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第32話 魔道具を作るのに必要なこと
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「生徒たちの安全面から、それを学園側が受け入れるかはわかりかねますが、着眼点は面白いですな。新しもの好きの貴族たちにも受けて、研究開発費も集まりやすいでしょうし、実現すれば売れることでしょう。」
「協力していただけますか?」
「私などの力でよろしければ、ぜひ。開発過程で、兵器利用されない為の方法も、一緒に考えましょう。」
マッド宮廷伯はニッコリと微笑んだ。
「出来れば、僕以外にも、年齢の近い子どもたちと、一緒に出来たらなと思ってるんですけど⋯⋯。」
「年齢の近い子ども、ですか?はて。なぜですかな?」
「僕一人じゃ大変だって言うのもありますけど⋯⋯。僕はまだ年齢の近いお友だちがいないので、一緒に研究をしたら仲良くなれるんじゃないかなと思って⋯⋯。」
子どもらしい純粋な要求を装って、カロリーナとの接点を作る為、シルヴィオはマッド宮廷伯にお願いをしてみた。
「では、ラヴェール王子以外の子どもと、ということですかな?」
「はい。でも、僕はまだ王宮の人以外と話したことがないので、あまりたくさんの人と一度に会うのは怖いです。」
「ふむ⋯⋯。」
ヒゲをさすりながらマッド宮廷伯が唸る。
「マッド宮廷伯は、兄さまのお友だちのカロリーナ嬢のひいお爺さまなのですよね?一度お話してみたいと思っていたのです。
カロリーナ嬢を連れて来ていただくことは出来ませんか?」
「カロリーナを、ですか?」
「駄目でしょうか⋯⋯。」
出来るだけ愛らしい幼児に見えるよう、両手の拳をギュッと握りしめながら、上目遣いでマッド宮廷伯を見つめるシルヴィオ。
「僕もそれに加わってもいいかい?シルヴィオ。」
ラヴェール王子がずい、と身を乗り出して来る。
「兄さまも、ですか?」
「シルヴィオの研究はとても面白そうだ。実現に関われるのなら勉強になるだろ。それに堂々とカロリーナ嬢と一緒にいる口実にもなる⋯⋯しな⋯⋯。」
照れたように目線をそらしながらラヴェール王子が言う。それを見たマッド宮廷伯が、微笑ましげにラヴェール王子を見て微笑んだ。
「そんな風に想っていただけて、我がひ孫は果報者ですな。わかりました。まだ幼いので魔道具に触れさせるのはおいおいと思っておりましたが、私も同席することですし、カロリーナを連れてきましょう。」
「ほん⋯⋯」
「本当ですか!?」
シルヴィオが言い切る前に、食い気味にラヴェール王子が立ち上がって言う。カロリーナと一緒にいられることが余程嬉しいようだ。
「実現まで時間を要するでしょうが、取り組む過程はよい学びの場となるでしょう。」
マッド宮廷伯はすぐに結果が出るとは考えていないようだ。
マッド宮廷伯以外は全員幼子なのだから、当然の判断と言えるが。だがこれでカロリーナに新たな魔道具を開発させる目処がたった。
次の授業までにマッド宮廷伯の研究室で、魔道具作りの実地授業をしてもらえることになり、今日はそれに備えた基礎を学ぶことなった。
「魔道具を作る際には、必ず発動させる魔法にそった魔力を込めた魔石が必要となります。また動かす物に必要な魔力に応じて魔石の大きさが変わります。魔石は交換して使うことが可能なように作るのが基本ですな。」
代表的な例として、明かりの魔道具に必要な魔石と、かまどに使う魔石を見せてくれる。どちらも大きさの異なる魔石が2種類ずつあった。
廊下の明かり用は、ひとつひとつがそこまでの光量を必要としない為、小さい物を使用し、ランタンなど、遠くまで明かりを届かせたい物は、少し大きめの魔石を使用する。
またかまどの物は、魔石でずっと火を付けるタイプの物と、火種を起こすのに使うだけで、燃料が別にあるタイプでは、魔石の大きさが違うのだと教わった。
「このように用途に応じた魔石を選ぶことも大切なんですな。」
「質問をよろしいでしょうか。」
ラヴェール王子が手を上げる。
「どうぞ。」
「先日騎士団が魔物の住む森に討伐に向かう際の武器にも使用されたと聞きました。騎士団の武器も魔道具なのでしょうか?」
「よい質問ですな。あれは魔道具ではなく、属性を付与した武器を鍛冶職人が作ったものになります。」
マッド宮廷伯が授業の為に用意された黒板のような物にイラストを描く。描くのに使用している物は、チョークではなく、これも何かの魔道具らしい。
「武器の属性を強化するのに魔石を必要とします。一定の魔力を長時間使用する魔道具と違い、一気に魔力を使用する為、短時間しかもちません。用途が異なることと、一気に魔力を放出するのに耐えられる必要がある為、あまり小さい魔石は使用出来ません。」
小さい魔石は明かりやかまどの火種に使うのが基本らしい。頻繁に切れる為しょっちゅう魔石を交換することになるが、その程度の大きさの魔石に魔力を込められる人間は多い為、簡単に安く魔石が手に入るので、消耗品と捉えられているのだそうだ。
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「協力していただけますか?」
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「年齢の近い子ども、ですか?はて。なぜですかな?」
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子どもらしい純粋な要求を装って、カロリーナとの接点を作る為、シルヴィオはマッド宮廷伯にお願いをしてみた。
「では、ラヴェール王子以外の子どもと、ということですかな?」
「はい。でも、僕はまだ王宮の人以外と話したことがないので、あまりたくさんの人と一度に会うのは怖いです。」
「ふむ⋯⋯。」
ヒゲをさすりながらマッド宮廷伯が唸る。
「マッド宮廷伯は、兄さまのお友だちのカロリーナ嬢のひいお爺さまなのですよね?一度お話してみたいと思っていたのです。
カロリーナ嬢を連れて来ていただくことは出来ませんか?」
「カロリーナを、ですか?」
「駄目でしょうか⋯⋯。」
出来るだけ愛らしい幼児に見えるよう、両手の拳をギュッと握りしめながら、上目遣いでマッド宮廷伯を見つめるシルヴィオ。
「僕もそれに加わってもいいかい?シルヴィオ。」
ラヴェール王子がずい、と身を乗り出して来る。
「兄さまも、ですか?」
「シルヴィオの研究はとても面白そうだ。実現に関われるのなら勉強になるだろ。それに堂々とカロリーナ嬢と一緒にいる口実にもなる⋯⋯しな⋯⋯。」
照れたように目線をそらしながらラヴェール王子が言う。それを見たマッド宮廷伯が、微笑ましげにラヴェール王子を見て微笑んだ。
「そんな風に想っていただけて、我がひ孫は果報者ですな。わかりました。まだ幼いので魔道具に触れさせるのはおいおいと思っておりましたが、私も同席することですし、カロリーナを連れてきましょう。」
「ほん⋯⋯」
「本当ですか!?」
シルヴィオが言い切る前に、食い気味にラヴェール王子が立ち上がって言う。カロリーナと一緒にいられることが余程嬉しいようだ。
「実現まで時間を要するでしょうが、取り組む過程はよい学びの場となるでしょう。」
マッド宮廷伯はすぐに結果が出るとは考えていないようだ。
マッド宮廷伯以外は全員幼子なのだから、当然の判断と言えるが。だがこれでカロリーナに新たな魔道具を開発させる目処がたった。
次の授業までにマッド宮廷伯の研究室で、魔道具作りの実地授業をしてもらえることになり、今日はそれに備えた基礎を学ぶことなった。
「魔道具を作る際には、必ず発動させる魔法にそった魔力を込めた魔石が必要となります。また動かす物に必要な魔力に応じて魔石の大きさが変わります。魔石は交換して使うことが可能なように作るのが基本ですな。」
代表的な例として、明かりの魔道具に必要な魔石と、かまどに使う魔石を見せてくれる。どちらも大きさの異なる魔石が2種類ずつあった。
廊下の明かり用は、ひとつひとつがそこまでの光量を必要としない為、小さい物を使用し、ランタンなど、遠くまで明かりを届かせたい物は、少し大きめの魔石を使用する。
またかまどの物は、魔石でずっと火を付けるタイプの物と、火種を起こすのに使うだけで、燃料が別にあるタイプでは、魔石の大きさが違うのだと教わった。
「このように用途に応じた魔石を選ぶことも大切なんですな。」
「質問をよろしいでしょうか。」
ラヴェール王子が手を上げる。
「どうぞ。」
「先日騎士団が魔物の住む森に討伐に向かう際の武器にも使用されたと聞きました。騎士団の武器も魔道具なのでしょうか?」
「よい質問ですな。あれは魔道具ではなく、属性を付与した武器を鍛冶職人が作ったものになります。」
マッド宮廷伯が授業の為に用意された黒板のような物にイラストを描く。描くのに使用している物は、チョークではなく、これも何かの魔道具らしい。
「武器の属性を強化するのに魔石を必要とします。一定の魔力を長時間使用する魔道具と違い、一気に魔力を使用する為、短時間しかもちません。用途が異なることと、一気に魔力を放出するのに耐えられる必要がある為、あまり小さい魔石は使用出来ません。」
小さい魔石は明かりやかまどの火種に使うのが基本らしい。頻繁に切れる為しょっちゅう魔石を交換することになるが、その程度の大きさの魔石に魔力を込められる人間は多い為、簡単に安く魔石が手に入るので、消耗品と捉えられているのだそうだ。
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