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8.口付け
しおりを挟む顔合わせの後、私の部屋にシステイン様が来ることになった。
システイン様たっての希望だ。
両親はシステイン様に絶大な信頼をおいているらしく咎めなかった。
「リシェの部屋に入るのは初めてだ。」
お茶を準備している傍で、システイン様は嬉しそうに話す。
隣り同士でソファに座り、お茶をひと口飲むと、ふうっと溜め息をつく。
「美味しいね。ローズヒップかな?」
「そうです。ハーブティーにもお詳しいのですか?」
「詳しい訳ではないよ。母上の好きなやつでしょう?たまに一緒に飲むんだ。」
システイン様は、少しテレて笑う。
「ソフィア様から受ける影響が大きくて。素敵な女性ですよね。憧れます。」
そんな方がお義母様になるなんて…と不思議に思う。
「リシェは不安や不満は無いのか?」
何でも言っていいよ?という雰囲気になる。
「ありません。未だに信じられない感じはしていますが。私でいいのかなぁと。」
「俺はリシェがいいよ。」
システイン様が急に横を向いて、ふわっと私を抱き締める。
「こういうの、慣れてね?」
突き飛ばしたりはしないけど、心臓が落ち着かなくなり、俯いてしまう。
「耳と顔が赤いよ?嫌じゃない?」
私が頷くと、システイン様は抱き締める腕を緩めて、頬に口付ける。
驚いて顔を上げると、顎を持ち上げて唇に口付けてきた。
「リシェ、可愛い…もっとしていい?」
甘い声で囁くこの人は、私の知っているシステイン様と同じ人なのだろうか。
戸惑う私を無視して、また口付ける。
今度は舌が入ってきて、私は体をビクッと震わせてしまう。
「怖くないから…受け止めて?」
舌が絡み合う口付けは、甘くてドキドキして、下腹の奥が切なくなる。
「何か…体が…へ、変です…」
息も絶え絶えにシステイン様に伝えると、クスッと笑った。
「リシェはほんとに可愛い。これからもっと慣れてもらうから、覚悟してね。」
「い、いろいろ初めてなので、手加減してくださいね?」
「大丈夫、俺も初めてだから。」
(え…?そうは見えない…)
本当に初めてなら、凄く嬉しい。
嬉しい気持ちが高まって、私からチュッと口付けたらシステイン様が動揺した。
「君って人は!煽ったらダメだょ…」
ぎゅっと抱き締めて、しばらくそのままで居た。
「男はね、衝動的に動くから、あんまり刺激するなよ?」
「私も気持ちが高まったらしてしまうかもしれません…そしたら、止めてください…さっきみたいになっちゃうから…」
システイン様は私を解放したかと思ったら、両手を顔に当てて真っ赤になった顔を隠していた。
「いろいろな仕草が女性に慣れているような気がして、ちょっと悲しかったのですが、シスも初めてなんだと今分かりました。何だか嬉しいです。」
「リシェは俺の忍耐力を試しているのか、それとも天然なのか…」
再び、ぎゅっと抱き締められる。
「すまない。許して…」
小さく囁いて、唇が重なると同時に舌が捩じ込まれる。
痛い位に舌を吸われて、私も夢中で絡める。
くちゅくちゅと湿った音と「あぁ…」と切なげな吐息が混じる。
こんなシステイン様、知らない。
私だけが知っているんだ。
この人が欲しい。
生まれて初めて感じる気持ちだった。
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