ヒヨクレンリ

なかゆんきなこ

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~番外編~

にゃんにゃんの日

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 二月も終わり近いある日曜日の朝。
 お空は快晴!! 気温もぽかぽか!! ということで、私は今……
 土いじりの真っ最中!! です!!
 夏野菜を植えるのにはまだ早いけれど、春ジャガをね、植えようと思いまして。
 って、これも師匠(隣家の立花さんの奥さん)が教えてくれたんだけど。
 二月の下旬から三月の頭にかけて種イモを植えておけば、六月には収穫できるんだって! むふふ……。楽しみだなあ、イモ掘り。
 春ジャガかあ……。ポトフとか……良いよね!! それからそれから、じゃがバターに、肉じゃがに、カレーも良い!! ジャガイモがごっろごろ入ってるやつ!!
 うすーくスライスして、トマトソースに溶けるチーズをのせて焼いたピザ風も美味しいし!! うーん、考えただけでよだれが……
「うっふっふ~」
 私は来る収穫の日を思い描きながら、「大きく育ってね~。たくさん育ってね~」と、種イモに土をかぶせていく。
 ええと、この土寄せをしっかりしないと、種イモが地上に出てきちゃうから要注意って、師匠が言ってたな。
 これくらいかな……? と、気持ち多めに土を寄せて被せて……
 種イモ全部、植え終わりました~!!
「んんー!!」
 私は立ち上がり、大きく伸びをする。
 ずっとしゃがんでたから、腰が痛いや。

「んなーお」

「ん?」
 トントンと腰を叩いていたら、聞こえてきたこの鳴き声は……
「にゃあ」
「にゃんこ!!」
 ほわああああああ!!!!
 か、可愛い黒猫ちゃんが、いつの間にやら我が家の庭に!!!
「……おおお……」
 の、野良猫なのかなあ?
 ご近所で猫を飼っているお宅は確か……、遠藤さんのお宅? でもヒマラヤンだって聞いたような……
「お、おいで~」
 私は恐る恐る、黒猫ちゃんに手を差し伸べてみた。
 に、逃げちゃうかな……? 
「…………っ!!」
 ね、猫ちゃんが!! 黒猫ちゃんが!!
 ゆっくりとこちらに近付いて来て、わ、私の手をぺろって!!(土で汚れてるのに!! いいの!? いいのかい!? にゃんこちゃん!!!!)
 きゃああああああああああああああ!!!!
 か、可愛い!!! 可愛いよお!!!!
「よ~しよし~」
 頭を撫で撫で。う~ん、良い毛艶ですな~!! 美人さん!!!
「にゃあ~」
「ほああああああ」
 黒猫ちゃんは気持ち良さそうに、体を擦り寄せてきて、それがまたっ……!! 胸キュンものですよ~!!!
「にゃあっ!! 可愛いにゃあ~!!」
「にゃ?」
「にゃああー!!!」
 そのつぶらな瞳にノックアーウトッ!!
 可愛いにゃ~!!! たまらんにゃ~!!!
 ついつい私もにゃんこ口調に。え? いい年こいて何やってんだって?
 いやいやいや!! 赤ちゃんにはついつい赤ちゃん言葉!!
 にゃんこちゃんにはついついにゃんこちゃん言葉になるでしょうよ!!(え? ならない?)
「君はどこのにゃんこちゃんなのかにゃ~?」
「にゃー」
「にゃあ~!!」
 うふふ!! 可愛いにゃ……
 
「……っく」

「!!!!!!!!!!!!」
 こっ、こここここここここの笑いをこらえようとしましたけど堪え切れませんでした的なお声は!?
 正宗さん!? 正宗さんいつの間に庭に!?
「……っ、すみません。お茶を淹れたので、休憩でもと思ったんですが……」
 ひぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!
 よ、呼びに来て下さってのですか!! 嬉しい……けれども!!!
 どっから!? どっから聞かれてた今のにゃんにゃん!!
 正宗さんてば口元を押さえて、ふるふると震えていらっしゃるよもう!!!
 恥ずかしくて穴があったら埋まりたい!! 植えたばかりの種イモのように!!!!
「……っ、あ、あの……ですね」
 こ、このにゃんこちゃんがあまりにも可愛いもので……ですね。
 つ、ついその……あの……
 ……って、んん?
 言葉に詰まる私を尻目に、黒猫ちゃんはすたすたと……
 正宗さんの、足元へ。
「にゃあーおう」
 むむっ!!
「ああ、人懐っこい猫ですね」
 足元に擦り寄る黒猫ちゃんを、抱き上げる正宗さん。
 黒猫ちゃんはごろごろと喉を鳴らして、正宗さんに甘える。
 ちょ!! にゃんこちゃん!?
 私に甘えてた時の数倍デレデレじゃないの!!!
 お前も眼鏡男子が好物か!!!(同志よ!!!)
「んにゃ~ぉ」
「……ははっ。くすぐったい」
 ぺろぺろと、正宗さんの頬を舐める黒猫ちゃん。
 お……おう……!! 猫と戯れる正宗さんとかマジ眼福過ぎて……っ!!
(何故今ここにスマホが無いのですか!!)
 私は農作業のために室内に置いてきたスマホを今すぐ取りに行き、この永久保存モノな光景を今すぐ撮影したい衝動にかられた。
 けれども黒猫ちゃんは、私がじりっと室内に足を向けた瞬間、正宗さんの腕から地面に降り立って。
「んなーお」
 まるで「また来るぜ!」と言い残すかのようにひと鳴きし、走り去ってしまった。
 ……もっと撫で撫でしたかったなあ……
「ばいばーい。……今の猫ちゃん、可愛かったですねえ! 正宗さん」
「はい。ああ……でも……」
「?」

「千鶴さんの鳴き声も、可愛かったです」

「っぁ……!!」
 んにゃあああああああああああああああああああああああ!!!???
 そっ、そげなことをそっ、そんにゃっ!!
 そん……っんぐそ……そんな!!(動揺しすぎだ!!)微笑みながら、とか!!!
 いやああああああああああああ!!!!
 わっ、忘れて下さいいいいいいいいいいいいいい!!!!!


 数日後、例の黒猫ちゃんは町内に新しく越してきたご家族が飼われているにゃんこちゃんだと判明しました。(ご近所に住む小学生の宗憲君が教えてくれました! 同じクラスにその家の子が転校してきたんだって)
 名前はロンちゃん。黒猫の女の子ですって。
 ロンちゃんは我が家の敷地も自分の縄張りと認識したらしく、度々訪れては庭先で日向ぼっこをしたり、雀ハントをしたり……(獲物を見せに来るのはやめてえええ!!)
 正宗さんと私は、そんなロンちゃんを撫でながら……(やっぱりロンちゃんは私より正宗さんにデレっデレです)猫と暮らすのも良いかもですねえって、話している。
 今すぐっていうわけじゃあないけど……さ。
 たとえば私達が、おじいちゃんとおばあちゃんになって。
 縁側に二人並んで、まったりお茶を飲んだり、日向ぼっこしたりしてさ。
その時傍に、可愛い猫がいてくれる。なんて……

 そんな未来も素敵なんじゃないかなあって、ね。



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