ボクは転生者!塩だけの世界で料理&領地開拓!

あんり

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第1章 カイト、五歳までの軌跡

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さっきまで苦しげにのたうっていたハーレン団長の体から、動きがすっと消えた。

敵と、ボクとハーレン団長が居る場所はそこそこ離れている。

だから――、
ハーレン団長の傷がもう完全に塞がっていることも、
今は聖水の痛みに耐えきれず気絶して眠っているだけだということも、
やつらは誰1人気づいていない。

――気づかれちゃいけない。

「ね、ボク、早くパパやママのところに帰りたい。早く連れて行ってよ」

ボクは、奴らに向かってゆっくりと歩き出す。

「ああ、俺らが連れて行ってやるさ。ほら、早くこっち来な」

悪い奴らだ。
ボクを攫う理由――その証拠を掴まないといけない。
そして、ボクを連れ出す目的を、知るんだ。


「ね、おじさん達。だあれ?どこから来たの?
ボクの名前と、ボクのパパの名前は?」

その瞬間――奴らの表情が変わった。

眉を跳ね上げるやつ。
目を細め探るように見てくるやつ。
そして、ボクに近づいてくる男の、小さな舌打ち。

後ろにいる男たちは、目を見開き、互いに顔を見合わせている。

………カマかけ成功だ。

ボクは畳み掛ける。

「ボクの名前もしらないの?
パパの名前も分かんないの?
知らないのに、どうやってボクを家に連れて帰るの?ねぇ、おかしいよね?」

「うるせぇっ。いいから黙ってついてこい」

「やだっ!お前たち、ボクを騙したなっ」

ヒュンッ――ドサッ

ボクの頬をギリギリ掠めて飛んだ矢が、背後の木に突き刺さる。

ひぃ、…………危なっ……!

「おい!誰だ、矢を射たのは!
こいつは“商品”なんだぞ。傷つけるんじゃねー!」

ボクが……………商品?


やばい。
やばい。
どうする?どうするカイト。
誰か――助けを………

あ、いる。
いるじゃん。

――――キノセイ!

“呼べばいつでも助けに行く”
“100回助ける”って言った。

その1回目。
今、使うしかないっ!

―――キノセイ……ボクだよ。
今悪いやつに囲まれているの。
お願い、来て。ボクを…助けて。

イカルダの女神様の使い魔。
ボクの従魔。

「悪い奴らだな、やっつけてやる。
ボクの従魔がもうすぐくるんだからっ。
そうしたらお前たちをやっつけてやる。
覚悟しろっ!」

ボクの剣を構える。
…でも、本音では足が震えてる。

キノセイを呼ぶのは初めて。
本当に来てくれるのか――ちょっと、不安!

「な、…従魔だと?」
「嘘だろ?」
「おい、やべぇぞ、逃げた方がいいんじゃ…」

森がざわめく。
風が舞う。
空気が――変わった。

奴らがキョロキョロと周囲を見渡して、
怯えたように後ずさる。


――そうだよ。

この気配、気のせいじゃない。
キノセイのものだ。

キ――――ッン!

「…お、おい、なんか、来るぞ!」
「やばいぞ。逃げるか?………足が…」

カサッ!

「ニャー」

………ん?

あ、キノセイ。
やっぱり来てくれた!

――カイト、助けに来たよ。お待たせ!

ひと鳴きして、ボクを見上げる白い猫。


「…………………は?」
「………猫?」
「あれが?従魔だと?」
「はん、笑わせるな。」

さっきまで恐怖に怯えてた男たちが、現れた猫に大笑いし始める。

ボクは念話で続ける。

“あいつら悪い奴らなんだ。ボクをどこかに売り飛ばす気だよ。今、ボクを助けて”

“いいよ”

「おい、ガキ。脅かすんじゃねーぞ。なんだ、その猫に助けて貰うってーのか?はは、笑わせるぜ。」

「おい、あのガキを捕まえろ。その猫は切り捨ててかまわねー。どうせ、ただの猫だ」

「ギャハハ、おい、お子ちゃまよ、泣いてもいいぜ。だけど、だーれも、助けには来ないぞ。助けに来た猫ちゃんとは、ここでさよならだぞぉー」

別の男が猫なで声で、笑う。
目だけがギラついていて、気持ち悪い。
ナイフをチラチラ振りながら、近づいてくる。

「ふざけるなっ。ボクの従魔を笑うなっ。パパよりもうんと強いんだぞ!今から、お前たちをやっつけるんだ。」

「んな訳ねーだろっ。ふざけるのいい加減にしろよ、ガキがっ!」

男の怒鳴り声と唾が地面に飛び散る。

“キノセイ、元の姿に戻って”

“うん、わかった”

――――次の瞬間!
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