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第1章 カイト、五歳までの軌跡
【第1章最終話】小さな背中を見守ってくれて、ありがとう ――378話
しおりを挟む第1章、今夜ついに完結です。
ここまで読んでくださった皆さま、
本当にありがとうございます。
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悪い奴らめ、懲らしめてやる。
絶対に許さないぞ。
キノセイが圧倒的な力を見せて、奴らを成敗していく。
「うわぁーっ」
「たっ、たす……け、てっ」
許しを求めたって、許すもんか。
ボクを攫おうとしたんだ!
それに、ハーレン団長を傷つけたんだ。
5歳のボクが剣を構えたの見て、
やってきたネコのキノセイを見て、
――奴らは笑ってた。
笑ってるのも今のうち。
キノセイがやっつけるんだからねっ。
白虎になった途端に、狼狽える男達。
「ガオォォーン」
キノセイが低く唸ると、一瞬で気温が下がったのを肌で感じる。
キノセイが前足で奴らをなぎ倒して行く様子は――圧巻!
ボクはアニメの戦闘シーンをライブで見ている感覚で、ちょっとワクワクしちゃった。
安堵しているのもつかの間、森に紛れていた奴らが今度はキノセイに矢を放ってきた。
ボクは、今、目の前で起きた事が“リアル”な“現実”だと再認識して怖くなった。
じわーっと、額や、背中、手に汗が滲む。
――キノセイ!!!
痛いよね、痛いよ。大丈夫なの?
――大丈夫だ。
でも、矢の先から血が滲んでるよぉー!
ボクの胸の奥がぎゅうって苦しいよ!
そのあとだ!
ガオォォーン
キノセイの唸る一声に、波動がのる。
ブワッと円を描くように、
水に落とされた波紋のように。
ボクのお腹のずっと奥にズシッと響く。
その矢先、森の奥からくぐもる声が聞こえた。
「う、う、うあああ」
「うっ、くる…し…いっ」
バサバザ、ドサッ
凄いっ。気功かな?
聞いていいかな?よし、聞こう!
でも、今は戦ってる最中だ!
疑問は、後回し。
人がバタバタ倒れる音がする。
きっとキノセイの放った波動が悪い奴をやっつけたんだ。けど、まだ悪い奴がいるかもしれない。
ボクは森の奥の見えない敵を睨みつける。
カサッ!
敵ッ!?――音がする方へ目を向ける……
違うっ!パパだ!
「パパァ……………………ウグッ」
まだ敵がいるかもしれない。
だから、パパの所へ駆け出したくても、ガマンするっ。
だけど、パパはボクの近くに来て両手を広げた。
パパ、汗まみれだよ、髪がぐちゃぐちゃ。
服だって汚れてるっ。
けど、そんなの――どうだっていい。
ボクが今、1番居たい場所。
ボクが今、1番安心できる場所。
なんでかな?泣いちゃいそう。
ボクは男の子だよ、泣いちゃダメよ。
飛び込んだパパの腕の中は震えてて。
だけど、しっかりボクを抱きしめてくれた。
パパの心臓の音がドッドッドッって早い。でも安心しちゃった。そしたらもうダメだったよ。
ボクの瞳は堰を切ったように次々に涙が溢れてきた………口がグニョグニョする。
ダメだ、我慢できない。
「うわぁーん…………」
そんなボクの頭をパパのゴツゴツした手が優しく撫でてくれる。
いつもの、ボクを安心させてくれるパパの手の温もりだよ。
撫でるパパの大きな手も、耳元で囁く声も、
…………小刻みに震えてる。
「…カイト、よく頑張ったな…偉いぞ…」
うん、ボク、頑張ったよ。
ボク、初めてダークウルフを倒したんだよ、しかもね、8匹も!
あとね、魔石も取ったよ、ボクが触るとすぐに黒くなったの。あとで見せるね。
それとね、ゴリランの長老さんをアコウの木から助けたんだよ、すごい?
それと、ゴリランダンスもしたの、ウホッホッって楽しかった。
それからね、バナナと色々な豆もらったの。
そして、そしてね、この近くでシナモン見つけたんだ。バナナにふりかけて食べたらすっごく美味しかったよ。
屋敷に帰ったら、シナモンバナナ作ろうね。
小豆、金時豆貰ったの、やったー、ぜんざい作れるよ。ママとアリと一緒に食べよう。
あとね、ハーレン団長はボクをずっと守ってくれたよ、怪我をしたからペットボトルの聖水をかけたの、今は眠ってるけど大丈夫!ルーク団長みたいにすぐに元気になるから。
ハーレン団長を襲った奴ら。
ボクを攫おうとした悪い奴ら。
キノセイがやっつけてくれたんだ。
パパたちも助けに来てくれた。
――ありがとっ。
後で聞いて欲しい話がいっぱいあるんだ。
だから、早く屋敷に帰ろ……う…
ボクはパパの腕の中でわんわん泣いた。
そして安心したんだ。
泣き疲れて、いつの間にか深い眠りに落ちていった。
ボクを大事に抱えたパパ。
赤ちゃんの頃、初めて抱っこされた時。
ボクを抱き抱えるパパの腕はあの時よりしっかりした逞しい腕で、だから余計安心して眠りについてしまった。
カイトは静かに寝息を立てている。
その小さな体を抱きしめながら、ダウニーは空を見上げた。
空は赤くなりはじめている。
――が、何も答えてはくれない。
「ダウニー様、森に潜んでいた、あれはケンブルクの兵士ですね。制圧完了です。……………って言いたいところですが、あえて2人を取り逃しました。そいつらを部下に追わせてます。やつらは親玉のところに逃げて帰るはず。そうなれば主犯を洗い出せます」
「ああ、よくやった、ルーク」
第1章 ~ 完 ~
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皆様の応援、しおり、♡、ラッパ――この物語をここまで運んでくれました。
めーいっぱいの感謝を込めて。
本当にありがとうございます。
第2章でも、カイトの歩みを見守って頂けたら嬉しいです。
第1章で回収できていない伏線も、第2章で少しづつ明かしていく予定です。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
もし良ければ――
あなたの第一章の感想を聞かせて下さい。
それが何よりの励みになります。
2028.12.10
あんり
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