クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美

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病気がちなメイド

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「で、デリバリー?」

「そうさ。私たちのお楽しみは、この“誰も来ない”部室で秘密裏にデリバリーを頼むことさ!」

「いやいや、誰もそんなルール聞いてないんですけど」

 俺は冷静に青原先輩へツッコミを入れる。

「ゆ、裕貴先輩は……何を頼むんですか?」

「なんで俺が頼む前提になってるんですか」

 澤部さんは顔を赤くして、そわそわしながら俺を見ている。

「ふっふっふ、もうここまで来たなら逃げられないよ~。裕貴くん、観念して頼むのだよ」

 青原先輩の含みのある笑みに、俺はため息をつくしかなかった。
 仕方なくスマホを取り出し、注文表を開く。

「青原先輩は何にするんですか」

「もちろん! ピザだよ~。デリバリーと言ったらピザでしょ~」

「……定番ですね」

「じゃあ……」と俺は澤部さんの方に目を向ける。

「わ、私は……裕貴先輩と同じものにします!」

 澤部さんは視線を泳がせながらも、顔を赤くしてそう言った。
 その姿が妙に可愛くて、俺は一瞬、返す言葉に詰まる。

 ま、まずい……ここで俺がジャンクすぎるもの頼んだら、澤部さんにも迷惑が……。

 心の中で葛藤しながら、注文表を指でスクロールしていく。

「じゃ、じゃあ俺は……たこ焼きで」

「じゃ、じゃあ私もたこ焼きで!」

「おぉ、2人とも渋い選択だねぇ~。たこ焼き、いいねぇ~」

 青原先輩がニヤニヤしながら笑う。

「たこ焼き2人前だと……1000円か」

 俺は軽く計算して、澤部さんに微笑む。

「今日は俺が奢るから、気にしないで」

「え、で、でも……」

「先輩の威厳ってやつさ、少しはかっこつけさせてよ」

「……裕貴先輩、ありがとうございます!」

 澤部さんは顔を真っ赤にしながらも、嬉しそうに微笑んだ。
 その横で、青原先輩は何かを企んでいるかのようにニヤリ。



 10分後、無事デリバリーが到着した。

「ふー、ギリギリ先生たちにバレずに済んだね~」

 青原先輩は颯爽とピザの箱を持って戻ってきた。

「それじゃ、いただきまーす!」

 部室の中、3人だけの“秘密の昼食会”が始まった。
 澤部さんはたこ焼きを頬張り、嬉しそうに目を細めている。
 一方、青原先輩はピザをかじりながら、のんびりとページをめくる。

 ……なんか、これはこれで落ち着くかもな。

 そんな穏やかな時間が流れていった。



「今日は楽しかったよ、裕貴くん、また気が向いたら来なよ~」

 食後、青原先輩は片手を振りながら俺と澤部さんを見送る。

「……あの、裕貴先輩」

 帰り道、澤部さんが俺の袖をそっと掴む。

「うん?」

「その……週末、一緒に買い物に行きませんか?」

「えっ」

 思わず二度聞きしそうになる俺。
 澤部さんは顔を真っ赤にして、しどろもどろに続ける。

「じ、実は……友達と今度遊びに行く予定があるんですけど、あんまり人と出かけた経験がなくて……。その、予行練習みたいな……」

「……なるほど、そういうことか」

 俺は頬を掻きながら微笑む。

「全然いいよ、俺で良ければ付き合うよ」

「ほ、本当ですか? ありがとうございます!」

 その顔は、どこかホッとしたような、安堵の笑顔だった。

 ※

 放課後。

 俺は春樹と神木さんと共に、佐々木さんの家を訪れていた。

「ここが、佐々木さんの家か……」

「心配だな、体調」

 俺はインターホンを押し、緊張する。
 もし、あの母親が出てきたら……そう思った矢先、扉を開けたのは佐々木さん本人だった。

「あれ、裕貴くんに……神木ちゃん、春樹くん?」

「大丈夫なのか?」
 神木さんが心配そうに声をかける。

「うん、大丈夫! まだ少し体がだるいけど、元気だよ!」

 無理しているような笑顔に、少し胸が痛む。
 それでも、佐々木さんは笑顔を絶やさず俺たちを招き入れた。

「外は暑いから、私の部屋で話そう?」

 その誘いに、俺たちは頷き、家の中へ入っていった——。
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