【完結】 言葉足らずな求婚 〜運命は勝手に回っていく、いや操られていく!?〜

紬あおい

文字の大きさ
31 / 42

32.食事会

しおりを挟む

聖剣の問題は全く解決しないままだが、そろそろ両家の食事会をしようかとシステイン様と相談していた。
そして、今日やっとそれが叶う。

私の両親とは隠れ家から帰宅した時に会っているが、双子の妹弟は久しぶりだ。
公爵邸に招待して、公爵夫妻とシステイン様、私で食事だ。

「ようこそいらっしゃいました。本日はごゆるりとお過ごしくださいませ。」

お義母様のソフィア公爵夫人が笑顔で出迎える。
お互いの両親達も親しいので、和やかな雰囲気に包まれる。

後をついて玄関を入る時、ヘイゼルが謝ってきた。

「お姉ちゃん、あの時、嘘ついてごめんね。何か焦れったくて、お姉ちゃんを一念発起させようとしたんだけど、やり方を間違えましたね…システインお義兄様に恋愛感情なんて感じたことないですから!そもそもお姉ちゃん以外、システインお義兄様の気持ち、皆、気付いてたからね?」

「心配掛けてごめんね。もう充分シスとも話し合ったし、そもそもお姉ちゃんが自分のことしか考えてなかったわ…だから、今まで通り、よろしくね!」

姉妹の仲直りはこんなもんだ。
内向的な私と社交的なヘイゼル。
元々べったりな姉妹ではないけど、ヘイゼルなりに私を思ってくれているのを感じた。

二人の様子を見て、ロドルフォが気を効かしたのか「行こうぜ!」と笑って私とヘイゼルの背中を叩いた。
この弟も自由気ままに見えて、なかなかの家族思いなのだ。

食事会では、結婚式の準備は概ね順調で、システイン様と私は指輪と衣装合わせが必要なこと位だった。
元々おしゃれに興味がない私は、システイン様と相談しながら選ぼうと思う。

「リシェが嫌でないなら、俺が選んだ物を身に付けてくれたら嬉しい!」

このところ、いろいろあって難しい顔ばかりしていたシステイン様が久々にノリノリだ。

「お願いしますね、シス。楽しみにしています。」

そうして、食事会がデザートの時間に差し掛かった頃、先程までとは違い、険しい表情のシステイン様が口を開いた。

「父上達は、聖剣についてご存知でしょうか?先日、殿下の指示でリシェと二人で聖剣に触ったら抜けてしまったんですよ。そして、金色のオーラみたいなものに包まれて、剣の主に選ばれてしまったようです。殿下は『陛下に相談してくる』と言ったきり音沙汰が無いし、調べても分からなくて。」

お互いの両親達が明らかに、やってもうた感を出した気配がした。
特にお義父様のハルドレッド公爵様は目が泳いでいる。

「父上?ご存知のようですね?」

射るような目付きでシステイン様に詰め寄られ、公爵様が語り出す。

本来なら皇族にその資格がある筈だが、ネーデルラント公爵家とモンテフォール伯爵家は、遡ると皇族の血が入っている。
それ故に皇宮の執務を担当しているが、稀に聖剣の主に選ばれることがある。
百年単位で遡れば、何名かは聖剣で他国を粛清した記録がある。
必ずしも両家の子息令嬢同士の婚姻が起因となるわけではないが、今回たまたま深く愛し合う二人が選ばれたのではないかと思う。
このタイミングで悪い噂が出ているラギラレア王国を粛清せよというお告げもあるかもしれない。

「何で俺達なんだよ…」

システイン様は疲れた顔をしている。

「シス、まだ何も起きていないのだから、まずいろいろ調べてみましょう。殿下ともお話していませんし。」

今は殿下を待たず、両家の情報網を駆使することにした。
ロクサリア王女の動きも含め、ヘイゼルの社交性が役に立つかもしれない。

並行して、結婚式を無事に迎えられるよう最善を尽くすことにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「幼馴染は、安心できる人で――独占する人でした」

だって、これも愛なの。
恋愛
幼い頃の無邪気な一言。 「お兄様みたいな人が好き」――その言葉を信じ続け、彼はずっと優しく隣にいてくれた。 エリナにとってレオンは、安心できる幼馴染。 いつも柔らかく笑い、困ったときには「無理しなくていい」と支えてくれる存在だった。 けれど、他の誰かの影が差し込んだ瞬間、彼の奥に潜む本音が溢れ出す。 「俺は譲らないよ。誰にも渡さない」 優しいだけじゃない。 安心と独占欲――その落差に揺さぶられて、エリナの胸は恋に気づいていく。 安心できる人が、唯一の人になるまで。 甘く切ない幼馴染ラブストーリー。

溺愛のフリから2年後は。

橘しづき
恋愛
 岡部愛理は、ぱっと見クールビューティーな女性だが、中身はビールと漫画、ゲームが大好き。恋愛は昔に何度か失敗してから、もうするつもりはない。    そんな愛理には幼馴染がいる。羽柴湊斗は小学校に上がる前から仲がよく、いまだに二人で飲んだりする仲だ。実は2年前から、湊斗と愛理は付き合っていることになっている。親からの圧力などに耐えられず、酔った勢いでついた嘘だった。    でも2年も経てば、今度は結婚を促される。さて、そろそろ偽装恋人も終わりにしなければ、と愛理は思っているのだが……?

ハイスペックでヤバい同期

衣更月
恋愛
イケメン御曹司が子会社に入社してきた。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~

星森
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。 王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。 そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。 これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。 ⚠️本作はAIとの共同製作です。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

お試し派遣は、恋の始まり。

狭山雪菜
恋愛
川上未宇は、23歳社会人。 大学時代にお世話になっていた派遣会社から、人数が足りないから現場に出てくれと泣きつかれヘルプとして3日間限定で出ることになった。 数を数えるだけの簡単な仕事は、意外とすぐに慣れたのだが、なぜか男性社員の岸谷さんに気に入られて…? こちらの作品は「小説家になろう」でも投稿しております。

処理中です...