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前編
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「相変わらずみすぼらしい格好だな。エリザベスよ」
と王宮の執務室に我が物顔で入室してきたのは、この国の国王であるアンドレアス・ロメール。
でっぷりとしただらしないお腹をタプンタプン揺らしながら、ガニ股でのそのそと部屋に入ってきた。
執務室で執務に追われていたのは、この国の王妃であるエリザベス・ロメール。すなわちアンドレアスの妻。
髪の手入れが行き届いていないのか、少しゴワゴワしており、肌も少し荒れ気味。目の下に大きな隈がある。
「……仕事でもする気になりましたか? 陛下」
「ふんっ。何故我がそんなことをせねばならん。それは貴様の仕事だ」
「……そうですか」
とアンドレアスに興味をなくしたエリザベスは、目の前の書類に向き合うことにした。
執務室には、机が二つある。
王妃が現在使用している机には、たくさんの書類が載っている他、所々傷がついている。
もう1つの机には、書類どころか物一つ載っておらず、傷もなく新品そのもの。
「まだ終わっていないのか。相変わらず使えない奴が」
「……用がないなら出てってくれません? 気が散って邪魔です」
「言われんでもすぐ帰るわ。今日は貴様に紹介しとく奴がいる」
「……紹介?」
「アンドレアス様~。この人が王妃様ですか?」
とアンドレアスの横に現れたのは、ピンク髪で胸元を大きく開けたドレスに身を包んだ令嬢だった。
令嬢は男受けしそうな豊満な胸とプリっとしたお尻をゆらゆらとしながら、アンドレアスの腕にしな垂れかかっていた。
「そちらの方は?」
「彼女はリリアナ。今日から余の側妃となる」
「リリアナ・シャロワ子爵令嬢です~。これからよろしくおねがいしま~す」
「側妃……ですか?」
「うむ。この度『側妃制度』を復活させることにした」
王国は一夫一妻制を導入している。
それは国王も例外ではないが一つだけ、他の令嬢を娶れる制度がある。
それが『側妃制度』。
国王と王妃の間に子を望む可能性が低い場合に、度々復活されてきた歴史のある制度だ。
ここ十数年廃止されていた制度をアンドレアスは復活させることに決めた。
当然これは議会にかけられた。
王妃派の貴族は皆賛成の意を示したが、国王派の貴族が反対を示した。
「『側妃制度』は陛下のためになりません」それが彼らの意見だった。
国王は、その意見に怒り心頭だった。
「他の女を抱かせろ」そう言って、国王派の筆頭貴族の一人を議会から追放した。
それに国王派の貴族が折れた結果、賛成多数で『側妃制度』が可決されることに決まった。
制度が可決されたアンドレアスは、満足そのものであった。
国王派の貴族が、アンドレアスを呆れた目で見ていることも知らずに。
「アンドレアスの子供は私が産みますので~。王妃様はお仕事頑張ってくださ~い」
「というわけだ。これからも我のために仕事しとけよ」
「それはそれは……」
と王妃はゆらゆらと立ち上がると、二人に向かってゆっくりと歩を進めてきた。
「な、なによ~。嫉妬?」
「はっはっは……見苦しい女だ」
「――ありがとうございます!!」
「へっ……!?」
エリザベスの綺麗な右ストレートが、リリアナの顔面を綺麗に捉えた。
リリアナは執務室の壁を吹き飛ばして、隣の部屋の壁にたたきつけられた。
その衝撃に、隣の部屋にいた王宮の職員は、突然のことに悲鳴を上げる余裕すらなかった。
アンドレアスも何が起こったかまだ理解できていなかった。
リリアナに関しては一瞬のうちに意識を失って、今じゃあ虫の息状態。
「ふぅ……スッキリした♪」
「な……き、貴様……何をしたかわかってるのか!」
「何って……側妃を殴っただけですが何か?」
「側妃だぞ! 余の側妃への所業!」
「陛下の? 違いますよ」
「へ?」
「私……私の側妃ですのよ」
そう。アンドレアスは勘違いをしていた。
『側妃制度』の側妃とは、陛下の子供を産むための妃を迎える制度ではない。
王妃の補佐を務めるための妃を迎える制度なのだ。
と王宮の執務室に我が物顔で入室してきたのは、この国の国王であるアンドレアス・ロメール。
でっぷりとしただらしないお腹をタプンタプン揺らしながら、ガニ股でのそのそと部屋に入ってきた。
執務室で執務に追われていたのは、この国の王妃であるエリザベス・ロメール。すなわちアンドレアスの妻。
髪の手入れが行き届いていないのか、少しゴワゴワしており、肌も少し荒れ気味。目の下に大きな隈がある。
「……仕事でもする気になりましたか? 陛下」
「ふんっ。何故我がそんなことをせねばならん。それは貴様の仕事だ」
「……そうですか」
とアンドレアスに興味をなくしたエリザベスは、目の前の書類に向き合うことにした。
執務室には、机が二つある。
王妃が現在使用している机には、たくさんの書類が載っている他、所々傷がついている。
もう1つの机には、書類どころか物一つ載っておらず、傷もなく新品そのもの。
「まだ終わっていないのか。相変わらず使えない奴が」
「……用がないなら出てってくれません? 気が散って邪魔です」
「言われんでもすぐ帰るわ。今日は貴様に紹介しとく奴がいる」
「……紹介?」
「アンドレアス様~。この人が王妃様ですか?」
とアンドレアスの横に現れたのは、ピンク髪で胸元を大きく開けたドレスに身を包んだ令嬢だった。
令嬢は男受けしそうな豊満な胸とプリっとしたお尻をゆらゆらとしながら、アンドレアスの腕にしな垂れかかっていた。
「そちらの方は?」
「彼女はリリアナ。今日から余の側妃となる」
「リリアナ・シャロワ子爵令嬢です~。これからよろしくおねがいしま~す」
「側妃……ですか?」
「うむ。この度『側妃制度』を復活させることにした」
王国は一夫一妻制を導入している。
それは国王も例外ではないが一つだけ、他の令嬢を娶れる制度がある。
それが『側妃制度』。
国王と王妃の間に子を望む可能性が低い場合に、度々復活されてきた歴史のある制度だ。
ここ十数年廃止されていた制度をアンドレアスは復活させることに決めた。
当然これは議会にかけられた。
王妃派の貴族は皆賛成の意を示したが、国王派の貴族が反対を示した。
「『側妃制度』は陛下のためになりません」それが彼らの意見だった。
国王は、その意見に怒り心頭だった。
「他の女を抱かせろ」そう言って、国王派の筆頭貴族の一人を議会から追放した。
それに国王派の貴族が折れた結果、賛成多数で『側妃制度』が可決されることに決まった。
制度が可決されたアンドレアスは、満足そのものであった。
国王派の貴族が、アンドレアスを呆れた目で見ていることも知らずに。
「アンドレアスの子供は私が産みますので~。王妃様はお仕事頑張ってくださ~い」
「というわけだ。これからも我のために仕事しとけよ」
「それはそれは……」
と王妃はゆらゆらと立ち上がると、二人に向かってゆっくりと歩を進めてきた。
「な、なによ~。嫉妬?」
「はっはっは……見苦しい女だ」
「――ありがとうございます!!」
「へっ……!?」
エリザベスの綺麗な右ストレートが、リリアナの顔面を綺麗に捉えた。
リリアナは執務室の壁を吹き飛ばして、隣の部屋の壁にたたきつけられた。
その衝撃に、隣の部屋にいた王宮の職員は、突然のことに悲鳴を上げる余裕すらなかった。
アンドレアスも何が起こったかまだ理解できていなかった。
リリアナに関しては一瞬のうちに意識を失って、今じゃあ虫の息状態。
「ふぅ……スッキリした♪」
「な……き、貴様……何をしたかわかってるのか!」
「何って……側妃を殴っただけですが何か?」
「側妃だぞ! 余の側妃への所業!」
「陛下の? 違いますよ」
「へ?」
「私……私の側妃ですのよ」
そう。アンドレアスは勘違いをしていた。
『側妃制度』の側妃とは、陛下の子供を産むための妃を迎える制度ではない。
王妃の補佐を務めるための妃を迎える制度なのだ。
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