【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた

紬あおい

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3.牙だけでなく、いろいろ抜かれた狼 ② *

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「まず、手を繋ぎましょう。私達、そんなことすらしたことないのよ?」

「そうだっけ?」

「嫌なら、はい、終了!」

「だめだ!」

クリスは、ゆっくり手を握って、私の目を見つめる。
そして、そっと指先に口付ける。
こうして見ると、本当に美男子だ。

「こんなあなたが見たかったのに…何で?何で私に冷たくしたの…」

クリスがあまりにも綺麗で涙が出てきた。
自分でも抑えられない感情。

「すまない。冷たくしたつもりはないんだ。君はいつも凛としているから、平気なんだと思ってた。甘えてたんだな、俺は…でも、断じて疚しいことは一つもない。」

「そうね…あなたは皇女を守って、私が転ぼうがワインをかけられようが、何も気付かない程に、ただ仕事してたんですもんね。………ごめんなさい…私、くどいですね。もういいです。大丈夫。忘れます…」

「他には?全部話してくれ。この際だ。全部教えて?過去は申し訳ないことをしていたが、今からはちゃんと聞く。クロエの信用を取り戻したいんだ。」

真剣に向き合ってくれる気がして、それから私は婚約中の一年と結婚してからの一年の二年分を全て話した。

「分かった。本当に申し訳ない。これについては責任を持って対処する。二度とこんな目には遭わせない。」

キラッと光った瞳に、苛烈のネオス公爵を見た気がした。
そして、不意に私はドキドキした。
胸がいっぱいで、また涙も溢れてくる。

「泣かないで…クロエ…」

「違うの…嬉しいの…クリスが味方なんだなって…」

涙を唇で受け、優しく抱き寄せるクリスに、耳元で囁く。

「今のあなた、好き。」

クリスは信じられないという顔をした後、顔をくしゃくしゃにして少し笑った。

「俺はどんなクロエも好きだ。」

優しく口付けて、角度を変える度に深くなる。
絡まる舌が熱くて心地良くて、座って居られない。
言葉なんか要らなくて、広げた両手は抱き締めるしかなくて、このまま幸せに浸りたい。

「ゆっくり、抱いていいか?」

私が頷くのと同時に、クリスはドレスを寛げた。
ちょっとぎこちない手つきに、本当に今まで何も無かったのかと安心する自分が居る。

「綺麗だな。手のひらサイズの胸がたまらなく愛おしい…」

「小さくて、ごめんなさい…」

「ちがーーうっ!これがいいんだ!!」

「えっ、ちょっと、落ち着いて!」

「あ、すまない。俺、大きい胸は気持ち悪いんだ…子どもの頃、押し付けられたり見せられたり、嫌悪感しかないんだ。だから、クロエは体も中身も俺の大好きなタイプなんだ。クロエにしか欲情しないんだよ…」

貧乳好きなのか。そりゃまたレアな人。
私は困ったように笑うしかない。

「そんなに私の体がお好きなの…変わった人ね…?」

「大好きだ。クロエだから余計に大好きなんだ。」

我慢出来ないと言わんばかりに、胸の蕾にかぶりつく。
ちゅっちゅっと夢中でしゃぶる姿は、ただの雄だ。

「クロエ、可愛い…クロエの全部が可愛過ぎる。」

充分に胸を堪能して、下に移り、膝裏を持って左右に開くと、恍惚の表情でゴクリと喉を鳴らす。

「あぁ、クロエの…」

じゅっと音を立てて、陰核と陰唇を同時に吸う。

「あぁん…んん…そ、こ、だめ…」

舌が陰唇を割って入ってくると、下腹に経験したことのない快感が押し寄せてくる。
私の手は、クリスの髪を掴み、腰を押し付けてしまう。

「クリスさまっ!だめっ、だめですっ!!」

舌の動きが早くなり、呆気なく私は達してしまった。
私がぼんやり見つめると、クリスは手の甲で口元を拭い、微笑んだ。
その顔は、とてもいやらしくて美しい。

「達したね。イくって言うんだよ。次は解すから。」

イったばかりなのに、長くて太い指が膣内に入ってくる。
騎士の手は、剣を持つので指も太いのかなと、ふと思った。

「痛くないか?濡れてるから、入りそうだけど…増やすね?」

二本に増えた指は、中を擦るように動いて、イったばかりの、私を翻弄する。

「ぃゃ…また、イ、イくっ…あぁぁ…」

ぐったりする私を見下ろして、クリスは肉棒を数回扱いた。
先端から滴り落ちそうな位、肉棒は唆り立っている。

「挿れるね。ゆっくり…」

下腹に苦しい位の圧を感じて、私は逃げたくなる。
ダメだとばかりに腰を掴まれ、どんどん肉棒を押し進める。

「半分入ったよ。」

浅い所をゆっくり抽送し、クリスは私の感触を確かめている。
溢れ出す蜜で滑りが良くなった時、グッと奥まで入ってきた。

「全部入った…めちゃくちゃにしたい位に気持ちいい…動いていいかな…?」

痛いけど、随分我慢させてしまったように感じて、私は頷いた。

「クロエ、クロエ!愛してる!!一緒に溶け合いたい…あぁ、気持ちいい…締め付けがっっ!!」

「はぁ、あぁん、また、またイっちゃうっ!!」

無我夢中で腰を打ち付け、唇を貪り、私をぎゅーっと抱き締めてクリスも果てた。
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