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~番外編~
みんな大好き
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こちらは以前ブログにて本編完結記念SSとして書いたお話です。
陽菜が生まれたあと、幸村と朧が赤ちゃんを見に来た時のお話。
********************************************
今日は、幸村先生と朧さんが、正宗さんと優月と一緒に赤ちゃんの顔を見に来てくれました。
「うわああああああ、可愛いいねええええ!!」
私の腕に抱かれた赤ちゃんを見て、幸村先生はメロメロ顔です。
「真、うるさい。でも本当に可愛いな……」
そして普段はツンな朧さんも、とても優しいお顔で赤ちゃんを見つめている。
うふふ、でしょう~! うちの子、めっちゃ可愛いでしょう~!!
なんて、私もたいがい親馬鹿ですね~。
でも本当にそう思うんだからしょうがないのです!!
無事に生まれてきてくれたこの子が可愛くて愛おしくてたまらないのです!!
「せっかくだから、抱いてみますか?」
私がそう言って赤ちゃんを差し出すと、幸村先生は「いいの!?」と驚いて、それから恐る恐る赤ちゃんを抱き上げた。
「うわあ……。なんだろうこの幸福感……!!」
赤ちゃんの小さな身体をしっかりと抱いて、幸村先生が感極まったように仰る。
「真、次、俺にも。俺にも抱かせろ」
「もうちょっと待ってよ~」
「早く!」
「二人とも落ち着け。せっかくご機嫌なのに泣いてしまうだろうが」
赤ちゃんを取り合う二人に、正宗さんが呆れつつ口を挟む。
そして、騒ぐなら自分が代わりに抱くから返せ、なんて。
そういえば、優月が生まれた時もこの三人はこうやって赤ちゃんを取り合っておりましたね~。
「…………」
おや?
そういえば、率先して「ぼくもー!」と三人の輪に加わる優月がやけに静かですね。
赤ちゃんが生まれた時から、顔を見るたびに「ぼくの妹!」「かわいい!」と騒いでいた優月が、なんだかちょっと……しょんぼりしているように見えます。
病室に入ってきた時は元気いっぱいに朧さんの手を引いて「ぼくの妹だよ! 見て見て!」って言っていたのになあ……
(あっ!!)
もしかして、大人達の関心がみんな赤ちゃんに注がれているのが寂しいのかな。さっきからみんな赤ちゃんに夢中だったし。
赤ちゃんのことばっかりに気をとられて、優月の気持ちを考えてあげられていなかった。
これまではずっと自分が大人達の関心の中心、主役だったもんね。
それが下の子に奪われる寂しさやちょっとした不満は、私にも覚えがある感情だ。
ずっとずっと昔、弟の雲雀が生まれた時、私もそんな不満を抱いちゃったもの。
弟のことはすっごく可愛いけど、それとはまた別問題……なんだよね。
「ゆづ……」
「優月」
私が優月をフォローしようとするより先に動いたのは、朧さんだった。
「よいしょ……っと」
しょんぼりしている優月の身体を抱き上げて、小さなおでこにこつんっと自分の額を当て、朧さんはからかうように笑う。
「なんだ、しょぼくれた顔して」
「…………だって、みんな、ちまちゃんのことばっかりだから……」
や、やっぱりかー。
それを聞いて、私だけでなく正宗さんも幸村先生もしまったという顔をする。
「……優月は妹のこと、好きか?」
「好きだよ! かわいいし、ぼくの妹だし。……だけど、ちょっぴりさびしいって思っちゃったの。みんなをとらないでーって、思っちゃったの。ぼく、ひどいお兄ちゃんだ……」
ひどくないよ!!
むしろこっちがごめんね、だよ。
けしてないがしろにしていたつもりはないんだけど、優月にそんな不安を抱かせてしまった。
「ひどくない。むしろお前くらいの年なら、もっと我儘を言ってもいいくらいだ。優月は良いお兄ちゃんだよ」
「…………」
「大丈夫だ優月。赤ちゃんはみんなをとったりしない。お前の妹はめちゃくちゃ可愛いが、同じくらい、みんなお前のことを可愛いと思ってるんだからな」
「ろーちゃん……」
「だからお前は安心して、妹を可愛がるといい」
「ろーちゃん……。うん、ありがとう!」
朧さんは「よし」とそれはもう素敵な笑顔を浮かべて優月を床に下ろした。
そして幸村先生の腕から赤ちゃんを抱きとると、優月に顔を見せてやる。
優月ははにかむように笑って、赤ちゃんに「……お兄ちゃんだよ、ちま」と語りかけた。
ありがとうございます、朧さん。
妹ができて嬉しい気持ちと、今まで自分にだけ注がれていた関心が妹に向けられた寂しさで揺れていた優月の心は、朧さんの言葉でずいぶんと救われたようです。
「優月、おいで」
私はおいでおいでと、優月を手招きした。
そして、こちらに歩み寄ってきた優月の身体をギューっ!! と、思いっきり抱きしめる。
「わあっ」
「お母さんだって、優月がめちゃくちゃ可愛くて、大好きだぞ~!!」
下の子ができて、不安に思ってしまう気持ちはよくわかる。
だからその度に何度だって、私はこの子に伝えてあげたいと思った。
私達は君のことを愛しているよ、って。
「お父さんもだぞ」
そう言って、今度は正宗さんが優月の身体をギューっと抱きしめた。
「わああ、苦しいよ、お父さん」
正宗さんの腕の中で、優月は照れくさそうに笑っている。
「ゆーちゃん! まこちゃんも、ゆーちゃんが大好きだよ~!!」
そして最後のハグは幸村先生だ。
高く抱きあげられて、優月は「きゃ~」と歓声を上げる。
「ほらな。心配いらないだろ?」
「うん! ありがとう、ろーちゃん。ぼくもみんな大好きだ!」
優月の嬉しそうな笑顔に、私達もみんな笑顔になったのでした。
陽菜が生まれたあと、幸村と朧が赤ちゃんを見に来た時のお話。
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今日は、幸村先生と朧さんが、正宗さんと優月と一緒に赤ちゃんの顔を見に来てくれました。
「うわああああああ、可愛いいねええええ!!」
私の腕に抱かれた赤ちゃんを見て、幸村先生はメロメロ顔です。
「真、うるさい。でも本当に可愛いな……」
そして普段はツンな朧さんも、とても優しいお顔で赤ちゃんを見つめている。
うふふ、でしょう~! うちの子、めっちゃ可愛いでしょう~!!
なんて、私もたいがい親馬鹿ですね~。
でも本当にそう思うんだからしょうがないのです!!
無事に生まれてきてくれたこの子が可愛くて愛おしくてたまらないのです!!
「せっかくだから、抱いてみますか?」
私がそう言って赤ちゃんを差し出すと、幸村先生は「いいの!?」と驚いて、それから恐る恐る赤ちゃんを抱き上げた。
「うわあ……。なんだろうこの幸福感……!!」
赤ちゃんの小さな身体をしっかりと抱いて、幸村先生が感極まったように仰る。
「真、次、俺にも。俺にも抱かせろ」
「もうちょっと待ってよ~」
「早く!」
「二人とも落ち着け。せっかくご機嫌なのに泣いてしまうだろうが」
赤ちゃんを取り合う二人に、正宗さんが呆れつつ口を挟む。
そして、騒ぐなら自分が代わりに抱くから返せ、なんて。
そういえば、優月が生まれた時もこの三人はこうやって赤ちゃんを取り合っておりましたね~。
「…………」
おや?
そういえば、率先して「ぼくもー!」と三人の輪に加わる優月がやけに静かですね。
赤ちゃんが生まれた時から、顔を見るたびに「ぼくの妹!」「かわいい!」と騒いでいた優月が、なんだかちょっと……しょんぼりしているように見えます。
病室に入ってきた時は元気いっぱいに朧さんの手を引いて「ぼくの妹だよ! 見て見て!」って言っていたのになあ……
(あっ!!)
もしかして、大人達の関心がみんな赤ちゃんに注がれているのが寂しいのかな。さっきからみんな赤ちゃんに夢中だったし。
赤ちゃんのことばっかりに気をとられて、優月の気持ちを考えてあげられていなかった。
これまではずっと自分が大人達の関心の中心、主役だったもんね。
それが下の子に奪われる寂しさやちょっとした不満は、私にも覚えがある感情だ。
ずっとずっと昔、弟の雲雀が生まれた時、私もそんな不満を抱いちゃったもの。
弟のことはすっごく可愛いけど、それとはまた別問題……なんだよね。
「ゆづ……」
「優月」
私が優月をフォローしようとするより先に動いたのは、朧さんだった。
「よいしょ……っと」
しょんぼりしている優月の身体を抱き上げて、小さなおでこにこつんっと自分の額を当て、朧さんはからかうように笑う。
「なんだ、しょぼくれた顔して」
「…………だって、みんな、ちまちゃんのことばっかりだから……」
や、やっぱりかー。
それを聞いて、私だけでなく正宗さんも幸村先生もしまったという顔をする。
「……優月は妹のこと、好きか?」
「好きだよ! かわいいし、ぼくの妹だし。……だけど、ちょっぴりさびしいって思っちゃったの。みんなをとらないでーって、思っちゃったの。ぼく、ひどいお兄ちゃんだ……」
ひどくないよ!!
むしろこっちがごめんね、だよ。
けしてないがしろにしていたつもりはないんだけど、優月にそんな不安を抱かせてしまった。
「ひどくない。むしろお前くらいの年なら、もっと我儘を言ってもいいくらいだ。優月は良いお兄ちゃんだよ」
「…………」
「大丈夫だ優月。赤ちゃんはみんなをとったりしない。お前の妹はめちゃくちゃ可愛いが、同じくらい、みんなお前のことを可愛いと思ってるんだからな」
「ろーちゃん……」
「だからお前は安心して、妹を可愛がるといい」
「ろーちゃん……。うん、ありがとう!」
朧さんは「よし」とそれはもう素敵な笑顔を浮かべて優月を床に下ろした。
そして幸村先生の腕から赤ちゃんを抱きとると、優月に顔を見せてやる。
優月ははにかむように笑って、赤ちゃんに「……お兄ちゃんだよ、ちま」と語りかけた。
ありがとうございます、朧さん。
妹ができて嬉しい気持ちと、今まで自分にだけ注がれていた関心が妹に向けられた寂しさで揺れていた優月の心は、朧さんの言葉でずいぶんと救われたようです。
「優月、おいで」
私はおいでおいでと、優月を手招きした。
そして、こちらに歩み寄ってきた優月の身体をギューっ!! と、思いっきり抱きしめる。
「わあっ」
「お母さんだって、優月がめちゃくちゃ可愛くて、大好きだぞ~!!」
下の子ができて、不安に思ってしまう気持ちはよくわかる。
だからその度に何度だって、私はこの子に伝えてあげたいと思った。
私達は君のことを愛しているよ、って。
「お父さんもだぞ」
そう言って、今度は正宗さんが優月の身体をギューっと抱きしめた。
「わああ、苦しいよ、お父さん」
正宗さんの腕の中で、優月は照れくさそうに笑っている。
「ゆーちゃん! まこちゃんも、ゆーちゃんが大好きだよ~!!」
そして最後のハグは幸村先生だ。
高く抱きあげられて、優月は「きゃ~」と歓声を上げる。
「ほらな。心配いらないだろ?」
「うん! ありがとう、ろーちゃん。ぼくもみんな大好きだ!」
優月の嬉しそうな笑顔に、私達もみんな笑顔になったのでした。
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