冷たい状態をキープさせる。
テントの中にいるとはいえ蒸し暑い。
帯に差したうちわであおぎつつ店番をしていたら「あれ」と声がかかった。
「蜜?」
見ると周防である。
休日のラフなかっこうをした周防を初めて見たけど、優しいお兄さんという風情でドキドキしてしまった。
無造作に散らした髪型も先生用のきっちり整えられたものとは違ってすごくいい。
リラックスした格好の方が似あっている。
「先生、どうしたんですか?」
平静を装って声をかけると周防はテントの中の商品をじっと見て「買い物に来たに決まってる」ときっぱりとした口調で言った。
「ゆめのやの花火大会限定のお菓子だぞ。買わないという選択はない」
揺るがないゆめのや愛。
蜜はクスクスと笑いながらも心がチクりと痛んだ。
周防に会える口実にしたゆめのやだけど、やっぱり父の顔がちらついて胸がざわつく。蜜に会いに来たわけじゃないってわかっているけど、はっきりとそういわれるのもきつい。
だけどそれをうまく飲み込みながら「どれにしますか?」と商売を始めた。
「ちなみにこれが今年初のお菓子。花火ゼリー」
丸い容器の中に花火を彩った果物が入ったフルーツゼリーだった。
「じゃ、まずはそれ。あとは水まんじゅうと、わらび餅……いや、いっそ全部……」
「はーいお買い上げありがとうございます!」
真剣に悩んでいる周防をからかう様に全部の種類を袋に詰めると、周防は怒るどころか満足したようにそれを受け取った。
「うん、今日はこれから見回りなんだよ。そのご褒美に用意するお菓子だから全買いで正解だな」
「なんぼ食べる気ですか」
呆れたように笑うと周防はじっと蜜を見た。
蜜の家は花火の会場からは離れているけれど高台にあるからけっこうきれいに見える。
裏花火と呼ばれて、公園でのんびり眺めたり車でやってきたりする人も多かった。
蜜の仕事はそんな花火客のために開かれる臨時店舗でかき氷やラムネや和菓子を売ることだった。
つめたく冷やした和菓子は結構人気で、この日のためだけの花火をイメージした水まんじゅうが一番人気だ。それとわらび餅。
丁寧に作られたお菓子は他の屋台のものとは全然違うと口コミで評判が広がっている。
花火が始まるまえの夕方くらいから浴衣をきて店に立った。他にも手伝いのパートさんが数人。
氷を張ったアイスボックスにラムネや冷やし抹茶を入れておく。
それと冷蔵ケースに入れたお菓子を少しずつ並べ、なるべく冷たい状態をキープさせる。
テントの中にいるとはいえ蒸し暑い。
帯に差したうちわであおぎつつ店番をしていたら「あれ」と声がかかった。
「蜜?」
見ると周防である。
休日のラフなかっこうをした周防を初めて見たけど、優しいお兄さんという風情でドキドキしてしまった。
無造作に散らした髪型も先生用のきっちり整えられたものとは違ってすごくいい。
リラックスした格好の方が似あっている。
「先生、どうしたんですか?」
平静を装って声をかけると周防はテントの中の商品をじっと見て「買い物に来たに決まってる」ときっぱりとした口調で言った。
「ゆめのやの花火大会限定のお菓子だぞ。買わないという選択はない」
揺るがないゆめのや愛。
蜜はクスクスと笑いながらも心がチクりと痛んだ。
周防に会える口実にしたゆめのやだけど、やっぱり父の顔がちらついて胸がざわつく。蜜に会いに来たわけじゃないってわかっているけど、はっきりとそういわれるのもきつい。
だけどそれをうまく飲み込みながら「どれにしますか?」と商売を始めた。
「ちなみにこれが今年初のお菓子。花火ゼリー」
丸い容器の中に花火を彩った果物が入ったフルーツゼリーだった。
「じゃ、まずはそれ。あとは水まんじゅうと、わらび餅……いや、いっそ全部……」
「はーいお買い上げありがとうございます!」
真剣に悩んでいる周防をからかう様に全部の種類を袋に詰めると、周防は怒るどころか満足したようにそれを受け取った。
「うん、今日はこれから見回りなんだよ。そのご褒美に用意するお菓子だから全買いで正解だな」
「なんぼ食べる気ですか」
呆れたように笑うと周防はじっと蜜を見た。
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