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それでも差し伸べたい
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私は、彼の告白を――拒んでしまった。
本当は、拒みたくなんてなかった。心のどこかでは、ずっと待ち望んでいた言葉だったはずなのに。
でも、私にはその言葉を受け取る資格なんてないと思ってしまった。
いま、彼がどんな表情をしているのか、どんな思いでその場にいるのか。それを想像するのが怖くて、私は丘の上で、ただ花火が打ち上がっていく空を見つめていた。
(私は……甘えすぎていた)
彼に頼ってばかりだった。寄りかかって、逃げて、自分の問題すらまともに向き合わずに。でも、これ以上、彼を巻き込んでしまうわけにはいかない。――これは、私の人生なのだから。
だけど。
そうやって強がれば強がるほど、胸の奥で何かが痛んだ。まるで、心の一部がひとつ、ひとつと削れていくような痛みだった。
※
俺は、情けない。
あんな言葉を投げかけて、あんなにまっすぐな想いを伝えたのに……振られた瞬間、俺の足は止まっていた。
でも、そんな俺を、神木さんは優しく受け止めてくれた。
彼女の声も、表情も、仕草も、全部が救いのように優しかった。
「ありがとう、神木さん。もう大丈夫だから」
そう言って身を引こうとした瞬間、彼女は俺の体をぎゅっと強く抱きしめてくれた。
「大丈夫じゃないでしょ……。前にも言ったじゃん。少しは私を頼って、って」
「でも、俺――」
「いいの。今だけでいい。……裕貴が悲しむ姿、見てられないの。だって私は……裕貴を、男として認めてるから」
その言葉が、心に染みた。俺を責めるでも、慰めるでもなく、ただ受け入れてくれる神木さんの想いが、確かに届いた。
けれど、その優しさの中で甘えきるわけにはいかなかった。
(――俺は、まだ伝えたいことがある)
ふと、佐々木さんの言葉が頭の中に蘇る。
『友達以上の何かだったら……』
「神木さん、俺……もう一度、佐々木さんのところに行ってきます」
「……もう大丈夫なの?」
俺は、涙の乾いた目で神木さんを見つめ、しっかりとうなずいた。
「うん。ありがとう。俺、行くよ」
「……そっか。じゃあさ、話が終わったら、また一緒に屋台回ろ? みんなで」
神木さんは、まるでいつものように笑ってくれた。俺はその優しさに応えるように、「うん、分かった」とだけ言って、再び丘の上へと駆け出した。
※
夜風が少し強くなり、花火の音に混じって、遠くの祭囃子がかすかに耳に届く。
俺はただ、まっすぐ丘を目指した。
その先に、彼女がいると信じて。
やがて、夜空にひときわ大きな花火が上がった。金色の閃光が夜空を裂き、その輝きが、丘の上に佇む彼女の姿を照らし出した。
「……佐々木さん」
彼女は、そっと振り返る。目が合った瞬間、なぜか少しだけ泣きそうになった。
「裕貴くん……」
俺は、言葉を選ばず、まっすぐ彼女の前へと進んだ。
「さっきの答え……ちゃんと聞かせてくれて、ありがとう。辛かったけど、それでも、伝えられてよかった」
「……どうして」
「俺は、佐々木さんが……大切だから。逃げたくなかった。どんな答えでも、ちゃんと向き合いたかった」
佐々木さんは小さく唇を噛みしめ、目を伏せた。
「……私、怖かったの。裕貴くんに頼ってばかりで、自分の弱さから目を逸らしてるんじゃないかって。だから……」
「それでも、俺は傍にいたい。佐々木さんが不安なら、一緒に不安になる。悩んでるなら、一緒に悩む。――そのくらい、君のことが大事なんだ」
ふっと彼女が顔を上げる。瞳には、涙の名残と、微かな笑み。
「……私、まだちゃんとは応えられないけど……それでも、もう少しだけ……傍にいてくれる?」
「もちろんだよ。何度でも言う。佐々木さんが、俺を見てくれるまで――俺は、諦めない」
夜空に、再び花火が咲いた。
その下で、俺たちはそっと見つめ合い、小さな笑みを交わした。
――まだ始まったばかりの、かけがえのない夏の記憶が、ここから刻まれていく。
本当は、拒みたくなんてなかった。心のどこかでは、ずっと待ち望んでいた言葉だったはずなのに。
でも、私にはその言葉を受け取る資格なんてないと思ってしまった。
いま、彼がどんな表情をしているのか、どんな思いでその場にいるのか。それを想像するのが怖くて、私は丘の上で、ただ花火が打ち上がっていく空を見つめていた。
(私は……甘えすぎていた)
彼に頼ってばかりだった。寄りかかって、逃げて、自分の問題すらまともに向き合わずに。でも、これ以上、彼を巻き込んでしまうわけにはいかない。――これは、私の人生なのだから。
だけど。
そうやって強がれば強がるほど、胸の奥で何かが痛んだ。まるで、心の一部がひとつ、ひとつと削れていくような痛みだった。
※
俺は、情けない。
あんな言葉を投げかけて、あんなにまっすぐな想いを伝えたのに……振られた瞬間、俺の足は止まっていた。
でも、そんな俺を、神木さんは優しく受け止めてくれた。
彼女の声も、表情も、仕草も、全部が救いのように優しかった。
「ありがとう、神木さん。もう大丈夫だから」
そう言って身を引こうとした瞬間、彼女は俺の体をぎゅっと強く抱きしめてくれた。
「大丈夫じゃないでしょ……。前にも言ったじゃん。少しは私を頼って、って」
「でも、俺――」
「いいの。今だけでいい。……裕貴が悲しむ姿、見てられないの。だって私は……裕貴を、男として認めてるから」
その言葉が、心に染みた。俺を責めるでも、慰めるでもなく、ただ受け入れてくれる神木さんの想いが、確かに届いた。
けれど、その優しさの中で甘えきるわけにはいかなかった。
(――俺は、まだ伝えたいことがある)
ふと、佐々木さんの言葉が頭の中に蘇る。
『友達以上の何かだったら……』
「神木さん、俺……もう一度、佐々木さんのところに行ってきます」
「……もう大丈夫なの?」
俺は、涙の乾いた目で神木さんを見つめ、しっかりとうなずいた。
「うん。ありがとう。俺、行くよ」
「……そっか。じゃあさ、話が終わったら、また一緒に屋台回ろ? みんなで」
神木さんは、まるでいつものように笑ってくれた。俺はその優しさに応えるように、「うん、分かった」とだけ言って、再び丘の上へと駆け出した。
※
夜風が少し強くなり、花火の音に混じって、遠くの祭囃子がかすかに耳に届く。
俺はただ、まっすぐ丘を目指した。
その先に、彼女がいると信じて。
やがて、夜空にひときわ大きな花火が上がった。金色の閃光が夜空を裂き、その輝きが、丘の上に佇む彼女の姿を照らし出した。
「……佐々木さん」
彼女は、そっと振り返る。目が合った瞬間、なぜか少しだけ泣きそうになった。
「裕貴くん……」
俺は、言葉を選ばず、まっすぐ彼女の前へと進んだ。
「さっきの答え……ちゃんと聞かせてくれて、ありがとう。辛かったけど、それでも、伝えられてよかった」
「……どうして」
「俺は、佐々木さんが……大切だから。逃げたくなかった。どんな答えでも、ちゃんと向き合いたかった」
佐々木さんは小さく唇を噛みしめ、目を伏せた。
「……私、怖かったの。裕貴くんに頼ってばかりで、自分の弱さから目を逸らしてるんじゃないかって。だから……」
「それでも、俺は傍にいたい。佐々木さんが不安なら、一緒に不安になる。悩んでるなら、一緒に悩む。――そのくらい、君のことが大事なんだ」
ふっと彼女が顔を上げる。瞳には、涙の名残と、微かな笑み。
「……私、まだちゃんとは応えられないけど……それでも、もう少しだけ……傍にいてくれる?」
「もちろんだよ。何度でも言う。佐々木さんが、俺を見てくれるまで――俺は、諦めない」
夜空に、再び花火が咲いた。
その下で、俺たちはそっと見つめ合い、小さな笑みを交わした。
――まだ始まったばかりの、かけがえのない夏の記憶が、ここから刻まれていく。
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