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3. 農園編
散歩がてらの神力調整
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翌朝。
朝食を済ませた僕、アグネスカ、アリーチェ、ラファエレは、チボー村の中を連れ立って散歩していた。
昨夜同様、火山灰が舞っているのか空は薄っすらと曇っている。空気もほんのりと乾燥している中を、僕達はただ何をするわけでもなく歩いていた。
「こうしてただ散歩しているだけで、本当に神力の調整になるんですかねぇ?」
「なるんだってさ。特にこうして、地面に足を付けて歩くってことが、土地の力を整えるのに重要だって、リュシールが言ってた」
僕の後ろについて歩きながら、とても信じられないといった風に後頭部に腕を回すアリーチェに、僕は前を向いたままで言葉を返した。
儀式らしい儀式を行うでもなく、呪文を唱えたり陣を描いたりするわけでもなく、ただ歩いているだけなので、アリーチェが不審がるのも無理はない。
本当はミオレーツ山でやったように神術を行う方法もあったそうだが、それだとやりすぎることになるのだそうだ。
僕の隣を歩くアグネスカが、右手を軽く出しながら口を開く。
「三大神の御力はいずれも大地に根付いた力ですからね、自然も、火も、水も。大地を歩いて、地に付けた足から力を感じ取り、身体から力を伝える。
これが、使徒や神獣が行う神力の調整法として、最も緩やかに、穏やかに行えるものなのです。
少し地面に意識を巡らせると……ほら、大地全体が熱を帯びているのが分かるでしょう? インゲ神の神力が強いからです」
説明をするアグネスカの髭が、ピクピクと跳ねる。彼女は生まれついてから巫女としてカーン神に仕えているから、そういった感覚を鍛えてきていて鋭敏なのだろう。
まだ使徒の力に目覚めて1年も経っていない僕では、大地の神力の分析はぼんやりとしかできないから、こうしてしっかり見れるアグネスカの存在はありがたい。
アリーチェが感心したように目を見開きつつ声を上げた。神獣人となって間もない彼女は神獣月輪狼の記憶こそ継いでいるものの、使徒や巫女について回る経験はこれが初めてだ。僕以上に分からないことも多いはずである。
「なるほどー……私にはあんまりその熱は分かんないですけれど、土地の神力を調整するって、そういうことなんですねぇ。
エリクさんが神力を生み出して、アグネスカさんがそれを増幅して、私が大地に伝えて、という流れが出来上がるから、ミオレーツ山もたったの1週間であれだけ自然が豊かになったわけで……まぁ、神術行使で土地の力を開いたこともあるでしょうけれど」
『使徒様たちが三人お揃いになった後から、目に見えて畑の小麦の穂が重くなっていました。お力を注いでいただいたおかげだと思っています』
アリーチェの隣でラファエレも頷いた。こうして実績が出来ていると、こちらとしても自信を持って取り組める。
そうして話をしながら歩く僕達の前に立って先導する、ひときわ背の高い狐の獣人族の男性が、僕達の方に振り返って小さく頭を下げた。
「ご足労いただいた翌朝から、すぐさま作業に取り掛かってくださり感謝します。本来ならば村長のアダンが同行するべきところなのですが……」
「大丈夫です、ジスランさんもお忙しいのにすみません」
この男性は、チボーの副村長であるジスラン・トロー。アダンの補佐を務めているという話だ。
身体つきはスラリとしてスマートだが、黄金色の毛に覆われたその手足の筋肉は固く締まっており、畑仕事に就いていることがよく分かる。
ちなみにアダンは朝から、農園開墾の為の人員を村から集める作業に当たってくれているそうだ。
「いえいえ、使徒様に巫女様に神獣様が揃って村の為に働いてくださるのに、我々村民が何もしないわけにはいきませんから。
……さぁ、着きました。こちらが農園の予定地となる場所です」
「わっ……広い……!」
ジスランに案内された農園予定地を見て、僕は思わず驚愕の声を上げた。
広い。非常に広い。下手をすればヴァンド森の聖域全体と同じくらいの広さがありそうだ。
あまりの土地の広さに興奮したのか、ラファエレがぴょんぴょんと跳ねている。アグネスカも果ての見えない広大な土地に唖然としながらジスランを見上げた。
『すごいです、これだけ広さがあれば、小麦が山のように育てられます!』
「300メートル四方は軽くありそうですね……大丈夫ですか? 村の皆さん、これからここに作る畑を管理していくんでしょう?」
「御心配には及びません、ドニエ火山の噴火にやられて使えなくなった畑の面積と、だいたい同じくらいになりますから。
我々村民もこの地で長年畑仕事をしてきましたからね、コツも掴んでおります」
問いかけられたジスランはにっこりと笑ってみせる。全く何でもないような雰囲気だが、これを何でもないと考えられる農家の皆さん、恐るべし。
と、そこでラファエレが跳ねるのをやめて首を傾げた。
『だとしたら、おいらを連れてくる必要ってあったんでしょうか? 村の皆さんもこの土地での農業はプロですよね?』
「そうですねぇ、エリクさんやアグネスカさんや私が農作業のお手伝いをするにしても、農業について詳しいラファエレを連れてきた理由ってあります?」
「あるよ?
村の人達もノウハウや対処法は持っていると思うけれど、それが裏付けの取れた正しいやり方かどうかを専門家に見てもらった方がいいだろ。
それに村から人手を借りれるとはいっても、その人達にも自分の持っている畑があるんだし、無限に手を借りれるわけじゃない。
だから、僕やアグネスカにつきっきりで指導できる人員は、こっちで用意するのが筋だろ」
ラファエレの零した疑問にアリーチェも同じように首を傾げたが、対する僕はきっぱりとその疑問に答えを返した。
農園の畑を耕す作業の大半はチボー村の人々にやってもらうとしても、僕達三人がその間何もしないとなれば、何のためにここまで来たのかが分からない。
地面に鋤や鍬を入れて、自分たちの手で耕す作業を行ってこそ、土地の神力を整えるという仕事が意味を成すのだ。調整した神力を地面に浸透させる必要があるのだから。
それに、ラファエレの持つ知識を導入することで、チボー村の小麦の生産量がさらに増すのならば、村にとってこれほど好ましいことは無い。
ジスランが顎に手を当てながら、何度か首を上下させる。
「そうですね、我々も長くこの土地で農耕をしているとはいえ、先祖代々の口伝で伝わっている方法に頼っております。
長い年月を経て内容が変質したものも多いことでしょう。ここで一度手法を見直してみるのもいいだろう、と判断した結果、お呼びした形です。
まぁ、れっきとした魔物である、狼人が来るとは思っておりませんでしたが……」
「普通は予想しませんよね、農業の専門家として魔物がやってくるとは」
ジスランの視線を追うようにして、僕もラファエレへと視線を向ける。
いくらラコルデール王国が魔物の権利を人間と同等に定めていて、魔物も国民の一部と位置付けているとはいえ、ウジェ大聖堂と三大神の使徒が絡む公的な仕事に、魔物が技術者としてついてくることは、なかなかあるものではない。
自然とその場の全員の視線がラファエレへと集まると、彼は誇らしげに笑って胸を叩いた。
『大丈夫です! おいらルピア語は分かるから、皆さんの話にはついていけます!』
「ルピア語は分かるので話にはちゃんとついていけます、だそうです」
「頼もしい、よろしくお願いいたします。さて、次は村の設備の方をご案内いたしましょう」
そう告げてジスランが次に僕達を案内したのは、チボー村の郊外に広がる牧場だ。
たくさんの牛たちが放牧されて草を食んでいる牧場の一角、木枠で囲われたところから、もうもうと湯気が立っていた。
「ここが堆肥集積所です。牧場で飼われる牛たちから集めた糞を、ここで発酵させて堆肥にして撒いています」
「やっぱり堆肥みたいな肥料は使うんですね」
木枠の中を覗き込みながら僕が言うと、ジスランはゆっくり頷いた。
地球でも、堆肥などの有機物を使用するのは火山灰土壌では一般的な手法だ。あとは石灰によるpH調整を行って、初めて耕作に足る土壌となるらしい。
僕の隣で同じように木枠の中を覗きながら、ラファエレが小さく頷きつつ口を開いた。
『木灰を鋤き込み、2週間の後に堆肥を鋤き込む。
このやり方ならこんなに火山に近い場所でも元気に作物が育つと思います。撒きすぎには注意しないとならないんですけれど』
ラファエレの言葉に、僕は目を見張った。
木灰を鋤き込んでから堆肥を鋤き込むという手順もそうだが、ハッキリと彼は「2週間」と言い切った。その発言には一切の迷いがない。
すぐにジスランにラファエレの言った内容を伝えると、彼もまた驚きに目を見開いた。
「驚きました……木灰と堆肥を両方とも使うことを言い当てられるとは。
我々の口伝では木灰を鋤き込んで3日後に堆肥を鋤き込むのですが、それを2週間と?」
『3日だと、堆肥の中に含まれる臭い成分が、木灰と反応して気体として表に出てきちゃうんです。
肥料の効果も下がりますし、畑の周辺が臭くなります』
「3日だと堆肥と木灰が反応して気体が出てしまい、肥料の効果が下がるんだそうです。臭いも出てくると」
ジスランの疑問に、すぐさまラファエレは答えを提示してみせた。
石灰や木灰の強アルカリ性が、堆肥の中でアンモニア化合物の形で存在している窒素と反応して、アンモニアとして肥料から分離してしまう、という現代化学の理屈。
それをラファエレはぴたりと言い当ててみせたのだ。
ジスランが感心したように腕を組んで唸る。
「なるほど……確かに堆肥を鋤き込んだ後は畑が臭い立つのが常でしたので、村民は近寄らずにおりましたが……理由があったのですね。
いや、感服しました。ラファエレ殿は確かに専門家でいらっしゃる」
『えへへ……』
ハッキリと言葉で褒められたラファエレが、照れたように表情を崩す。
その笑顔を見て、僕はやはり彼を連れてきてよかった、と安堵の吐息を漏らすのだった。
朝食を済ませた僕、アグネスカ、アリーチェ、ラファエレは、チボー村の中を連れ立って散歩していた。
昨夜同様、火山灰が舞っているのか空は薄っすらと曇っている。空気もほんのりと乾燥している中を、僕達はただ何をするわけでもなく歩いていた。
「こうしてただ散歩しているだけで、本当に神力の調整になるんですかねぇ?」
「なるんだってさ。特にこうして、地面に足を付けて歩くってことが、土地の力を整えるのに重要だって、リュシールが言ってた」
僕の後ろについて歩きながら、とても信じられないといった風に後頭部に腕を回すアリーチェに、僕は前を向いたままで言葉を返した。
儀式らしい儀式を行うでもなく、呪文を唱えたり陣を描いたりするわけでもなく、ただ歩いているだけなので、アリーチェが不審がるのも無理はない。
本当はミオレーツ山でやったように神術を行う方法もあったそうだが、それだとやりすぎることになるのだそうだ。
僕の隣を歩くアグネスカが、右手を軽く出しながら口を開く。
「三大神の御力はいずれも大地に根付いた力ですからね、自然も、火も、水も。大地を歩いて、地に付けた足から力を感じ取り、身体から力を伝える。
これが、使徒や神獣が行う神力の調整法として、最も緩やかに、穏やかに行えるものなのです。
少し地面に意識を巡らせると……ほら、大地全体が熱を帯びているのが分かるでしょう? インゲ神の神力が強いからです」
説明をするアグネスカの髭が、ピクピクと跳ねる。彼女は生まれついてから巫女としてカーン神に仕えているから、そういった感覚を鍛えてきていて鋭敏なのだろう。
まだ使徒の力に目覚めて1年も経っていない僕では、大地の神力の分析はぼんやりとしかできないから、こうしてしっかり見れるアグネスカの存在はありがたい。
アリーチェが感心したように目を見開きつつ声を上げた。神獣人となって間もない彼女は神獣月輪狼の記憶こそ継いでいるものの、使徒や巫女について回る経験はこれが初めてだ。僕以上に分からないことも多いはずである。
「なるほどー……私にはあんまりその熱は分かんないですけれど、土地の神力を調整するって、そういうことなんですねぇ。
エリクさんが神力を生み出して、アグネスカさんがそれを増幅して、私が大地に伝えて、という流れが出来上がるから、ミオレーツ山もたったの1週間であれだけ自然が豊かになったわけで……まぁ、神術行使で土地の力を開いたこともあるでしょうけれど」
『使徒様たちが三人お揃いになった後から、目に見えて畑の小麦の穂が重くなっていました。お力を注いでいただいたおかげだと思っています』
アリーチェの隣でラファエレも頷いた。こうして実績が出来ていると、こちらとしても自信を持って取り組める。
そうして話をしながら歩く僕達の前に立って先導する、ひときわ背の高い狐の獣人族の男性が、僕達の方に振り返って小さく頭を下げた。
「ご足労いただいた翌朝から、すぐさま作業に取り掛かってくださり感謝します。本来ならば村長のアダンが同行するべきところなのですが……」
「大丈夫です、ジスランさんもお忙しいのにすみません」
この男性は、チボーの副村長であるジスラン・トロー。アダンの補佐を務めているという話だ。
身体つきはスラリとしてスマートだが、黄金色の毛に覆われたその手足の筋肉は固く締まっており、畑仕事に就いていることがよく分かる。
ちなみにアダンは朝から、農園開墾の為の人員を村から集める作業に当たってくれているそうだ。
「いえいえ、使徒様に巫女様に神獣様が揃って村の為に働いてくださるのに、我々村民が何もしないわけにはいきませんから。
……さぁ、着きました。こちらが農園の予定地となる場所です」
「わっ……広い……!」
ジスランに案内された農園予定地を見て、僕は思わず驚愕の声を上げた。
広い。非常に広い。下手をすればヴァンド森の聖域全体と同じくらいの広さがありそうだ。
あまりの土地の広さに興奮したのか、ラファエレがぴょんぴょんと跳ねている。アグネスカも果ての見えない広大な土地に唖然としながらジスランを見上げた。
『すごいです、これだけ広さがあれば、小麦が山のように育てられます!』
「300メートル四方は軽くありそうですね……大丈夫ですか? 村の皆さん、これからここに作る畑を管理していくんでしょう?」
「御心配には及びません、ドニエ火山の噴火にやられて使えなくなった畑の面積と、だいたい同じくらいになりますから。
我々村民もこの地で長年畑仕事をしてきましたからね、コツも掴んでおります」
問いかけられたジスランはにっこりと笑ってみせる。全く何でもないような雰囲気だが、これを何でもないと考えられる農家の皆さん、恐るべし。
と、そこでラファエレが跳ねるのをやめて首を傾げた。
『だとしたら、おいらを連れてくる必要ってあったんでしょうか? 村の皆さんもこの土地での農業はプロですよね?』
「そうですねぇ、エリクさんやアグネスカさんや私が農作業のお手伝いをするにしても、農業について詳しいラファエレを連れてきた理由ってあります?」
「あるよ?
村の人達もノウハウや対処法は持っていると思うけれど、それが裏付けの取れた正しいやり方かどうかを専門家に見てもらった方がいいだろ。
それに村から人手を借りれるとはいっても、その人達にも自分の持っている畑があるんだし、無限に手を借りれるわけじゃない。
だから、僕やアグネスカにつきっきりで指導できる人員は、こっちで用意するのが筋だろ」
ラファエレの零した疑問にアリーチェも同じように首を傾げたが、対する僕はきっぱりとその疑問に答えを返した。
農園の畑を耕す作業の大半はチボー村の人々にやってもらうとしても、僕達三人がその間何もしないとなれば、何のためにここまで来たのかが分からない。
地面に鋤や鍬を入れて、自分たちの手で耕す作業を行ってこそ、土地の神力を整えるという仕事が意味を成すのだ。調整した神力を地面に浸透させる必要があるのだから。
それに、ラファエレの持つ知識を導入することで、チボー村の小麦の生産量がさらに増すのならば、村にとってこれほど好ましいことは無い。
ジスランが顎に手を当てながら、何度か首を上下させる。
「そうですね、我々も長くこの土地で農耕をしているとはいえ、先祖代々の口伝で伝わっている方法に頼っております。
長い年月を経て内容が変質したものも多いことでしょう。ここで一度手法を見直してみるのもいいだろう、と判断した結果、お呼びした形です。
まぁ、れっきとした魔物である、狼人が来るとは思っておりませんでしたが……」
「普通は予想しませんよね、農業の専門家として魔物がやってくるとは」
ジスランの視線を追うようにして、僕もラファエレへと視線を向ける。
いくらラコルデール王国が魔物の権利を人間と同等に定めていて、魔物も国民の一部と位置付けているとはいえ、ウジェ大聖堂と三大神の使徒が絡む公的な仕事に、魔物が技術者としてついてくることは、なかなかあるものではない。
自然とその場の全員の視線がラファエレへと集まると、彼は誇らしげに笑って胸を叩いた。
『大丈夫です! おいらルピア語は分かるから、皆さんの話にはついていけます!』
「ルピア語は分かるので話にはちゃんとついていけます、だそうです」
「頼もしい、よろしくお願いいたします。さて、次は村の設備の方をご案内いたしましょう」
そう告げてジスランが次に僕達を案内したのは、チボー村の郊外に広がる牧場だ。
たくさんの牛たちが放牧されて草を食んでいる牧場の一角、木枠で囲われたところから、もうもうと湯気が立っていた。
「ここが堆肥集積所です。牧場で飼われる牛たちから集めた糞を、ここで発酵させて堆肥にして撒いています」
「やっぱり堆肥みたいな肥料は使うんですね」
木枠の中を覗き込みながら僕が言うと、ジスランはゆっくり頷いた。
地球でも、堆肥などの有機物を使用するのは火山灰土壌では一般的な手法だ。あとは石灰によるpH調整を行って、初めて耕作に足る土壌となるらしい。
僕の隣で同じように木枠の中を覗きながら、ラファエレが小さく頷きつつ口を開いた。
『木灰を鋤き込み、2週間の後に堆肥を鋤き込む。
このやり方ならこんなに火山に近い場所でも元気に作物が育つと思います。撒きすぎには注意しないとならないんですけれど』
ラファエレの言葉に、僕は目を見張った。
木灰を鋤き込んでから堆肥を鋤き込むという手順もそうだが、ハッキリと彼は「2週間」と言い切った。その発言には一切の迷いがない。
すぐにジスランにラファエレの言った内容を伝えると、彼もまた驚きに目を見開いた。
「驚きました……木灰と堆肥を両方とも使うことを言い当てられるとは。
我々の口伝では木灰を鋤き込んで3日後に堆肥を鋤き込むのですが、それを2週間と?」
『3日だと、堆肥の中に含まれる臭い成分が、木灰と反応して気体として表に出てきちゃうんです。
肥料の効果も下がりますし、畑の周辺が臭くなります』
「3日だと堆肥と木灰が反応して気体が出てしまい、肥料の効果が下がるんだそうです。臭いも出てくると」
ジスランの疑問に、すぐさまラファエレは答えを提示してみせた。
石灰や木灰の強アルカリ性が、堆肥の中でアンモニア化合物の形で存在している窒素と反応して、アンモニアとして肥料から分離してしまう、という現代化学の理屈。
それをラファエレはぴたりと言い当ててみせたのだ。
ジスランが感心したように腕を組んで唸る。
「なるほど……確かに堆肥を鋤き込んだ後は畑が臭い立つのが常でしたので、村民は近寄らずにおりましたが……理由があったのですね。
いや、感服しました。ラファエレ殿は確かに専門家でいらっしゃる」
『えへへ……』
ハッキリと言葉で褒められたラファエレが、照れたように表情を崩す。
その笑顔を見て、僕はやはり彼を連れてきてよかった、と安堵の吐息を漏らすのだった。
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