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第二章 Lion Heart
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家へ帰ると蜜はそのまま二階にある自分の部屋へと駆け上がった。
周防とキスをした日は恥ずかしくて家族にばれるんじゃないかとハラハラする。
きっと顔も赤い。
心臓も高鳴ったままだ。
周防のキスは優しい。
触れ合った唇の柔らかさを感じているうちに周防の体温が伝わってきてとろけてしまう。
あのまま周防に飲み込まれてもいいと思う。
もっと激しく求めてくれたら。貪りつくすように蜜を求めてくれたら。
だけど絶対にそういうことはしないからと誓ったように、小さなキスだけが2人の間にある。
それだけでも十分だとは思う。
片思いで辛かった日々を思えば一緒にいて思い出を重ねることが出来るだけで満足しなきゃ。
だけどもっと周防を欲しいと思ってしまう蜜もいる。
恋人同士がどんなことをするのか知らないわけじゃない。きっと周防だって過去の恋人たちとはそういう経験もしてきてるだろう。
聞いたことはないけど、周防がずっとフリーだったとは考えられない。絶対にモテてる。
もし蜜がもっと大人だったら。
もしくは生徒じゃなかったら。
考えても無駄なことがいつだって頭をよぎる。
「蜜ご飯は?」
モダモダする思考を遮る母の声がして蜜は「今行く」と答えた。
鏡をみて普段と同じ顔なことを確かめてからリビングへと降りた。
キッチンで食事の用意をしてくれる母は周防の過去を知っている。聞けばきっと教えてくれるだろうけど聞きたくはない。
それに周防に好かれていた父にヤキモチを焼いてしまいそうだし。
過去は過去。
今は蜜を選んでくれた周防を信じてついていこうと決めたのだ。
「最近遅いけど大丈夫?」
ご飯をよそいながら母に聞かれて何でもないことのように答えた。
「ん~、委員会がね。忙しくて」
「へー。図書委員でしょ。商売繁盛ですか」
「今年になってからめちゃくちゃ混むんだよね。聞かれることばかりで結構大変」
「おや。それは可愛い蜜効果じゃないですか?」
蜜大好き母がニヤニヤとしながら問いかける。食べかけていたご飯を噴き出しかけて「やめてよ」と睨みつけた。
「親ばかが過ぎませんか」
「だって~私に似て蜜ってば可愛い顔をしてるんだもの。モテないはずがないしね。そういえばこの前蜜先輩いませんかって中学の制服を着た子がお店に来てたわ」
初耳である。
「そういうの全部断っておいて」
「えーいい子がいるかもよ」
「いや、いらないから」
いい人はもうとっくにいるのだ。
その人も蜜を選んでくれた。両親にはまだ言えないけど、他の人に全く興味はない。
「ふーん。青春しないんだ」
つまらなさそうに唇をとがらず母を置いて蜜は「ご馳走様でした」と席をたった。この話題につき合っていたらついうっかり口を滑らせてしまいそうだ。
両親が周防を信頼しているのは知っているけど息子の恋人となればどんな反応をするのかわからない。何も言われたくないから関わらないに限る。
「あん。蜜もっと話しようよ」
「ごめん宿題あるから。父さんと話してて」
やだーさみしいーと泣く母を置いて蜜は部屋へと戻った。
父と再婚して三和が産まれてからも母は蜜をかまいたがる。可愛い大好きと子供の時と変わらない愛情を示してくれるのは嬉しいけれど今はもう恥ずかしいからやめてほしい。
言うとすねるから黙っているけども。
置いたままにしていたスマホに周防から着信がないかと思ったけど何も残っていない。
くだらない会話がつづくクラスのメッセージがいくつも連なっているだけだった。
今頃先生は何をしているんだろう。
もう家へと帰っただろうか。そういえば周防のプライベートは謎に包まれている。何も話してくれないから聞けないでいるけど、どんな家でどんなふうに過ごしているんだろう。
いつかそれも知ることが出来るんだろうか。
付き合ったばかりの今は知らないことの方が多すぎる。
「先生のことをもっと知りたいよ」
言えば教えてくれるのかもしれない。
だけどどこか隠されている気持ちになるのは蜜がまだ子供だからか。同じ立場だったら、例えば小石川のようだったら違うんだろうか。
両想いと分かってからも不安はいつも隣にある。
周防にもっと近づきたいのに。それを許してもらえない壁があるのは気のせいだろうか。
周防とキスをした日は恥ずかしくて家族にばれるんじゃないかとハラハラする。
きっと顔も赤い。
心臓も高鳴ったままだ。
周防のキスは優しい。
触れ合った唇の柔らかさを感じているうちに周防の体温が伝わってきてとろけてしまう。
あのまま周防に飲み込まれてもいいと思う。
もっと激しく求めてくれたら。貪りつくすように蜜を求めてくれたら。
だけど絶対にそういうことはしないからと誓ったように、小さなキスだけが2人の間にある。
それだけでも十分だとは思う。
片思いで辛かった日々を思えば一緒にいて思い出を重ねることが出来るだけで満足しなきゃ。
だけどもっと周防を欲しいと思ってしまう蜜もいる。
恋人同士がどんなことをするのか知らないわけじゃない。きっと周防だって過去の恋人たちとはそういう経験もしてきてるだろう。
聞いたことはないけど、周防がずっとフリーだったとは考えられない。絶対にモテてる。
もし蜜がもっと大人だったら。
もしくは生徒じゃなかったら。
考えても無駄なことがいつだって頭をよぎる。
「蜜ご飯は?」
モダモダする思考を遮る母の声がして蜜は「今行く」と答えた。
鏡をみて普段と同じ顔なことを確かめてからリビングへと降りた。
キッチンで食事の用意をしてくれる母は周防の過去を知っている。聞けばきっと教えてくれるだろうけど聞きたくはない。
それに周防に好かれていた父にヤキモチを焼いてしまいそうだし。
過去は過去。
今は蜜を選んでくれた周防を信じてついていこうと決めたのだ。
「最近遅いけど大丈夫?」
ご飯をよそいながら母に聞かれて何でもないことのように答えた。
「ん~、委員会がね。忙しくて」
「へー。図書委員でしょ。商売繁盛ですか」
「今年になってからめちゃくちゃ混むんだよね。聞かれることばかりで結構大変」
「おや。それは可愛い蜜効果じゃないですか?」
蜜大好き母がニヤニヤとしながら問いかける。食べかけていたご飯を噴き出しかけて「やめてよ」と睨みつけた。
「親ばかが過ぎませんか」
「だって~私に似て蜜ってば可愛い顔をしてるんだもの。モテないはずがないしね。そういえばこの前蜜先輩いませんかって中学の制服を着た子がお店に来てたわ」
初耳である。
「そういうの全部断っておいて」
「えーいい子がいるかもよ」
「いや、いらないから」
いい人はもうとっくにいるのだ。
その人も蜜を選んでくれた。両親にはまだ言えないけど、他の人に全く興味はない。
「ふーん。青春しないんだ」
つまらなさそうに唇をとがらず母を置いて蜜は「ご馳走様でした」と席をたった。この話題につき合っていたらついうっかり口を滑らせてしまいそうだ。
両親が周防を信頼しているのは知っているけど息子の恋人となればどんな反応をするのかわからない。何も言われたくないから関わらないに限る。
「あん。蜜もっと話しようよ」
「ごめん宿題あるから。父さんと話してて」
やだーさみしいーと泣く母を置いて蜜は部屋へと戻った。
父と再婚して三和が産まれてからも母は蜜をかまいたがる。可愛い大好きと子供の時と変わらない愛情を示してくれるのは嬉しいけれど今はもう恥ずかしいからやめてほしい。
言うとすねるから黙っているけども。
置いたままにしていたスマホに周防から着信がないかと思ったけど何も残っていない。
くだらない会話がつづくクラスのメッセージがいくつも連なっているだけだった。
今頃先生は何をしているんだろう。
もう家へと帰っただろうか。そういえば周防のプライベートは謎に包まれている。何も話してくれないから聞けないでいるけど、どんな家でどんなふうに過ごしているんだろう。
いつかそれも知ることが出来るんだろうか。
付き合ったばかりの今は知らないことの方が多すぎる。
「先生のことをもっと知りたいよ」
言えば教えてくれるのかもしれない。
だけどどこか隠されている気持ちになるのは蜜がまだ子供だからか。同じ立場だったら、例えば小石川のようだったら違うんだろうか。
両想いと分かってからも不安はいつも隣にある。
周防にもっと近づきたいのに。それを許してもらえない壁があるのは気のせいだろうか。
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