クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美

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恩師よ永遠に!

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「それじゃあ、先生はそろそろ帰らなくちゃいけないから、あとは二人で……仲良くな」

 旅館の前、冷えた空気に白い息を吐きながら、沢田先生は小さく手を振る。帰りの車に向かって歩き出す背中は、いつもよりちょっとだけ寂しそうだった。

 その背中に、俺は声をかけた。

「先生……本当に偶然だったんですか? ここに来たの」

 すると、先生は足を止めて振り返り、にっと爽やかに笑った。

「実はな。裕貴のご両親から個人的に連絡が来たんだよ。……なんで私の連絡先知ってたのかは怖いけどな」

「……マジですか」

「北海道だろ? 子供だけの旅行じゃ親は心配だってさ。まあ、保護者として様子見に来たってわけだ。旅費も出してもらったし、色々と条件付きでな」

 先生は肩をすくめると、俺に茶化すような視線を投げかけた。

「……とはいえ、こっちも連休中だ。ずっと付き合うわけにもいかない。せいぜい二日ってところだな。――よかったな、冷やかし役が帰ってくれて」

「そんなことないですよ。先生は……俺の大事な恩師ですから」

 俺の素直な言葉に、沢田先生は目を丸くした。

「裕貴……?」

「俺、先生に会えてよかったって思ってます。……先生がいたから、俺は悠里と向き合う勇気を持てた。感謝してます。ほんとに、ありがとうございました」

 しばしの沈黙のあと、沢田先生は口元を引き結び、うっすらと目元を潤ませながら言った。

「……そういうのはな、卒業式で言うもんだぞ、バカ」

「すいません、先走りました」

 俺が照れて言うと、先生は笑って頭を撫でてくれた。

「じゃあな、佐々木」

「はい、裕貴のこと、私に任せてください」

「……安心した」

 そして、先生は車に乗り込み、俺たちに手を振って去っていった。



 その日の晩、旅館の一室には穏やかな時間が流れていた。

 布団の上、浴衣姿で正座する悠里が、ふわりと笑いかけてくる。

「真一郎……。私ね、本当に、あなたに会えてよかったって思ってるの。……だから、今夜は……一緒に寝てもいいかな?」

 頬をほんのり紅潮させながら、まっすぐ俺を見つめてくる悠里。

 その一言だけで、心臓が跳ねた。

「……うん。俺も、そう思ってる」

 部屋の電気が消え、月明かりが淡く差し込む。窓からは静かな雪景色。時間がゆっくりと流れているような気がした。

 そんな中――

「悠里、俺、今日はちゃんと寝られそうにないかも……」

「ううん。……私が、寝かせないかも」

 柔らかな声とともに、彼女はそっと俺の胸元に身体を預けてくる。

「わ、わっ!? ちょ、ちょっと、悠里……!」

「黙ってて、ご主人様……」

 くすぐったいような声と、唇に伝わる甘くて柔らかな感触。頭が真っ白になる。

 ——理性が、危うい。

 だけど、俺は必死に耐えて、そっと彼女の背に腕を回した。

 やがてキスが終わり、火照った頬のまま彼女が囁く。

「続きは……おうちに帰ってから、ね?」

 俺は、少し笑って頷いた。

「うん……帰ったら、ちゃんと覚悟しておくよ」

 その夜は、雪の音さえ静まるような、深くて、特別な夜だった。
………………………………………………………………
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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次回最終回です!この後投稿予定です!

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