36 / 87
好きな人とのペアルック
しおりを挟む
その日の夜。
俺は佐々木さんのことが気になりつつ、自室で勉強道具を広げていた。
けれど、ページを開いたまま、頭の中は彼女の笑顔でいっぱいだった。
「……今日は、泣き顔も、笑顔も……色んな佐々木さんが見れたな」
ぼそりと呟いて、俺は天井を見上げる。
彼女が涙を見せたのは、俺たちに心を許してくれた証拠だと思いたかった。
同時に、俺は自分が彼女に対してどう思っているのか、改めて考えさせられていた。
(俺は……佐々木さんのことを)
ピコン。
その瞬間、スマホから通知音が鳴った。
画面を見ると、佐々木さんからのメッセージだった。
『今日はありがとう。すごく元気が出たよ。明日、ちょっとだけでも会える?』
その一言に、心臓が跳ね上がる。
『もちろん! 明日、行くよ』
即座に返事をすると、佐々木さんからもすぐに返事が返ってきた。
『ありがとう、待ってるね』
(……なんだ、この気持ち)
俺はスマホを握りしめたまま、鼓動の速さを感じていた。
※
翌日。
日曜日の昼下がり、俺は彼女の家の前に立っていた。
インターホンを押すと、佐々木さんが自分でドアを開けてくれた。
「裕貴くん、来てくれてありがとう!」
「体調はどう?」
「うん、もうすっかり良くなったよ。薬も効いたみたい」
そう言って、彼女は優しい微笑みを浮かべた。
「じゃあ、中にどうぞ」
部屋に入ると、昨日と違って窓から柔らかい日差しが差し込んでいる。
昨日はベッドでぐったりしていた彼女が、今日はちゃんと元気そうに椅子に座っている姿に、俺は少し安心した。
「ごめんね、無理させて」
「いや、無理なんてしてないし。昨日も言ったけど、俺は……佐々木さんに頼ってほしいから」
「……うん」
佐々木さんはほんのり赤くなった頬を隠すように、カップの紅茶に口を付ける。
「それでさ、今日は……その、渡したいものがあって」
「渡したいもの?」
俺が問い返すと、彼女は机の引き出しから、丁寧にラッピングされた小さな箱を取り出した。
「これ、開けてみて」
言われるがままに箱を開けると、中にはシンプルなシルバーのブレスレットが入っていた。
中央には、さりげなく俺たちが昨日買ったペアアクセサリーと同じ、やば丸くんの小さなチャームがついている。
「これ……」
「お揃い、作っちゃった」
彼女は少し照れたように笑う。
「実は……昨日の帰り道、アクセサリー屋さんに寄って、これを注文してたんだ」
「わざわざ?」
「うん……ペアのアクセサリーだけじゃ物足りなくて」
「……佐々木さん」
俺はブレスレットをそっと握りしめた。
彼女がここまでしてくれるとは思ってなかった。
「ほら、手首出して」
彼女は俺の手首を取り、自分の手でブレスレットを付けてくれる。
手首に触れる彼女の指先がくすぐったい。
けれど、どこか心地良い。
「これで、ちゃんとお揃いだね」
佐々木さんは照れ隠しに笑ったあと、ふと真剣な目を俺に向けてきた。
「……ねぇ裕貴くん、私……」
「……」
「私ね、やっぱり……メイドも、友達も、どっちも大切なんだ」
「……うん」
「だから、まだこのままの関係でいさせてほしいの」
俺はその言葉を受け止め、ゆっくりと頷いた。
「……分かった。俺も……佐々木さんとは、今のままがいいと思ってる」
「ありがとう」
彼女は、ふっと肩の力を抜いたように笑った。
「でも……」
「え?」
「たまに、ちょっとだけ甘えてもいい?」
「……もちろん!」
俺の即答に、佐々木さんは思わず吹き出した。
「ふふ、素直すぎ」
「そ、そんな素直だったかな……」
「うん、でも、そういうところ……好きだよ」
「……え?」
小さく呟かれたその言葉に、耳が赤くなる。
彼女もすぐに誤魔化すように「冗談だよ」と笑ったが、俺の中でその一言はずっと響いていた。
※
帰り道、俺はブレスレットを見つめながら歩いていた。
(……佐々木さん)
胸の奥に灯った温かさが、ずっと消えそうになかった。
(俺、やっぱり……)
その時、ようやく自分の気持ちが、少しだけ形になった気がした。
──このまま、俺たちはどうなるんだろう。
そんなことを思いながら、俺は夕焼けに染まる道を家路へと向かっていった。
俺は佐々木さんのことが気になりつつ、自室で勉強道具を広げていた。
けれど、ページを開いたまま、頭の中は彼女の笑顔でいっぱいだった。
「……今日は、泣き顔も、笑顔も……色んな佐々木さんが見れたな」
ぼそりと呟いて、俺は天井を見上げる。
彼女が涙を見せたのは、俺たちに心を許してくれた証拠だと思いたかった。
同時に、俺は自分が彼女に対してどう思っているのか、改めて考えさせられていた。
(俺は……佐々木さんのことを)
ピコン。
その瞬間、スマホから通知音が鳴った。
画面を見ると、佐々木さんからのメッセージだった。
『今日はありがとう。すごく元気が出たよ。明日、ちょっとだけでも会える?』
その一言に、心臓が跳ね上がる。
『もちろん! 明日、行くよ』
即座に返事をすると、佐々木さんからもすぐに返事が返ってきた。
『ありがとう、待ってるね』
(……なんだ、この気持ち)
俺はスマホを握りしめたまま、鼓動の速さを感じていた。
※
翌日。
日曜日の昼下がり、俺は彼女の家の前に立っていた。
インターホンを押すと、佐々木さんが自分でドアを開けてくれた。
「裕貴くん、来てくれてありがとう!」
「体調はどう?」
「うん、もうすっかり良くなったよ。薬も効いたみたい」
そう言って、彼女は優しい微笑みを浮かべた。
「じゃあ、中にどうぞ」
部屋に入ると、昨日と違って窓から柔らかい日差しが差し込んでいる。
昨日はベッドでぐったりしていた彼女が、今日はちゃんと元気そうに椅子に座っている姿に、俺は少し安心した。
「ごめんね、無理させて」
「いや、無理なんてしてないし。昨日も言ったけど、俺は……佐々木さんに頼ってほしいから」
「……うん」
佐々木さんはほんのり赤くなった頬を隠すように、カップの紅茶に口を付ける。
「それでさ、今日は……その、渡したいものがあって」
「渡したいもの?」
俺が問い返すと、彼女は机の引き出しから、丁寧にラッピングされた小さな箱を取り出した。
「これ、開けてみて」
言われるがままに箱を開けると、中にはシンプルなシルバーのブレスレットが入っていた。
中央には、さりげなく俺たちが昨日買ったペアアクセサリーと同じ、やば丸くんの小さなチャームがついている。
「これ……」
「お揃い、作っちゃった」
彼女は少し照れたように笑う。
「実は……昨日の帰り道、アクセサリー屋さんに寄って、これを注文してたんだ」
「わざわざ?」
「うん……ペアのアクセサリーだけじゃ物足りなくて」
「……佐々木さん」
俺はブレスレットをそっと握りしめた。
彼女がここまでしてくれるとは思ってなかった。
「ほら、手首出して」
彼女は俺の手首を取り、自分の手でブレスレットを付けてくれる。
手首に触れる彼女の指先がくすぐったい。
けれど、どこか心地良い。
「これで、ちゃんとお揃いだね」
佐々木さんは照れ隠しに笑ったあと、ふと真剣な目を俺に向けてきた。
「……ねぇ裕貴くん、私……」
「……」
「私ね、やっぱり……メイドも、友達も、どっちも大切なんだ」
「……うん」
「だから、まだこのままの関係でいさせてほしいの」
俺はその言葉を受け止め、ゆっくりと頷いた。
「……分かった。俺も……佐々木さんとは、今のままがいいと思ってる」
「ありがとう」
彼女は、ふっと肩の力を抜いたように笑った。
「でも……」
「え?」
「たまに、ちょっとだけ甘えてもいい?」
「……もちろん!」
俺の即答に、佐々木さんは思わず吹き出した。
「ふふ、素直すぎ」
「そ、そんな素直だったかな……」
「うん、でも、そういうところ……好きだよ」
「……え?」
小さく呟かれたその言葉に、耳が赤くなる。
彼女もすぐに誤魔化すように「冗談だよ」と笑ったが、俺の中でその一言はずっと響いていた。
※
帰り道、俺はブレスレットを見つめながら歩いていた。
(……佐々木さん)
胸の奥に灯った温かさが、ずっと消えそうになかった。
(俺、やっぱり……)
その時、ようやく自分の気持ちが、少しだけ形になった気がした。
──このまま、俺たちはどうなるんだろう。
そんなことを思いながら、俺は夕焼けに染まる道を家路へと向かっていった。
22
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる