デイリーさんに叱られる〜転生先を奪われた悪役令息は、デイリーミッションで世界の秘密を知るようです〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第23話 魔力の限界

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「魔力を吸う石には、それぞれに吸える限界値というものがあります。シルヴィオさまの魔力量が思っていたよりも多く、それを越えてしまったのでしょう。石から熱を感じたということは、石が限界だったということです。限界を越えた石は熱を持ち破裂するものなのです。ですので緊急措置として、石から引き離させていただきました。」

「そうだったんですね⋯⋯。」
 ラヴェール王子は驚いたように言う。
「鑑定もまだの年齢で、このような結果になるとは思わず⋯⋯。私の想像が足りませんでした。あの国王さまのお子なのです。可能性はゼロではありませんでした。」

 ジギースの口ぶりからするに、シルヴィオの父親はかなり膨大な魔力を持っているようだった。スキルは引き継がれないが、ステータスは遺伝しやすいものだと授業で教わったばかりだ。

 その子どもを“魔王の器”として狙ったのも、それが遺伝する可能性を踏まえてのことだったのかも知れないとシルヴィオは思う。

 それに加えて、シルヴィオはデイリーミッションで得たスキルにより、城の中に引きこもっている3歳時とは思えない経験値を得て、どんどんレベルアップしているのだ。

 人と比べたことはないが、同年代どころか大人とも遜色のない力を得ている可能性すらある。それを予測するのはさすがに不可能というものだろう。

「私はこれを報告してきます。怪我はないと思いますが、念の為見ていただきましょう。今日の授業はこれで終了です。」

 ジギースはそう言って侍女を呼ぶと、宮侍医を呼ぶよう伝え、部屋を出て行った。
 申し訳ないことをしてしまったなと、シルヴィオは反省したのだった。

 授業が中止になったので、急に時間が出来た。シルヴィオはそれを鍛錬の時間にあてることにした。

 シルヴィオは前世で日本人だった時、一子相伝の桐野古武体術を祖父より教わって会得していた。

 近接攻撃であれば誰にも負けない自信があったし、下手に戦うと殺してしまうこともわかっていた。だから滅多なことでは戦おうとはしなかった。

 だがこの先、自分の体を“魔王の器”として狙ってくるシーラたちと、戦うこともあるだろう。今は自分の成長を待っているから味方側にいるが、シルヴィオはあくまでも器でしかない。何もしなければ体を乗っ取られる運命だ。

 今の自分には、“魔王の器”に与えられたスキルと、デイリーミッションで手に入れたスキルがあるが、それがどこまで始祖の吸血鬼だというシーラに通じるのかがわからない。

 だが今まで使っていた桐野古武体術であれば、ある程度戦っている自分の姿が想像出来る。まずは丹田に力を貯める訓練から始めることにした。

 魔力で戦うこの世界の人たちが知らない戦い方。鍛え方も自分しか知らない。これはかなりのアドバンテージになるだろうと思えた。

 坐禅を組み、体の中の気を練って丹田に集めるよう意識をする。
『やっぱりだ⋯⋯!この世界の体にも、気は存在する!このまま鍛えれば、僕しか出来ない戦い方が出来るようになるぞ!」

 シルヴィオはグッと拳を握りしめると、魔力を吸って上限を上げる訓練と同時に、気を練り上げる訓練を開始した。

 魔力を吸って上限を上げる為の石は、魔法師団長の魔力を吸っても問題ないレベルのものが用意されることになった。

 だがそれでも手の中で熱くなってしまい、すぐに満タンになってしまう。
「どうしたらいいんだろう⋯⋯。」

 困ったシルヴィオはボソリと呟く。このレベルの石であれば確実に安全と思われているのか、家庭教師の前でなく、自室で各自訓練するよう、石が手渡されている。

 おかげでこのレベルの石でも無理だと知られることはなくなったが、これでは訓練にならないことには違いがなかった。

「魔力の抜けた魔石に、魔力をこめて、ついでに売ったらいいんじゃねえの。」
 シルヴィオの部屋のソファーで、寝っ転がりながら肘をついた手に頭を乗せながら、レルグが面倒くさそうに言ってくる。

「え?それってどういうこと?」
「魔石ってのは知ってるか?」
「うん、魔物を倒すとドロップする宝石みたいなやつだよね?王宮のあかりなんかも、魔石を使った魔道具だって習ったよ。」

「魔石に込められてる魔力ってのは、使えば消耗するもんだからな。人間は魔力を使い切った魔石を新しく購入してんだとさ。魔力を使い切った魔石に魔力を込める仕事をしてる魔法使いもいるらしいぜ?」

「そうなの?詳しいね、レルグ。」
「ここにいても暇なだけだからな。色々と調べて回ってた。城の中しか動き回れねえけどな。」

 ダンジョン“魔王の揺りかご”の番人であったレルグたちは、そこを突破されてしまえばあとはシルヴィオの配下として過ごす以外に用事はない。

 だが城の結界のせいで、自由に城の外に出入りが出来ない。暇つぶしに城の中の人間たちを通じて、この国の事情を探っていたのだと教えてくれた。

────────────────────

本分抜けてました💦
申し訳ありません。

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