【完結】 その身が焼き切れるほどの嫉妬をあなたにあげる

紬あおい

文字の大きさ
45 / 50

45.合同結婚式

しおりを挟む

澄み渡る青空の下、いよいよ合同結婚式の日となった。
帝国からレナリアの両親のウィルヘルムとヘライザも駆け付け、皇族を代表し第一皇子のエステファン殿下も参列した。

結婚式はクロムウェル公国で最大のセント・ヴァレンティヌス教会で執り行われた。
荘厳な雰囲気の中、キルリードとジークフリードが神父様の前に立ち、新婦の入場を心待ちにしている。

ヴィヴィアンはカエルスト侯爵と、レナリアはウィルヘルム公爵と腕を組み、少し微笑みながら、新郎の元へと向かう。
純白のウェディングドレスは、レナリアもヴィヴィアンもそれぞれの想いを込めたデザインで、見る人を魅了させた。
一番魅了されたのは、もちろんそれぞれの夫であることは間違いない。

二度目の挙式のせいか、ジークフリードには余裕が見られ、反対にキルリードは緊張気味だ。
それでも、並んで立つ新郎達の美しさに、未婚の令嬢達は溜め息が出た。

式は、讃美歌の斉唱、聖書の朗読、誓いの言葉とスムーズに進行した。
指輪の交換は、緊張したキルリードに少し時間が掛かったが、誓いの口付けで皆は祝福ムードに包まれた。

ジークフリードとレナリアが傍で見守る中、キルリードとヴィヴィアンは、結婚証明書にサインし、結婚式は無事に終了した。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「いやー、緊張した!」

控え室に戻ると、キルリードが叫んだ。

「兄上のあんな顔、初めて見たよ。笑いを堪えるのが大変だったぞ?」

「だって、ヴィヴィアンは綺麗だし、もう、頭が追い付かない!」

それを見ていたヴィヴィアンが大笑いする。

「キルリード様、落ち着いてください。」

「でも、ヴィヴィアン様、本当に美しくて、私でも見惚れちゃいますよ?」

「やだ、レナリア様ったら!ジークフリード様のお顔を見て?デレデレよ?」

「あれは、定常運転です!」

「やだっ、レナリア様ったら!ふふ。」

すっかり仲良くなったレナリアとヴィヴィアンは、お互いに笑い合っている。
妻同士が仲良しで、ジークフリードもキルリードも嬉しく思う。

「兄上、待たせてすまなかったな。ヴィヴィアン様だから、きっと今まで待っててくれたんだろうな。」

「そうだな。ヴィヴィアンは肝が据わっているというか、おおらかというか。随分助けてくれたよ。レナリアに少し似てるかもな。まあ、レナリアは大胆、且つ天然と見た。」

「ああ…天然…確かにな。でも、レナリアは何をしても可愛いんだ。」

「いやいや、それを言うならヴィヴィアンも可愛いし、美しいぞ?」

兄弟の嫁自慢が始まり、それを見ていたそれぞれの妻は、やっぱり兄弟は似ているとコソコソ話をして、また笑った。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

【完結】 心だけが手に入らない 〜想い人がいるあなたは、いつか私を見てくれますか?〜

紬あおい
恋愛
完璧な夫には愛する人がいる。 心は手に入らないと分かっていても、愛することをやめられない妻。 そんな二人がいつしか心を通わせ、家族となっていくお話。

【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた

紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。 流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。 ザマアミロ!はあ、スッキリした。 と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?

【完結】 愛されない私と隠れ家の妖精

紬あおい
恋愛
初恋は心に秘めたまま叶わず、結婚した人まで妹を愛していた。 誰にも愛されないと悟った私の心の拠りどころは、公爵邸の敷地の片隅にある小さな隠れ家だった。 普段は次期公爵の妻として、隠れ家で過ごす時は一人の人間として。 心のバランスを保つ為に必要だった。 唯一の友達だった妖精が、全てを明かした時、未来が開ける。

歳の差を気にして去ろうとした私は夫の本気を思い知らされる

紬あおい
恋愛
政略結婚の私達は、白い結婚から離縁に至ると思っていた。 しかし、そんな私にお怒りモードの歳下の夫は、本気で私を籠絡する。

【完結】 女に弄ばれた夫が妻を溺愛するまで

紬あおい
恋愛
亡き兄の恋人を愛し、二年後に側室に迎えようと政略結婚をした男。 それを知りつつ夫を愛し、捨てられないように公爵夫人の地位を確立しようと執務に励む女。 そんな二人が心を通わせるまでのお話。

【完結】愛する人はあの人の代わりに私を抱く

紬あおい
恋愛
年上の優しい婚約者は、叶わなかった過去の恋人の代わりに私を抱く。気付かない振りが我慢の限界を超えた時、私は………そして、愛する婚約者や家族達は………悔いのない人生を送れましたか?

【完結】 初恋を終わらせたら、何故か攫われて溺愛されました

紬あおい
恋愛
姉の恋人に片思いをして10年目。 突然の婚約発表で、自分だけが知らなかった事実を突き付けられたサラーシュ。 悲しむ間もなく攫われて、溺愛されるお話。

【3話完結】 数多と唯一

紬あおい
恋愛
偉そうにしていた夫が実はチョロかったお話。

処理中です...