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第三部 魔法使い、双子の悪魔の変化
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「どうして勝手に部屋に入っているんだ」
姿は見えないがヨルの声がはっきりと聞こえてくる。縛られた腕を何とか左右に動かすが解けない。硬化魔法.....にしては腕が解けないだけで体は動かせる。これは.....
「リュシーが前に見せてくれた硬化魔法とは違うよ。拘束魔法──拘束した者を自由自在に操る事が出来る魔法だ」
その直後、何処からか現れた黒い紐の様な形をした魔力が僕の両足首に巻き付いてくる。あっと思った時には僕の体は軽々と宙吊りの状態で浮遊していた。目の前にようやく現れたヨルは相変わらず暗い表情のまま僕を見下ろしていた。
「ヨル.....。魔法を解いてくれないか。僕はただ君と話がしたいんだよ」
「リュシーならそのくらい簡単に解けるだろ。.....黒魔法じゃなければの話だけれど」
にこっと微笑んだヨルの言葉にビクッとなる。僕が黒魔法所持者相手にむやみやたらに魔法を使わない事に気付いたのだろう。確かにこの魔法だと白魔法を使わないと解けない。でもそうしたら.....ヨルにどんな影響を与えてしまうか想像出来ない。
不意に顔を近付けてきたヨルが「ねぇ、リュシー」と指先で顎を撫でる。突然近くなりビクッと肩を振るわせ見つめ返す。
「俺はずっとリュシーが分からなかったよ。あんたがどうして俺達悪魔族に対して優しくしてくれるのか、ずっと分からなかった。此処での生活に慣れて流され始めている自分の事も分からなかった」
「ヨ.....」
頬に軽く口付けをされ、昨日セルにされた事を再び思い出す。「は、離して」と顔を逸らした僕を見て不快そうに顔を顰めたヨルは次の瞬間僕を固定していた魔力の紐を強く締めた。ギュッと至る所に食い込まれ、掠れた声が漏れ出てしまう。
「セルに触れられた事を思い出したのか」
「.....!どうしてその事を.....、.....!」
冷淡な目つきで僕を見つめるヨル。「腹が立つ」とボヤいたヨルは次の瞬間、ぐいっと頬を掴んで唇を押し付けてきた。
「っあ.....ふ、」
どうして.....どうしてヨル迄セルと同じ事をしてくるのか分からない。縛られた状態でされるがままにキスされる僕を見てヨルは優雅に微笑む。
「でも、それもいいと思えたんだ。分からない事ばかりで自分に腹が立っていたけれど.....此処での生活は悪くなかったよ。可哀想だけれど.....アイツが抜け駆けさえしなければリュシーもこんな目に遭わずに済んだのにな」
「ヨル.....どうしてヨル迄こんな事.....」
突然キスをされて思考が錯乱する中でゆっくりと問う。ヨルは、セルみたいに『好きだ』や『愛している』なんて言葉を吐かずに、まるでずっと僕を恨んでいたみたいに一瞬鋭く睨んだ後、完璧な笑顔で告げる。
「俺は素直でいい子だっただろう、リュシー」
──その言葉が放たれた直後、僕はヨルが放つ黒魔法の中へ引き摺り込まれた。
姿は見えないがヨルの声がはっきりと聞こえてくる。縛られた腕を何とか左右に動かすが解けない。硬化魔法.....にしては腕が解けないだけで体は動かせる。これは.....
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その直後、何処からか現れた黒い紐の様な形をした魔力が僕の両足首に巻き付いてくる。あっと思った時には僕の体は軽々と宙吊りの状態で浮遊していた。目の前にようやく現れたヨルは相変わらず暗い表情のまま僕を見下ろしていた。
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「リュシーならそのくらい簡単に解けるだろ。.....黒魔法じゃなければの話だけれど」
にこっと微笑んだヨルの言葉にビクッとなる。僕が黒魔法所持者相手にむやみやたらに魔法を使わない事に気付いたのだろう。確かにこの魔法だと白魔法を使わないと解けない。でもそうしたら.....ヨルにどんな影響を与えてしまうか想像出来ない。
不意に顔を近付けてきたヨルが「ねぇ、リュシー」と指先で顎を撫でる。突然近くなりビクッと肩を振るわせ見つめ返す。
「俺はずっとリュシーが分からなかったよ。あんたがどうして俺達悪魔族に対して優しくしてくれるのか、ずっと分からなかった。此処での生活に慣れて流され始めている自分の事も分からなかった」
「ヨ.....」
頬に軽く口付けをされ、昨日セルにされた事を再び思い出す。「は、離して」と顔を逸らした僕を見て不快そうに顔を顰めたヨルは次の瞬間僕を固定していた魔力の紐を強く締めた。ギュッと至る所に食い込まれ、掠れた声が漏れ出てしまう。
「セルに触れられた事を思い出したのか」
「.....!どうしてその事を.....、.....!」
冷淡な目つきで僕を見つめるヨル。「腹が立つ」とボヤいたヨルは次の瞬間、ぐいっと頬を掴んで唇を押し付けてきた。
「っあ.....ふ、」
どうして.....どうしてヨル迄セルと同じ事をしてくるのか分からない。縛られた状態でされるがままにキスされる僕を見てヨルは優雅に微笑む。
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「ヨル.....どうしてヨル迄こんな事.....」
突然キスをされて思考が錯乱する中でゆっくりと問う。ヨルは、セルみたいに『好きだ』や『愛している』なんて言葉を吐かずに、まるでずっと僕を恨んでいたみたいに一瞬鋭く睨んだ後、完璧な笑顔で告げる。
「俺は素直でいい子だっただろう、リュシー」
──その言葉が放たれた直後、僕はヨルが放つ黒魔法の中へ引き摺り込まれた。
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