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BBQ
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夕日が水平線の向こうへと沈み、海面が黄金色から群青へと変わっていく頃、俺たちはようやく沢田先生の釣りから解放された。
ビーチコートに戻ると、そこでは青原先輩、澤部さん、神木さんが波打ち際ではしゃぎながら遊んでいた。
「おーい! 男子諸君! どこに行ってたんだ~?」
青原先輩が濡れた髪を揺らしながら手を振ってくる。夕陽に照らされて、その笑顔はどこか映画のワンシーンのようだった。
鈴木先輩と春樹は「うし!」と声を上げて、女子たちの輪に走っていく。
「それじゃあ、先生は先に戻ってるからな。あんまり遅くなるんじゃないぞ」
沢田先生は釣り道具を肩に引っかけて、背中越しに声をかけてくれた。その背中が、夕焼けに溶けていく。
「……ありがとうございました」
小さく呟いた俺の言葉に、先生は手を軽く挙げて応えて、合宿場の方へと消えていった。
その余韻に浸っていたところで、背中にふっと軽い衝撃が走った。
「裕貴、どこ行ってたの?」
振り向くと、少し拗ねたような顔で神木さんが立っていた。濡れた髪が頬に貼りつき、彼女の目元にかかった影が妙に色っぽい。
「あ、いや……先生と、春樹たちと釣りしててさ」
「ふふっ、そうなんだ。じゃあ……一緒に遊ぼ?」
神木さんが俺の手を取って、海を指差す。その手はほんのり温かくて、引かれるままに、俺たちは波打ち際を駆け出した。
水しぶきが上がり、空気は塩の香りを運んでくる。途中で波に足を取られて俺が転びかけた時――
「裕貴、大丈夫!?」
真っ先に駆け寄ってくれたのは、神木さんだった。濡れた服のまま、俺の手を取って引き起こしてくれるその顔は、本気で心配していて――どこか、嬉しそうだった。
気づけば、太陽はすっかり沈み、あたりは藍色の夜に包まれていた。
※
夜。合宿場の外では、沢田先生が用意してくれたBBQセットが煌々と火を灯していた。
「今日はな、釣った魚もあるんだぞ~!」
そう言って、先生がどっさりと肉と魚をテーブルに置いていく。じゅうじゅうと肉が焼ける音が、夜の静けさに心地よく響く。
「はい、裕貴!」
俺の皿に焼けたばかりの肉を乗せてくれたのは、神木さんだった。笑顔を浮かべているけれど、ほんのりと頬を染めているのがわかる。
「ありがとう、神木さん」
「おやおや~、2人とも熱々ですな~」
割って入ってきたのは青原先輩。うちわで炭火を煽ぎながら、にやにやと視線を送ってくる。
「ちょ、ちょっと先輩!」
神木さんが慌てて声を上げるも、すでにその表情は赤く染まりきっていた。
「でも、実際いい雰囲気だったぞ?」
春樹が肉を頬張りながら、さらっと追い打ちをかけてくる。
「も~、やめてよっ……!」
そんな賑やかな声と香ばしい匂いに包まれて、俺たちはゆっくりと夜を味わっていった。
※
食事のあと、外の芝生にレジャーシートを敷いて、星を見上げる。
空一面に散らばる星々は、まるで手を伸ばせば届きそうなほど近く感じられた。
「すごい……こんなに見えるんだ」
俺が呟くと、隣に座っていた神木さんが、そっと袖を引いた。
「……ねぇ、裕貴」
「ん?」
「明日も、みんなでまた、遊ぼうね」
その瞳は、まっすぐに俺を見ていて。どこか寂しげで、でも、強くて。
「ああ、もちろん」
俺が笑って応えると、神木さんも小さく笑ってくれた。
けれど――
(……佐々木さんにも、見せたかったな。この空)
心の奥で、ぽっかりと空いた小さな穴が、静かに疼いていた。
夜風が頬を撫で、遠くで波の音が囁く。
まるで、誰かの気持ちが、風に乗って届いてくるような――そんな気がした。
ビーチコートに戻ると、そこでは青原先輩、澤部さん、神木さんが波打ち際ではしゃぎながら遊んでいた。
「おーい! 男子諸君! どこに行ってたんだ~?」
青原先輩が濡れた髪を揺らしながら手を振ってくる。夕陽に照らされて、その笑顔はどこか映画のワンシーンのようだった。
鈴木先輩と春樹は「うし!」と声を上げて、女子たちの輪に走っていく。
「それじゃあ、先生は先に戻ってるからな。あんまり遅くなるんじゃないぞ」
沢田先生は釣り道具を肩に引っかけて、背中越しに声をかけてくれた。その背中が、夕焼けに溶けていく。
「……ありがとうございました」
小さく呟いた俺の言葉に、先生は手を軽く挙げて応えて、合宿場の方へと消えていった。
その余韻に浸っていたところで、背中にふっと軽い衝撃が走った。
「裕貴、どこ行ってたの?」
振り向くと、少し拗ねたような顔で神木さんが立っていた。濡れた髪が頬に貼りつき、彼女の目元にかかった影が妙に色っぽい。
「あ、いや……先生と、春樹たちと釣りしててさ」
「ふふっ、そうなんだ。じゃあ……一緒に遊ぼ?」
神木さんが俺の手を取って、海を指差す。その手はほんのり温かくて、引かれるままに、俺たちは波打ち際を駆け出した。
水しぶきが上がり、空気は塩の香りを運んでくる。途中で波に足を取られて俺が転びかけた時――
「裕貴、大丈夫!?」
真っ先に駆け寄ってくれたのは、神木さんだった。濡れた服のまま、俺の手を取って引き起こしてくれるその顔は、本気で心配していて――どこか、嬉しそうだった。
気づけば、太陽はすっかり沈み、あたりは藍色の夜に包まれていた。
※
夜。合宿場の外では、沢田先生が用意してくれたBBQセットが煌々と火を灯していた。
「今日はな、釣った魚もあるんだぞ~!」
そう言って、先生がどっさりと肉と魚をテーブルに置いていく。じゅうじゅうと肉が焼ける音が、夜の静けさに心地よく響く。
「はい、裕貴!」
俺の皿に焼けたばかりの肉を乗せてくれたのは、神木さんだった。笑顔を浮かべているけれど、ほんのりと頬を染めているのがわかる。
「ありがとう、神木さん」
「おやおや~、2人とも熱々ですな~」
割って入ってきたのは青原先輩。うちわで炭火を煽ぎながら、にやにやと視線を送ってくる。
「ちょ、ちょっと先輩!」
神木さんが慌てて声を上げるも、すでにその表情は赤く染まりきっていた。
「でも、実際いい雰囲気だったぞ?」
春樹が肉を頬張りながら、さらっと追い打ちをかけてくる。
「も~、やめてよっ……!」
そんな賑やかな声と香ばしい匂いに包まれて、俺たちはゆっくりと夜を味わっていった。
※
食事のあと、外の芝生にレジャーシートを敷いて、星を見上げる。
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「……ねぇ、裕貴」
「ん?」
「明日も、みんなでまた、遊ぼうね」
その瞳は、まっすぐに俺を見ていて。どこか寂しげで、でも、強くて。
「ああ、もちろん」
俺が笑って応えると、神木さんも小さく笑ってくれた。
けれど――
(……佐々木さんにも、見せたかったな。この空)
心の奥で、ぽっかりと空いた小さな穴が、静かに疼いていた。
夜風が頬を撫で、遠くで波の音が囁く。
まるで、誰かの気持ちが、風に乗って届いてくるような――そんな気がした。
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