クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美

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デート

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 放課後、俺は神木さんと二人三脚の特訓を続けていた。

「うん、ようやく形になってきたね!」

 神木さんは満足そうに頷き、額の汗を軽く拭う。

 その横顔を見ながら、俺も少し達成感を覚えた。最初はバランスすら取れず、転びそうになってばかりだったが、今では息を合わせてスムーズに動けるようになった。

「裕貴……この後、空いてる?」

 彼女はまるでこちらの反応を伺うように、慎重に尋ねてきた。

「ごめん、今日はちょっと用事があって」

「そっか……そりゃそうだよね! 裕貴も忙しいもんね、ごめんごめん!」

 彼女は無理に明るく振る舞いながら、軽く笑ってみせる。

「あ、それならどこか暇な日に埋め合わせしようか? 大丈夫?」

 俺がそう提案すると、神木さんの目がぱっと輝いた。

「え、じゃあ……今週の週末、出かけない?」

 夕焼けに染まる頬が、なんとなく赤く見えたのは気のせいだろうか。

「うん、いいよ」

 そんな彼女の様子を少し気にしながらも、俺は週末に一緒に遊ぶ約束をした。



「神木ちゃんと遊ぶことになった!?」

 俺の家でメイドの仕事をしていた佐々木さんは、大声で驚いた。

「そうなんだ。だから、良い感じの服装がないか聞きたくて」

 俺が相談すると、彼女はどこか考え込むように腕を組んだ。

「うーん……私じゃ決めきれないかも。そうだ、あの執事さんに聞いてみたら?」

 そう言いながら、近くを歩いていた執事を指差す。

「な、なんか適当すぎない!?」

「だって私、男の服のセンスわからないし」

「……まぁ、ありがとう」

 俺は苦笑しながらも礼を言い、執事に助言を求めることにした。



「お坊ちゃんが服選びで悩まれるとは……承知しました。その悩み、私にお任せください!」

 執事は気合いを入れたように眼鏡を押し上げると、クローゼットを開け、いくつかの服を見定める。

「カジュアルすぎず、それでいて上品なスタイルが良いでしょう。このジャケットを羽織り、インナーは落ち着いた色合いのシャツに。パンツはスリムなタイプでバランスを取るのが最適かと」

「なるほど……流石だな」

「デートは第一印象が大事です。頑張ってください」

 執事に感謝しつつ、俺は教えられた服装を選び、約束の場所へ向かった。



 週末、俺は指定された待ち合わせ場所に立っていた。

「おーい、裕貴!」

 神木さんの声が聞こえ、振り向くと――いつもの彼女とはまるで雰囲気が違っていた。

 普段は強気で男勝りな彼女が、今日は落ち着いた色合いの服を着て、女性らしい雰囲気をまとっている。

「ごめんね、少し遅れちゃって」

 そう言って、髪をかき上げる仕草までなんだか様になっていた。

「あ、いや、俺もちょうど来たところだから」

 俺が答えると、彼女は少し照れくさそうに視線をそらした。

「……なんか、デートみたいだね」

 そう言ってニッと男らしく笑う彼女に、俺は一瞬見惚れそうになった。

「今日は私の買い物に付き合ってくれる? 色々買いたいものがあってね。その後は、裕貴の行きたい場所にも付き合うよ」

 そう言って、彼女は俺の手を取り、ショッピングモールへと歩き出した。



 ショッピングモールに到着すると、最初に向かったのは本屋だった。

「あったあった!」

 神木さんは棚の前で立ち止まり、目を輝かせる。

「この漫画、めっちゃ面白いんだよ! 今日新刊が出たから、めっちゃ楽しみにしてたんだ」

 彼女は嬉しそうに本を手に取る。

「裕貴は何か気になる漫画ある?」

「うーん……」

 俺が棚を見回していると、ふと視線が一冊の漫画に止まった。

 表紙には、露出の多い服を着た美女が描かれている。

「……ふーん」

 その瞬間、隣から低い声が聞こえた。

 視線を向けると、神木さんがじとっと俺を見ている。

「裕貴は、ああいう女の子が好きなんだ?」

「い、いや! これはただの偶然で!」

 俺は慌てて手を振るが、彼女は口元を隠しながらくすっと笑う。

「別に私は気にしないよ。裕貴の好みを知れたってだけだし?」

「な、なんでそんな言い方するの!?」

「さぁ、どうしてかな?」

 彼女はいたずらっぽく笑いながら、レジへと向かっていく。

「ねぇ、裕貴。何か欲しい漫画ある?」

 会計の前に、彼女が俺に尋ねてきた。

「あ、いや、特にないかな。自分が欲しいものは自分で買うし」

「いいよいいよ、今日は私の買い物に付き合ってくれたお礼だから」

 彼女はにこっと笑いながら、俺を見つめてくる。

「じゃ、じゃあ……」

 俺はさっきのアダルトな漫画の隣にあったバトル漫画を手に取り、それを彼女に渡した。

「お、この漫画か! これも面白いよな!」

 彼女は本をめくりながら嬉しそうに頷く。

「でも本当にそれでいいの? さっき気になってた方じゃなくて?」

「……か、神木さん!」

 彼女は悪戯っぽく俺をからかい、俺は顔を赤くしながら反論する。

「冗談だよ冗談」

 彼女はクスクス笑いながら、レジへと向かう。

 俺たちはそんな軽口を叩き合いながら、本屋での買い物を終えた――。
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