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12.本物の愛を Side フィーロ
しおりを挟む「俺には愛する女性がいます。心はその女性に捧げました。お互いの家の為に、初夜だけでなく、子どもも授かりたいし、レイシアとも信頼関係は築きたいと思います。ただ、愛せないと思うので、心だけは期待しないでください。」
最初にレイシアに言った言葉。
思い出すだけで酷い。
ただの糞野郎だ。
謝っても謝りきれないことが分かるから、言葉と態度で修正するこ十年。
子ども達と取り合いになる位にレイシアを愛している。
家の為に、取り敢えず形だけでも仲の良い夫婦で在りたいと、いろいろ調べて贈り物をしてみたり、なるべく一緒に過ごす時間を作ってみた。
そんなことをしていると、だんだんと歪な形が整ってくるものだ。
夫婦の閨事は、最初から素晴らしかった。というと語弊があるが、快楽はもちろんだが、レイシアが可愛いのだ。
大胆な時も、頬を染めて恥じらう時も、全てが可愛くて、後からこの気持ちを愛おしいと呼ぶのだと理解した。
あの頃は、俺が生涯愛する人はアンジュだけだと本気で思っていた。
年上で妖艶なアンジュに夢中だった。
アンジュも俺を愛していると思っていた。
潤んだ瞳で見つめられると、この女の全てを奪い尽くしたいと思った。
でも、廃嫡を選択したジョゼフに、強引に口説き落とされ、あっさり出て行った。
新婚旅行先で偶然を装って再会したが、実際アンジュに会って抱き寄せたら、違う生き物に見えてしまった。
あの日と同じ潤んだ瞳は、もう魅力的に見えなかった。
言い訳も、謝罪すらなく、流れに身を任せる三文小説のヒロインのように見えたからだ。
この人は何も自分で決断しない。
ただ雰囲気に流される人だと。
その時、既に俺はレイシアが好きだったのだろう。
レイシアは自分で決断して、その責任を果たす人だ。
なのに、迂闊にもレイシアを傷付けてしまった。
レイシアと話すうちに、愛って何だ?と思うようになった。
レイシアは、愛に正解はないという。
でも俺は、確かに正解は分からないが、間違いは自覚出来たし、正せると思った。
もう俺は間違わない。
レイシアと子ども達と幸せになる為に、最善を尽くす。
言わなくても分かるだろう?なんて怠惰なことはしない。
言葉と行動で、出来る限り伝えていく。
「あなたの愛が欲しいです…」
そう言ってくれたレイシアに、今伝えるとしたら…
「俺もあなたの愛が欲しいです。死ぬまで愛し続けます。」
胸を張って、そう答えられる。
それを受け止め微笑むレイシアに、俺の心は少年のようにときめき、これが愛なのだと、また幸せに浸る。
【完】
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
これにて完結となります
ここまでお読みいただき、ありがとうございました🙇♀️
この後、18時より連載スタートします
タイトル
愛されない私と隠れ家の妖精
お時間ございましたら、またよろしくお願い申し上げます😊💕
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