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第25話 魔力の練度の上げ方
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【デイリーミッションクリア
報酬:エクストラポーション1本
アイテムボックスに直接納品されます】
デイリーミッションは神の恩恵によるもので、この世でシルヴィオしか受けることの出来ないものだ。出て来るところを魔族に見られて気付かれないようにする為なのか、直接アイテムボックスの中に納品された。
普通に目の前に現れていたら、シーラに見咎められていたことだろう、ということに今更ながらに気付いた。デイリーさんが気を使ってくれたらしい。
『ありがとう、デイリーさん。これでデイリーミッションに気付かれなくてすむよ。』
【どういたしまして。】
シルヴィオを守る為にやったことだと気付いてお礼を言ったからか、デイリーさんは少し機嫌が治ったようだった。
「今日はこんなところね。さ、レルグ、納品してきてちょうだい。」
「あいよ。いくぜギィ。」
「ギィ~!」
レルグに首根っこを引っ掴まれて、引っ張られたギィは、仕方無しにレルグを連れて影の中へと潜って行った。
何日かそれを続けていると、家庭教師の授業の合間の休憩の食事時間に、ラヴェール王子が嬉しそうに雑談をふってきた。
「最近うちの騎士団の活躍が目覚ましいって話を、シルヴィオは知っているかい?」
「そうなんですか?」
「うん、どうも新しく頼むようにした業者がとても優秀らしくてね。魔石に魔力を込め直す作業って、とっても時間がかかるから、すぐには戻って来ない筈なんだけど、そこに頼むと1日で戻って来るらしいんだ。」
思わずギクッとするシルヴィオ。
「そ、そうなんですか?」
「ああ。だから今までは魔物が出てこないように、ある程度間引くだけった森に、開発に入ろうということになったみたいだよ。」
「それが出来るとどうなるんですか?」
「人の住める場所が増えることになるね。今までは駐屯地を作ったり、冒険者ギルドが近くにあって、冒険者が魔物を狩りに行かれる地域にしか、村を作れなかったんだけど、これからはもっと色んなところに人が住めるようになるから、農耕地が増えるって、大臣たちは考えてるみたいだよ。」
「そ、そうなんですね⋯⋯。」
「我が国は農耕地が少なくて、自給自足がままならなかったから、輸入に頼ることも多かったんだけど、これからはそういうことも減っていきそうだ。これで戦争反対派が勢いづくんじゃないかな。」
「⋯⋯戦争をしてたんですか?」
シルヴィオのところには、届いていない情報だった。
「一番簡単なのは、戦争で領地を奪うことだからね。いかに大義名分を見つけて、どこを攻めるか。常に考えられていることだよ。僕も戦争には反対だけど、かと言って国民を飢えさせない方法が思いつくわけじゃなかったからね⋯⋯。今回の作戦がうまくいけばいいなって思っているよ。」
はからずも、シルヴィオの行いが国の為につながったらしい。そういうことなら、もっと頑張ろう、とシルヴィオは思った。
魔力を込めて限界まで使用し、魔力を上げる訓練をある程度行ったので、今度は魔力の練度を高める訓練をしましょう、とジギースが言った。
「魔力の練度、ですか?」
「はい。同じ魔力量でも、練度の高い魔力は強い魔法を生み出します。」
ジギースは教科書を指し示しながら言う。
「例えばファイアーボールひとつとっても、必要な魔力量と知力などのステータスで威力が変わるものなのです。そこに練度が加わると、正確に攻撃を当てられたり、攻撃力を上乗せ出来たりするのです。」
「普通に放てばまっすぐ飛ばすだけだけど、角度を変えたり、的に向けて狙い撃ちが出来るということですね?」
「そういうことです、ラヴェールさま。」
仮にこれが防御力強化の魔法であれば、より強固に守る魔法が練り上げられるということらしい。
「ではライトの魔法を使ってみましょう。あかりを付ける魔法です。指先にあかりがともるのをイメージして。ライトと唱えてください。」
「ライト!」
「ライト⋯⋯。」
「はい、お2人方とも大変上手ですよ。ではそれを、大きさをそのままに、あかりが増すようにイメージしてみてください。」
「む、難しいですね⋯⋯。光が大きくなってしまいます。」
ラヴェール王子は苦戦しているようだ。
シルヴィオは、懐中電灯のあかりの大きさが、スイッチで切り替わる感じをイメージしてみた。すると大きさがそのままに、パアッとあかりが強くまぶしくなった。
「お上手です!そのまま暗くしたり、更に明るくしたりを繰り返すのです。」
ジギースに言われるがまま、スイッチを切り替えるように、あかりを小さくしたり、大きくしたりしてみせるシルヴィオ。
「す、凄いねシルヴィオは⋯⋯。」
ラヴェール王子が呆然としている。
「どうしたらそんな風に出来るの?」
「兄さまは、廊下のあかりが切れたり、ついたりするのをご覧になったことはありますか?」
「うん、あるよ。」
ラヴェール王子がこっくりとうなずく。
「僕はそれをイメージしてみました。」
「大変よいですね。魔法にはイメージが大切です。具体的なイメージがあると、魔法が発動しやすくなると言われています。」
ジギースがうなずきながら言う。
────────────────────
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『ありがとう、デイリーさん。これでデイリーミッションに気付かれなくてすむよ。』
【どういたしまして。】
シルヴィオを守る為にやったことだと気付いてお礼を言ったからか、デイリーさんは少し機嫌が治ったようだった。
「今日はこんなところね。さ、レルグ、納品してきてちょうだい。」
「あいよ。いくぜギィ。」
「ギィ~!」
レルグに首根っこを引っ掴まれて、引っ張られたギィは、仕方無しにレルグを連れて影の中へと潜って行った。
何日かそれを続けていると、家庭教師の授業の合間の休憩の食事時間に、ラヴェール王子が嬉しそうに雑談をふってきた。
「最近うちの騎士団の活躍が目覚ましいって話を、シルヴィオは知っているかい?」
「そうなんですか?」
「うん、どうも新しく頼むようにした業者がとても優秀らしくてね。魔石に魔力を込め直す作業って、とっても時間がかかるから、すぐには戻って来ない筈なんだけど、そこに頼むと1日で戻って来るらしいんだ。」
思わずギクッとするシルヴィオ。
「そ、そうなんですか?」
「ああ。だから今までは魔物が出てこないように、ある程度間引くだけった森に、開発に入ろうということになったみたいだよ。」
「それが出来るとどうなるんですか?」
「人の住める場所が増えることになるね。今までは駐屯地を作ったり、冒険者ギルドが近くにあって、冒険者が魔物を狩りに行かれる地域にしか、村を作れなかったんだけど、これからはもっと色んなところに人が住めるようになるから、農耕地が増えるって、大臣たちは考えてるみたいだよ。」
「そ、そうなんですね⋯⋯。」
「我が国は農耕地が少なくて、自給自足がままならなかったから、輸入に頼ることも多かったんだけど、これからはそういうことも減っていきそうだ。これで戦争反対派が勢いづくんじゃないかな。」
「⋯⋯戦争をしてたんですか?」
シルヴィオのところには、届いていない情報だった。
「一番簡単なのは、戦争で領地を奪うことだからね。いかに大義名分を見つけて、どこを攻めるか。常に考えられていることだよ。僕も戦争には反対だけど、かと言って国民を飢えさせない方法が思いつくわけじゃなかったからね⋯⋯。今回の作戦がうまくいけばいいなって思っているよ。」
はからずも、シルヴィオの行いが国の為につながったらしい。そういうことなら、もっと頑張ろう、とシルヴィオは思った。
魔力を込めて限界まで使用し、魔力を上げる訓練をある程度行ったので、今度は魔力の練度を高める訓練をしましょう、とジギースが言った。
「魔力の練度、ですか?」
「はい。同じ魔力量でも、練度の高い魔力は強い魔法を生み出します。」
ジギースは教科書を指し示しながら言う。
「例えばファイアーボールひとつとっても、必要な魔力量と知力などのステータスで威力が変わるものなのです。そこに練度が加わると、正確に攻撃を当てられたり、攻撃力を上乗せ出来たりするのです。」
「普通に放てばまっすぐ飛ばすだけだけど、角度を変えたり、的に向けて狙い撃ちが出来るということですね?」
「そういうことです、ラヴェールさま。」
仮にこれが防御力強化の魔法であれば、より強固に守る魔法が練り上げられるということらしい。
「ではライトの魔法を使ってみましょう。あかりを付ける魔法です。指先にあかりがともるのをイメージして。ライトと唱えてください。」
「ライト!」
「ライト⋯⋯。」
「はい、お2人方とも大変上手ですよ。ではそれを、大きさをそのままに、あかりが増すようにイメージしてみてください。」
「む、難しいですね⋯⋯。光が大きくなってしまいます。」
ラヴェール王子は苦戦しているようだ。
シルヴィオは、懐中電灯のあかりの大きさが、スイッチで切り替わる感じをイメージしてみた。すると大きさがそのままに、パアッとあかりが強くまぶしくなった。
「お上手です!そのまま暗くしたり、更に明るくしたりを繰り返すのです。」
ジギースに言われるがまま、スイッチを切り替えるように、あかりを小さくしたり、大きくしたりしてみせるシルヴィオ。
「す、凄いねシルヴィオは⋯⋯。」
ラヴェール王子が呆然としている。
「どうしたらそんな風に出来るの?」
「兄さまは、廊下のあかりが切れたり、ついたりするのをご覧になったことはありますか?」
「うん、あるよ。」
ラヴェール王子がこっくりとうなずく。
「僕はそれをイメージしてみました。」
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