婚約者は嘘つき!私から捨ててあげますわ

あんり

文字の大きさ
1 / 15

1.突然の婚約破棄宣言

しおりを挟む
今日は学園の卒業パーティー。
私より1つ年上の婚約者、クランク公爵令息三男のマーティン様の卒業の日。

その卒業パーティーの最中、多くの卒業生が集い、その婚約者をエスコートしながら楽しく盛り上がっていたところ。

私、エリッサ·ソルマンは、婚約者であるマーティン様にたった今、婚約破棄を言い渡されたみたい。

 「マーティン様、今、わたくしと婚約破棄をなさりたいと、そうおっしゃいましたの?」

私は今何を言われてるの?

「ああ、もう2度と君の顔も見たくない、声も聞きたくない。君との婚約は僕の中では無駄な時間だったよ」

むだ?私との婚約が無駄?と、そうおっしゃいましたの?あら、そう!

苦痛に歪むマーティン様のお顔は今まで見たことのない憎しみのこもった目で私を睨みつけておりました。

もう2度と君の顔も見たくない、声も聞きたくない、ほんの1ヶ月前までそんな事一言も言われた事なかったのに。
「愛してる」そう言ってくれていたのに。


不満は私の中で小さく渦を巻いて、それがだんだんと少しづつ大きくなっていった。
泣き腫らしたまま、待たせておいた馬車に乗り込み屋敷に戻るしかなかった。

私はソルマン侯爵の一人娘。
私以外の跡継ぎが居ないため、将来は婿に入る事でマーティン様との婚約が成立したのは今から7年前。私が10歳の頃ね。
マーティン様はとても可愛らしかったわ。

クランク公爵のお茶会に招かれた母に連れられて私はクランク公爵の屋敷を訪れたの。私たち以外にも夫人に連れられてきた同じ歳くらいの女の子達がいたわ。
マーティン様は、凄く可愛くて、女の子達に囲まれて恥ずかしそうにしていたわね。

私はあまり興味がなくて、それよりも初めてきたクランク公爵のお屋敷の花がとても綺麗だったから花を見て回ったの。
気がついたら今自分がどこにいるのか分からなくなって、お母様達の居場所を確認しようと私は木に登ったの。
思えば令嬢に有るまじき行為よね。

「ねぇ、君、木に登れるんだね。どう?楽しい?」

下から聞こえる子供の声。

「楽しいわよ、あなたも登ってくる?」

「ボクはいいや。それより大丈夫なの?」

平気よ、だって私、木登り得意だもの。
お父様もお母様も「子どもは子供らしく元気が一番」って言って結構自由に遊んだわ。
下にいる子って男の子だったのね。

「私は木登りが得意なのよ、だから平気」

「ふーん、ボクが聞いたのはパンツが見えてるけど平気?って聞いたんだけど」

「やー、見ないで。って見たの?」

「見たよ、ピンクのストライプ」

その後は、私を探しに来たお母様達に見つかり、木から降りたらお母様に怒られましたわ。
後日、「責任を取ります」っていう理由で私とマーティン様の婚約が成立したの。

なぜ?

それからは好意がいつ芽生えたのか分からないけど、1週間に一度は「ボクの婚約者に愛を込めて」っていうメッセージと共に小さな花束だったり、ハンカチや宝石箱、クッキーやお菓子、流行りの恋愛小説だったり送られてきたわ。
クッキーやお菓子は嬉しかったけど、流行りの恋愛小説は見なかったわ。だってまだ10歳だもの。花よりお菓子よ、恋愛小説よりクッキーよ。

月に1度の2人の交流はお茶会で、わたくしがクランク公爵家に行くことが多かったわね。だって、クランク公爵家のクッキーが凄く美味しいんだもの。

マーティン様は「エリッサは可愛くて天使みたいな顔をしているのに、お転婆さんだね、まあ、そんなギャップが最高なんだけどね」とか「今日のドレスはエリッサにすごく似合うね、ボクの瞳の色と一緒だ」って言ってたけど。

何を言ってるのかよく分からなかったわ。

そうそう、こんなこともあったわね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様

恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。 不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、 伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。 感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、 ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。 「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」 足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。 「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」 一度凍りついた心は、二度と溶けない。 後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、 終わりのない贖罪の記録。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

裏切ったのはあなたですよね?─湖に沈められ記憶を失った私は、大公女として返り咲き幸せを掴みます

nanahi
恋愛
婚約者ウィルとその幼馴染ベティに罠にはめられ、湖へ沈められた伯爵令嬢アミアン。一命を取り留め、公女として生まれ変わった彼女が見たのは、裏切り者の幸せな家庭だった。 アミアンは絶望を乗り越え、第二の人生を歩む決意をする。いまだ国に影響力を持つ先の王弟の大公女として、輝くほど磨き上げられていったアミアンに再会したウィルは激しく後悔するが、今更遅かった。 全ての記憶を取り戻したアミアンは、ついに二人の悪事を断罪する。

本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました

音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。 ____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。 だから私は決めている。 この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。 彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。 ……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。

素敵な人が私の婚約者ですか?すみません、他に好きな人がいる婚約者様とは将来を約束出来ませんので婚約破棄をお願いします。

クロユキ
恋愛
「あの…貴方は誰ですか?」 森の中で倒れていた私は婚約者のアレン様を私は覚えていません、記憶喪失だそうです。彼には別に好きな人がいたようなのです。私、マリーナ・クレールは婚約破棄をしました。 彼の事は覚えていませんので私の事は気にしないで下さい。 誤字脱字があります。更新が不定期ですがよろしくお願いします。

煤かぶり姫は光の貴公子の溺愛が罰ゲームだと知っている。

朝霧心惺
恋愛
「ベルティア・ローレル。僕の恋人になってくれないかい?」  煌めく猫っ毛の金髪に太陽の瞳、光の貴公子の名を欲しいがままにするエドワード・ルードバーグ公爵令息の告白。  普通の令嬢ならば、嬉しさのあまり失神してしまうかもしれない状況に、告白された令嬢、ベルティア・ローレルは無表情のままぴくりとも頬を動かさない。  何故なら———、 (罰ゲームで告白なんて、最低の極みね)  黄金の髪こそが美しいという貴族の価値観の中で、煤を被ったような漆黒の髪を持つベルティアには、『煤かぶり姫』という蔑称がある。  そして、それは罰ゲーム結果の恋人に選ばれるほどに、貴族にとっては酷い見た目であるらしい。  3年間にも及ぶ学園生活も終盤に迫ったこの日告白されたベルティア、実家は伯爵家といえども辺境であり、長年の凶作続きにより没落寸前。  もちろん、実家は公爵家に反抗できるほどの力など持ち合わせていない。  目立つ事が大嫌いでありながらも渋々受け入れた恋人生活、けれど、彼の罰ゲームはただ付き合うだけでは終わらず、加速していく溺愛、溺愛、溺愛………!!  甘すぎる苦しみが、ベルティアを苦しめる。 「どうして僕の愛を疑うんだっ!!」 (疑うも何も、そもそもこの恋人ごっこはあなたへの罰ゲームでしょ!?)

あなたが遺した花の名は

きまま
恋愛
——どうか、お幸せに。 ※拙い文章です。読みにくい箇所があるかもしれません。 ※作者都合の解釈や設定などがあります。ご容赦ください。

処理中です...