【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた

紬あおい

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1.在り来たりな白い結婚 *

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「君を愛することはない。」

先に言ってやったわ。
ザマアミロ。

私はクロエ、ブルーム公爵家の一人娘だ。
クリス・ネオス公爵と結婚した。

初夜にそわそわ挙動不審なクリスに、不穏な気配を感じて、これは今流行りのアレだわ!と思った私は先手を打った。
クリスはマヌケな顔をして黙った。

「ということで、初夜の証は残しますから、一人でやってね?」

「はぁ?一人で?何でだよっ!?」

「だって、クリス様は私を愛していないでしょう?いつもいつもアリエンティ皇女にべったりで、私なんか見向きもしないじゃない?はい、さっさと出して寝る!!私はお先に寝ますけど。」

私は背中を向けて寝る準備をした。

「この状況で出せるかよっ!」

「お手伝いが必要ですか?はい。手なら貸しますけど?」

クリスは何を考えているのか、自身のものを取り出して、私に握らせる。

「どうせなら、両手貸せよ。」

ぐいっと私の体を引き寄せて、私の両手を自分の手で包んで肉棒を握らせる。

「こうしないと出来ませんの?」

「仕方ないだろう?力加減は自分で調節したいんだ。」

ゆっくり上下に動かしながら、肉棒を扱いていく。
最初は亀頭を重点的に、そのうち根元まで、緩急を付けた手捌きをじっと見ていた。

「そんなに見るな…恥ずかしいだろ?」

「こんなこと、恥ずかしくなんてないですわ。パーティで婚約者に無視されて、悪口言われて、笑い者になってた時の方が余程恥ずかしかったですし。」
 
「何?そんな目に遭ってたのか?何故言わなかった?」

「言いたくても、あなたはいつも傍に居なかったでしょう?今更結構です。こんなもんおっ立てて、扱きながらする話じゃないですし。お気になさらずイってください。」

私はクリスの手を振り払って、肉棒を扱き始める。
さっきまでの動きで、把握したので緩急付けて刺激する。

「っ…おい、やめろっ…くぁっ、はぁ、はぁ、はぁ…」

「やめませんわよ?せっかくここまでしたんですから。どうぞお逝きなさい。」

「んぁ!ほんっと、やめ、ろ…」

しぶといクリスに呆れながら、ほんの少し意地悪心が出て来る。
私は深呼吸を一つして、肉棒をパクッと咥える。

「ぐぁぁぁ、や、やめろ!それは、それはマズイ!!あぁぁ、だめだっ!」

口を窄めて舌を巻き付けるようにしゃぶりまくる。
じゅるっ、じゅるっと効果音付きで、手の動きも止めない。

「あぁ、気持ちいい、気持ち良過ぎて…くうっ、出そうだっ!」

すっと刺激することを止めると、クリスは信じられないという顔をする。
今まで平然と私を無視していたクリスの端正な顔が、今は情けなく見えて、私の気分は爽快だ。

「止めないで欲しい?」

「して欲しい…」

じゅぼっと音を立ててしゃぶりつくと、一瞬でクリスは夢中になる。
腰が迫り上がり、快感を自ら得ようとしている。
最後の追い込みで、口での抽送を早め、手で陰嚢をくるりと撫で上げた。

「ああー、出るっ、出てしまうっっ!!」

可哀想な位に腰が震えて、私にしがみ付いて達した。

「可愛い人ですね、あなたは。でも、私を蔑ろにするから嫌いです。」

背中を向けて寝ようとしたら、涙が出てきた。

(馬鹿みたい、私。こんなことしても、あの女のものなのに。何がアリエンティ皇女だよ。有り得んて、あんな女も、それに入れ揚げてるクリスも。)

「クロエ…?」

肩に手を乗せたクリスを振り払って、私は無視する。

「クロエ?あれは仕事だ。皇女の護衛が俺の任務だ。でも、君を傷付けていたのなら、もう騎士は辞めて、公爵家の執務だけにするよ。そうしたら、君は俺をちゃんと見てくれるだろうか…」

私は返事もせず、その夜からクリスと目も合わせなかった。
クリスもしつこく話し掛けてくることもなく、微妙な白い結婚は一年続いた。
あと一年このままなら、無事に離縁出来るだろう。

もう結婚はしない。
誰かを愛して、蔑ろにされて捨てられるのは真っ平だ。
私は自分の足で歩いて行く道を模索し、幾度か挫折した。
私に出来ることなんて、たかが知れている。

「はぁ、もう生きてくのも面倒だわ…」

「死ぬことだけは許さない。」

独り言を呟いていたのをクリスに聞かれてしまった。
どうしてこうなったか?の原因は、この人なのに。

「あなたが決めることではないでしょう?放っといてください。」

「本当に君は俺を愛してくれないのか?」

「この一年、何か変わりましたか?変わったのは、あなたを愛する気持ちが目減りしただけでした。もう自由にしてください。生きるも死ぬも私の選択ですから。」

背を向けて、部屋を出ようとした時、クリスに抱き締められた。

「今日、騎士は辞めてきた。時間は掛かったけど、君と生きたいんだ、クロエ!」

振り払おうと身を捩ったら、クリスに口付けられた。
それは、激しく甘く、私が一年前に欲しかったものだった。

「すまない。一年前…すぐには辞められなかったんだ。皇女に他国の皇太子を当てがって、やっと解放されたんだ。この身は純潔を守った。君と抱き合いたいから。」

大きな体を震わせて、涙声で語るクリス。
宮仕の苦労や苦しみを垣間見た瞬間かもしれない。

「離してください。」

哀れなこの男をどうしてやろうか。

「クロエ…本当に、もうダメなのか?」

溢れる涙に絆されちゃいけないのに。
あのどす黒い気持ちは消えないのに。

「馬鹿ね、あなたは。」

クリスを思い切り抱き締めて、口付けた。

「今度寂しい思いをさせたら、あなたを殺すわ。」

クリスは笑って、腰の短剣を差し出した。

「これを使うことは絶対にないと誓う。だけど、俺の気持ちだ。持っていてくれ。」

「分かりました。その覚悟、しかと受け取りました!」

そのままベッドに連れ去られ、私達は一年振りの初夜を迎えた。
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