3 / 4
3.牙だけでなく、いろいろ抜かれた狼 ② *
しおりを挟む「まず、手を繋ぎましょう。私達、そんなことすらしたことないのよ?」
「そうだっけ?」
「嫌なら、はい、終了!」
「だめだ!」
クリスは、ゆっくり手を握って、私の目を見つめる。
そして、そっと指先に口付ける。
こうして見ると、本当に美男子だ。
「こんなあなたが見たかったのに…何で?何で私に冷たくしたの…」
クリスがあまりにも綺麗で涙が出てきた。
自分でも抑えられない感情。
「すまない。冷たくしたつもりはないんだ。君はいつも凛としているから、平気なんだと思ってた。甘えてたんだな、俺は…でも、断じて疚しいことは一つもない。」
「そうね…あなたは皇女を守って、私が転ぼうがワインをかけられようが、何も気付かない程に、ただ仕事してたんですもんね。………ごめんなさい…私、くどいですね。もういいです。大丈夫。忘れます…」
「他には?全部話してくれ。この際だ。全部教えて?過去は申し訳ないことをしていたが、今からはちゃんと聞く。クロエの信用を取り戻したいんだ。」
真剣に向き合ってくれる気がして、それから私は婚約中の一年と結婚してからの一年の二年分を全て話した。
「分かった。本当に申し訳ない。これについては責任を持って対処する。二度とこんな目には遭わせない。」
キラッと光った瞳に、苛烈のネオス公爵を見た気がした。
そして、不意に私はドキドキした。
胸がいっぱいで、また涙も溢れてくる。
「泣かないで…クロエ…」
「違うの…嬉しいの…クリスが味方なんだなって…」
涙を唇で受け、優しく抱き寄せるクリスに、耳元で囁く。
「今のあなた、好き。」
クリスは信じられないという顔をした後、顔をくしゃくしゃにして少し笑った。
「俺はどんなクロエも好きだ。」
優しく口付けて、角度を変える度に深くなる。
絡まる舌が熱くて心地良くて、座って居られない。
言葉なんか要らなくて、広げた両手は抱き締めるしかなくて、このまま幸せに浸りたい。
「ゆっくり、抱いていいか?」
私が頷くのと同時に、クリスはドレスを寛げた。
ちょっとぎこちない手つきに、本当に今まで何も無かったのかと安心する自分が居る。
「綺麗だな。手のひらサイズの胸がたまらなく愛おしい…」
「小さくて、ごめんなさい…」
「ちがーーうっ!これがいいんだ!!」
「えっ、ちょっと、落ち着いて!」
「あ、すまない。俺、大きい胸は気持ち悪いんだ…子どもの頃、押し付けられたり見せられたり、嫌悪感しかないんだ。だから、クロエは体も中身も俺の大好きなタイプなんだ。クロエにしか欲情しないんだよ…」
貧乳好きなのか。そりゃまたレアな人。
私は困ったように笑うしかない。
「そんなに私の体がお好きなの…変わった人ね…?」
「大好きだ。クロエだから余計に大好きなんだ。」
我慢出来ないと言わんばかりに、胸の蕾にかぶりつく。
ちゅっちゅっと夢中でしゃぶる姿は、ただの雄だ。
「クロエ、可愛い…クロエの全部が可愛過ぎる。」
充分に胸を堪能して、下に移り、膝裏を持って左右に開くと、恍惚の表情でゴクリと喉を鳴らす。
「あぁ、クロエの…」
じゅっと音を立てて、陰核と陰唇を同時に吸う。
「あぁん…んん…そ、こ、だめ…」
舌が陰唇を割って入ってくると、下腹に経験したことのない快感が押し寄せてくる。
私の手は、クリスの髪を掴み、腰を押し付けてしまう。
「クリスさまっ!だめっ、だめですっ!!」
舌の動きが早くなり、呆気なく私は達してしまった。
私がぼんやり見つめると、クリスは手の甲で口元を拭い、微笑んだ。
その顔は、とてもいやらしくて美しい。
「達したね。イくって言うんだよ。次は解すから。」
イったばかりなのに、長くて太い指が膣内に入ってくる。
騎士の手は、剣を持つので指も太いのかなと、ふと思った。
「痛くないか?濡れてるから、入りそうだけど…増やすね?」
二本に増えた指は、中を擦るように動いて、イったばかりの、私を翻弄する。
「ぃゃ…また、イ、イくっ…あぁぁ…」
ぐったりする私を見下ろして、クリスは肉棒を数回扱いた。
先端から滴り落ちそうな位、肉棒は唆り立っている。
「挿れるね。ゆっくり…」
下腹に苦しい位の圧を感じて、私は逃げたくなる。
ダメだとばかりに腰を掴まれ、どんどん肉棒を押し進める。
「半分入ったよ。」
浅い所をゆっくり抽送し、クリスは私の感触を確かめている。
溢れ出す蜜で滑りが良くなった時、グッと奥まで入ってきた。
「全部入った…めちゃくちゃにしたい位に気持ちいい…動いていいかな…?」
痛いけど、随分我慢させてしまったように感じて、私は頷いた。
「クロエ、クロエ!愛してる!!一緒に溶け合いたい…あぁ、気持ちいい…締め付けがっっ!!」
「はぁ、あぁん、また、またイっちゃうっ!!」
無我夢中で腰を打ち付け、唇を貪り、私をぎゅーっと抱き締めてクリスも果てた。
147
あなたにおすすめの小説
私の意地悪な旦那様
柴咲もも
恋愛
わたくし、ヴィルジニア・ヴァレンティーノはこの冬結婚したばかり。旦那様はとても紳士で、初夜には優しく愛してくれました。けれど、プロポーズのときのあの言葉がどうにも気になって仕方がないのです。
――《嗜虐趣味》って、なんですの?
※お嬢様な新妻が性的嗜好に問題ありのイケメン夫に新年早々色々されちゃうお話
※ムーンライトノベルズからの転載です
再構築って簡単に出来るもんですか
turarin
恋愛
子爵令嬢のキャリーは恋をした。伯爵次男のアーチャーに。
自分はモブだとずっと思っていた。モブって何?って思いながら。
茶色い髪の茶色い瞳、中肉中背。胸は少し大きかったけど、キラキラする令嬢令息の仲間には入れなかった。だから勉強は頑張った。両親の期待に応えて、わずかな領地でもしっかり治めて、それなりの婿を迎えて暮らそうと思っていた。
ところが、会ってしまった。アーチャーに。あっという間に好きになった。
そして奇跡的にアーチャーも。
結婚するまで9年かかった。でも幸せだった。子供にも恵まれた。
だけど、ある日知ってしまった。
アーチャーに恋人がいることを。
離婚はできなかった。子供のためにも、名誉の為にも。それどころではなかったから。
時が経ち、今、目の前の白髪交じりの彼は私に愛を囁く。それは確かに真実かもしれない。
でも私は忘れられない、許せない、あの痛みを、苦しみを。
このまま一緒にいられますか?
図書館の秘密事〜公爵様が好きになったのは、国王陛下の側妃候補の令嬢〜
狭山雪菜
恋愛
ディーナ・グリゼルダ・アチェールは、ヴィラン公国の宰相として働くアチェール公爵の次女として生まれた。
姉は王子の婚約者候補となっていたが生まれつき身体が弱く、姉が王族へ嫁ぐのに不安となっていた公爵家は、次女であるディーナが姉の代わりが務まるように、王子の第二婚約者候補として成人を迎えた。
いつからか新たな婚約者が出ないディーナに、もしかしたら王子の側妃になるんじゃないかと噂が立った。
王妃教育の他にも家庭教師をつけられ、勉強が好きになったディーナは、毎日のように図書館へと運んでいた。その時に出会ったトロッツィ公爵当主のルキアーノと出会って、いつからか彼の事を好きとなっていた…
こちらの作品は「小説家になろう」にも、掲載されています。
愛してないから、離婚しましょう 〜悪役令嬢の私が大嫌いとのことです〜
あさとよる
恋愛
親の命令で決められた結婚相手は、私のことが大嫌いだと豪語した美丈夫。勤め先が一緒の私達だけど、結婚したことを秘密にされ、以前よりも職場での当たりが増し、自宅では空気扱い。寝屋を共に過ごすことは皆無。そんな形式上だけの結婚なら、私は喜んで離婚してさしあげます。
私に義弟が出来ました。
杏仁豆腐
恋愛
優希は一人っ子で母を5年前に亡くしていた。そんな時父が新しい再婚相手を見つけて結婚してしまう。しかもその相手にも子供がいたのだった。望まない義弟が出来てしまった。その義弟が私にいつもちょっかいを掛けてきて本当にうざいんだけど……。らぶらぶあまあまきゅんきゅんな短編です。宜しくお願いします。
結婚したくない王女は一夜限りの相手を求めて彷徨ったら熊男に国を挙げて捜索された
狭山雪菜
恋愛
フウモ王国の第三王女のミネルヴァは、側室だった母の教えの政略結婚なら拒絶をとの言葉に大人しく生きていた
成人を迎える20歳の時、国王から隣国の王子との縁談が決まったと言われ人物像に反発し、結婚を無くすために策を練った
ある日、お忍びで町で買い物をしていると、熊男に体当たりされその行く先々に彼が現れた
酒場で話していると、お互い惹かれ合っている事に気が付き………
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
【完結】 愛されない私と隠れ家の妖精
紬あおい
恋愛
初恋は心に秘めたまま叶わず、結婚した人まで妹を愛していた。
誰にも愛されないと悟った私の心の拠りどころは、公爵邸の敷地の片隅にある小さな隠れ家だった。
普段は次期公爵の妻として、隠れ家で過ごす時は一人の人間として。
心のバランスを保つ為に必要だった。
唯一の友達だった妖精が、全てを明かした時、未来が開ける。
【完結】夢見たものは…
伽羅
恋愛
公爵令嬢であるリリアーナは王太子アロイスが好きだったが、彼は恋愛関係にあった伯爵令嬢ルイーズを選んだ。
アロイスを諦めきれないまま、家の為に何処かに嫁がされるのを覚悟していたが、何故か父親はそれをしなかった。
そんな父親を訝しく思っていたが、アロイスの結婚から三年後、父親がある行動に出た。
「みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る」で出てきたガヴェニャック王国の国王の側妃リリアーナの話を掘り下げてみました。
ハッピーエンドではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる