52 / 126
~番外編~
「ヒヨクレンリ」×「雛祭り」
しおりを挟む
こちらはブログ一周年記念リクエスト企画のSSとしてブログで公開していたお話です。
********************************************
お話の発端は、二月の終わり頃に遡る。
この時期になると、スーパーにはホワイトデーや受験生応援コーナーと、雛祭りのコーナーが作られていて。
特に雛祭りコーナー!! ピンク色を基調とした華やかな広告に、美味しそうなちらし寿司の写真~。
それに、甘酒に! わ~。雛あられ、いっぱい~!!
「……………」
買い物中に、雛祭りのコーナーを見ていたら、なんかこう……!!
「…………ちらし寿司……甘酒……雛あられ……!」
わ、私も雛祭りしたいな!! って、思っちゃいました。
「……よいしょ……と」
食材を買い込んで帰宅した私は、押入れに頭をつっこんでごそごそと奥の方に置いてある荷物を取り出す。
段ボールの箱に入れられたそれは、私が結婚する時に一緒に持ってきた(というか母に押し付けられた)お雛様だ。子供の頃に買ってもらった、私のお雛様。もう何年も、仕舞いっぱなしだったっけ。
お母さんに「お嫁入り道具よ!」って渡された時、「えー! もう随分飾って無いし。荷物になるよ~。それに、女の子生まれるまで使わないし……」とぶーたれていたけど。
……か、飾っちゃおうと思います!! お、女の子いないけど!! 飾っちゃってもいいよね!?
「うう……。ずうっとほっておいてごめんね? お雛様……」
私のお雛様は、ガラスケースの中にお雛様とお内裏様が並んでいる小さなもの。
ガラスケースを綺麗に拭いて、一階の和室に飾ってみました!!(お茶の間の隣にある、お仏壇を置いている和室です)
その日帰って来た正宗さんに、「お雛様飾っちゃいました」って言ったら、「ああ、綺麗ですね」って言ってもらえた……!!
正宗さんは一人っ子で女兄弟がいなかったから、お雛様が物珍しかったみたい。
スーツから浴衣に着替えられた後も、和室に行ってじいっと見入ってらっしゃった。
「お隣の立花さんのところは、お雛様も八段飾りなんですよ~」
師匠(立花さんの奥さんです。私の家庭菜園の師匠!!)のお宅にお邪魔してお茶を御馳走になった時、見せてもらったのです。
すごかったな~!! 師匠がご実家からお嫁入りの時に持って来られて、今は娘の千代ちゃんのお雛様に。三人官女や五人囃子、お雛様のお嫁入り道具まであって、華やかで綺麗だった~!!
「でも千代ちゃんは、やっぱりちょっと怖いみたいで。夜にはお雛様のお部屋に絶対近寄らないんですって」
「へえ」
わかる! わかるよ千代ちゃん!! その気持ち!!
私もそうだったもんな~。
昼間とか、明るい時は平気なんだけど。夜はどうしても……!!
動くんじゃないかって、夜にトイレ行くのも怖かったっけな……。
「私も小さい頃は、夜になるとお雛様とお内裏様がこう……、ガタガタっと! ガラスケースを倒して出てくるんじゃないかと……」
「……くっ」
「あっ! 笑いましたね!!」
「すみません。つい……」
もう!! 本当に怖いんですよ!! 夜のお雛様!!
そして三月三日。今年の桃の節句は日曜日だ。
というわけで、お雛様もばっちり飾っておりますし……!!
「今日は我が家も雛祭りです~」
その日のお昼。
私はお雛様を飾ってある和室に食卓を運びこんで、そこに雛祭りのご馳走を並べる。
ちらし寿司に、菜の花のお浸し。海老フライに、ハマグリのお吸い物!!
それからデザートは、桜餅!! と、雛あられ!!
甘酒もありますよ~!! あ、もちろんビールに日本酒も!!
うふふ。今日はお昼から、夫婦二人でお酒を飲むのです~。
「ああ……。美味しそうですね」
「ありがとうございます!」
こういうイベント事って、なんか張り切っちゃうね。
私達はもぐもぐと雛祭りのご馳走を食べながら、お酒を飲み。
そして食後は熱い緑茶と一緒に、桜餅を頬張って。
桃の節句をお祝いしました。
「……うーん。女の子もいないのに、満喫しちゃいましたね~。雛祭り」
ちらし寿司美味しかった~!!
菜の花も、これを食べると春だな~って思うよね~。
甘酒も、久しぶりに飲んでみたら結構美味しくて。(ちなみに今は雛あられをつまみながら、二人でまったり日本酒を飲んでおります)
でもなあ……。やっぱり変だったかなあ……?
私、浮かれすぎたかなあ……?
「いいんじゃないですか? こういうのも。それに……」
「……?」
正宗さんは桃色の雛あられを一つ、つまんで。
にっこりと、微笑む。
「いつか来る日の予行練習だと思えば、ね?」
「……っ!!」
そ、それはつまりその……っ!
で、でもあの……っ!! こ、子供は欲しいと思っておりますけれども……!!
も、もし……
「お、女の子が生まれなかったら……?」
「そうですねえ。もし男の子でも……」
正宗さんは少し考えてから、私をじっと見て……
ふっと、笑った。
「千鶴さんの子供ですから、きっと「自分も雛祭りする!」って言うんじゃないでしょうか」
「……っ!!」
い、言いそう!! ええ、ええ!!
何せ私、端午の節句に鯉のぼりを要求した前科がありますからね!!(子供のころに!!)
私に似たら、きっと「雛祭りに自分のことも祝え!! もちろん子供の日もね!!」って、言いそう!! さらに、「ケーキ買ってよ!! ケーキ!!」って、雛祭りのケーキまで要求しそうだ……!!
「うあー。ひ、否定できません……」
「ははっ。……うん、でも。やっぱり女の子も男の子も、欲しいですねえ」
「……ですねえ」
私達はふふっと、笑いあう。
うん。男の子も欲しいし、女の子も欲しい。
それで、家族みんなで雛祭りや子供の日を祝えたら、楽しいだろうな……。
いつかくる……
ううん。いつか、きてほしい未来のことを二人、語り合った。
三月三日の、お話。
********************************************
お話の発端は、二月の終わり頃に遡る。
この時期になると、スーパーにはホワイトデーや受験生応援コーナーと、雛祭りのコーナーが作られていて。
特に雛祭りコーナー!! ピンク色を基調とした華やかな広告に、美味しそうなちらし寿司の写真~。
それに、甘酒に! わ~。雛あられ、いっぱい~!!
「……………」
買い物中に、雛祭りのコーナーを見ていたら、なんかこう……!!
「…………ちらし寿司……甘酒……雛あられ……!」
わ、私も雛祭りしたいな!! って、思っちゃいました。
「……よいしょ……と」
食材を買い込んで帰宅した私は、押入れに頭をつっこんでごそごそと奥の方に置いてある荷物を取り出す。
段ボールの箱に入れられたそれは、私が結婚する時に一緒に持ってきた(というか母に押し付けられた)お雛様だ。子供の頃に買ってもらった、私のお雛様。もう何年も、仕舞いっぱなしだったっけ。
お母さんに「お嫁入り道具よ!」って渡された時、「えー! もう随分飾って無いし。荷物になるよ~。それに、女の子生まれるまで使わないし……」とぶーたれていたけど。
……か、飾っちゃおうと思います!! お、女の子いないけど!! 飾っちゃってもいいよね!?
「うう……。ずうっとほっておいてごめんね? お雛様……」
私のお雛様は、ガラスケースの中にお雛様とお内裏様が並んでいる小さなもの。
ガラスケースを綺麗に拭いて、一階の和室に飾ってみました!!(お茶の間の隣にある、お仏壇を置いている和室です)
その日帰って来た正宗さんに、「お雛様飾っちゃいました」って言ったら、「ああ、綺麗ですね」って言ってもらえた……!!
正宗さんは一人っ子で女兄弟がいなかったから、お雛様が物珍しかったみたい。
スーツから浴衣に着替えられた後も、和室に行ってじいっと見入ってらっしゃった。
「お隣の立花さんのところは、お雛様も八段飾りなんですよ~」
師匠(立花さんの奥さんです。私の家庭菜園の師匠!!)のお宅にお邪魔してお茶を御馳走になった時、見せてもらったのです。
すごかったな~!! 師匠がご実家からお嫁入りの時に持って来られて、今は娘の千代ちゃんのお雛様に。三人官女や五人囃子、お雛様のお嫁入り道具まであって、華やかで綺麗だった~!!
「でも千代ちゃんは、やっぱりちょっと怖いみたいで。夜にはお雛様のお部屋に絶対近寄らないんですって」
「へえ」
わかる! わかるよ千代ちゃん!! その気持ち!!
私もそうだったもんな~。
昼間とか、明るい時は平気なんだけど。夜はどうしても……!!
動くんじゃないかって、夜にトイレ行くのも怖かったっけな……。
「私も小さい頃は、夜になるとお雛様とお内裏様がこう……、ガタガタっと! ガラスケースを倒して出てくるんじゃないかと……」
「……くっ」
「あっ! 笑いましたね!!」
「すみません。つい……」
もう!! 本当に怖いんですよ!! 夜のお雛様!!
そして三月三日。今年の桃の節句は日曜日だ。
というわけで、お雛様もばっちり飾っておりますし……!!
「今日は我が家も雛祭りです~」
その日のお昼。
私はお雛様を飾ってある和室に食卓を運びこんで、そこに雛祭りのご馳走を並べる。
ちらし寿司に、菜の花のお浸し。海老フライに、ハマグリのお吸い物!!
それからデザートは、桜餅!! と、雛あられ!!
甘酒もありますよ~!! あ、もちろんビールに日本酒も!!
うふふ。今日はお昼から、夫婦二人でお酒を飲むのです~。
「ああ……。美味しそうですね」
「ありがとうございます!」
こういうイベント事って、なんか張り切っちゃうね。
私達はもぐもぐと雛祭りのご馳走を食べながら、お酒を飲み。
そして食後は熱い緑茶と一緒に、桜餅を頬張って。
桃の節句をお祝いしました。
「……うーん。女の子もいないのに、満喫しちゃいましたね~。雛祭り」
ちらし寿司美味しかった~!!
菜の花も、これを食べると春だな~って思うよね~。
甘酒も、久しぶりに飲んでみたら結構美味しくて。(ちなみに今は雛あられをつまみながら、二人でまったり日本酒を飲んでおります)
でもなあ……。やっぱり変だったかなあ……?
私、浮かれすぎたかなあ……?
「いいんじゃないですか? こういうのも。それに……」
「……?」
正宗さんは桃色の雛あられを一つ、つまんで。
にっこりと、微笑む。
「いつか来る日の予行練習だと思えば、ね?」
「……っ!!」
そ、それはつまりその……っ!
で、でもあの……っ!! こ、子供は欲しいと思っておりますけれども……!!
も、もし……
「お、女の子が生まれなかったら……?」
「そうですねえ。もし男の子でも……」
正宗さんは少し考えてから、私をじっと見て……
ふっと、笑った。
「千鶴さんの子供ですから、きっと「自分も雛祭りする!」って言うんじゃないでしょうか」
「……っ!!」
い、言いそう!! ええ、ええ!!
何せ私、端午の節句に鯉のぼりを要求した前科がありますからね!!(子供のころに!!)
私に似たら、きっと「雛祭りに自分のことも祝え!! もちろん子供の日もね!!」って、言いそう!! さらに、「ケーキ買ってよ!! ケーキ!!」って、雛祭りのケーキまで要求しそうだ……!!
「うあー。ひ、否定できません……」
「ははっ。……うん、でも。やっぱり女の子も男の子も、欲しいですねえ」
「……ですねえ」
私達はふふっと、笑いあう。
うん。男の子も欲しいし、女の子も欲しい。
それで、家族みんなで雛祭りや子供の日を祝えたら、楽しいだろうな……。
いつかくる……
ううん。いつか、きてほしい未来のことを二人、語り合った。
三月三日の、お話。
10
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる