75 / 394
65.【タコパで発覚!?新事実!】
しおりを挟む桂樹「うめぇ。三木、シェフ呼んでくれ」
三木「こちらシェフの…って、リオお前ほんとそれ好きだな……ガクがいないから無理だぞ」
今回のタコパは各々好きに摘めるよう立食形式だ。
ノーマルなたこ焼きを口に入れた瞬間、3年の先輩達は謎のノリを繰り広げている。
ガクって誰だと思うものの、どうやらその3人で美味いものを食べたら必ずやるお決まりのノリらしい。
2人の反応を見る限りかなり美味しいようで良かったと胸を撫で下ろす。
梅生「あっつ…あ、おいしい!」
蘭世「うま!!何だよ普通に美味いじゃん!」
年功序列を意識し2年が口にしたのを確認してから俺も1口食べるが店と変わらない出来栄えに驚く。
美味いな……外はカリカリで中はふわっと……。
横を見るとこのたこ焼きを作った蓮池が焼き方に並々ならぬこだわりを見せ、更に追加で新しいのを焼いていた。
焼く合間に2個ずつたこ焼きを口に運ぶ姿を見て、手伝おうか?と声を掛けたいが少し戸惑う。
何か言われるのが嫌……とかではなく、単純に蓮池の目がキマってて怖いのだ。
夕太「むぅあさうぉみ」
隣の柊がぽいぽいと2個もたこ焼きを頬張りながら躊躇している俺の肩をつついた。
夕太「焼くのはでんちゃんに任せよう。どうせほとんどでんちゃんが食べるんだから」
そう言うと柊はたこ焼きをまた頬に詰めるが、やって貰ってばかりは良くない気がする。
雅臣「……蓮池、変わって欲しい時言ってくれ」
念の為ひと声かけるが、無視されたので気にせず俺も食べることにした。
三木「蓮池、追試はどうだった」
楓「………微妙です」
追試の勉強会で1番親身に教えていたのが三木先輩だから出来具合が気になるのは当然だろう。
答えに間があったのは躊躇した感じではなく、たこ焼きを焼く音で三木先輩の声がよく聞こえなかったみたいだ。
……微妙、か。
確かに手応えがあった顔つきじゃなかったよなと追試後の蓮池の様子を思い出していると、
蘭世「はー!?微妙ってなんだよ!」
楓「あ!!ちょっと!!」
せっかく教えたのに答え方が気に入らないのか、梓蘭世は蓮池の皿から出来上がったばかりのたこ焼きを奪い取る。
桂樹「あ、そだ、柊」
夕太「ふぁい」
ハムスターのように2個も一気に詰め込む柊を見て桂樹先輩は苦笑した。
桂樹「お前その髪で地毛ってどっかの血混ざってんの?」
柊はたこ焼きを飲み込みながらうん、と頷いた。
夕太「俺クォーターなんですよ。パピーがフランスと日本のハーフで母ちゃんが純ジャパ」
な……!!
ふ、フランス……!?!?
クォーター……!?!?
衝撃の発言に、思わず柊をガン見した。
柊は気にせず更にたこ焼きを頬張るが、詰め込みすぎたのか喉につかえてドンドン強く胸を叩く。
俺は慌てて目の前の烏龍茶を紙コップに注いで渡すと涙目の柊は音を鳴らして一気に飲み干した。
夕太「し、死ぬかと思った、……」
雅臣「……柊。前から言おうと思ってたけど、お前はよく噛んで飲み込んでから話をした方がいい」
もう1杯注いでやったのを勢いよく飲み干した柊は、唇を尖らせ上目遣いで頷いた。
夕太「わかったよ」
目を伏せると柊の睫毛はとても長く海外アニメのカナリアそっくりだというのにこいつの中間の英語は満点、他の教科も軒並み90点台を連発していて人は見かけに寄らないと改めて思い知らされた。
父親がフランス出身ならもしかしてフランス語もできたりするのかと密かに柊の底知れなさに怯える。
桂樹「うーわっ、じゃあこれまじで地毛?羨ましすぎる」
蘭世「桂樹さん黒似合わねぇもんな」
桂樹「うるせーよ!まあ金もかかるしそろそろ大人しく黒にするかなぁ……」
桂樹先輩と梓蘭世の2人に囲まれた柊はその発言を聞いて、突然何かを思い出したかのように箸を持った手を挙げた。
夕太「すぅおぅだ、ずりおんすぇんぷわい」
桂樹「どした?食ってからでいいぜ」
さっき言ったばかりなのにまたハムスターのように詰め込んで話す柊は、急いで何回か噛んでごくんと飲み込むとにっと笑った。
夕太「俺ら合唱部の大会見に行きます!」
…………………。
______なっ……!!
な、何で今ここで言うんだ!!
柊が俺の腕を組み、なっ?と笑う姿は物凄く友達っぽくて嬉しい……が、そんな事考えている場合ではない。
いつかは行くと伝えるつもりだったが、それは桂樹先輩1人の時に…と後悔してももう遅い。
早く柊にそう言わなかった自分が悪いのだ。
雅臣「お、俺と柊で行こうって話してて」
腕を組まれているので、潔く頑張ってくださいと桂樹先輩に頭を下げた。
桂樹「え、そうなん?1年で来る感じ?」
楓「あー、俺は行けないです。家のイベントあるんで」
蓮池はそう伝えながらも様々な種類のたこ焼きを、2個ずつ大きく口を開けて入れていく。
柊も蓮池も幼馴染だけあってたこ焼きの食べ方がよく似てる。
桂樹「へぇ、てかお前イベント会場どこ?今回大会参加者以外にも人が来て混むって事前に聞いてんだけど……まさか同じか?」
楓「うちは金山駅の市民会館ロビーです」
桂樹「一緒じゃん!」
楓「俺メインの若手で展示するんですよ」
……そんなすごい事をサラリと言う蓮池に驚いた。
そもそも金山がどこなのかも分からないが、合唱部の大会も行われる程の広い市民会館のロビーにメインで花を飾るなんて。
跡継ぎとはいえ俺と変わらない歳でメインを張るなんて、大役を任される責任が凄いよな。
柊が言ってた〝ストレス〟は確かにすごそうだ。
楓「一通り挨拶が終わったら俺も覗けるかもしれません」
桂樹「いやいや、無理すんなよ。家業の方優先しろって…お前らも無理しなくていいぞ?」
……これはもしかしたら来なくていいって意味なんだろうか。
俺と柊を見る桂樹先輩の表情からは何も伺えない。
______でも。
雅臣「いや……あの、いつも桂樹先輩良くしてくれるし、素直に応援しに行きたいな、と、」
上手く言えないが一生懸命気持ちを伝えることにした。
桂樹先輩は一瞬驚いた顔をしたが、勢いよく俺の肩に抱きつき後ろ髪ををガシガシ掻く。
桂樹「雅臣…お前ほんと可愛いな!」
桂樹先輩も何かの香水をつけてるんだろうか。
梓蘭世の甘い香りとは違う爽やかなグリーンの香りが先輩にピッタリだ。
蘭世「出たよ、桂樹さんすぐ贔屓する」
べ、と舌を出し呆れ顔の梓蘭世の言葉に、尊敬する先輩に贔屓されるなんてかなり嬉しいぞとこっそり喜びを噛み締める。
桂樹「お前は1年の時から可愛くねーから安心しろよ、愛嬌ないと売れねーぞ」
三木「こなれ感は良くない、蘭世の売り方は__」
蘭世「あーだのこーだうるせーな…」
すかさず梓蘭世の売り方について戦略を述べようとする三木先輩に梓蘭世がアホらしいとそっぽを向いた。
雅臣「あ、梓ら、梓先輩は綺麗なんで愛嬌とか要らないんじゃ……」
俺も思い切って自分の意見を述べてみると、全員が目を見合せたかと思えば腹を抱えてゲラゲラ笑いだした。
な、何かおかしい事言ったか!?
俺から手を離した桂樹先輩は特に大ウケしていて、梓蘭世をからかってつついた。
桂樹「お前復活したら雅臣みたいなファンつくんじゃね?」
俺みたいなファン?どういう意味だ?
首を傾げていると、
楓「梓蘭世って陰キャウケいいんですね」
蓮池がチラと俺をバカにした目で見たのでカチンときた。
雅臣「お前な…!!毎回俺のこと陰キャだって言うけど俺は……そ、そこまで陰キャじゃねぇ!!」
___い、言ったぞ。
陰キャ陰キャと皆の前でうるさい蓮池についに言ってやった。
俺が自分でそう思うのと他人が言うのとでは訳が違う。
分かってはいても言われたくない。こっちだって必死に色々挽回しようと努力してるんだ。
雅臣「陰キャって言うなよ」
さっきまで賑やかだった調理室がシンと静まり返る。
___が、梓蘭世が吹き出した。
梅生「ら、蘭世やめろよ」
蘭世「……っ、だ、だって梅ちゃんあいつ、」
梅生 「蘭世止めろ、笑うなってば!」
何が面白いのか、梓蘭世は手を叩いて息を詰まらせて大笑いしている。
そのつま先を一条先輩がギュッと踏みつけて、痛い痛いと大騒ぎする梓蘭世の姿をどこかで見たことがある気がした。
雅臣「あの……」
ただ前の時と少し違うのは、一条先輩が俺から目を逸らして何のフォローもしないということだが……。
……。
…………。
…………え?
俺が反論すると思ってなかったのか蓮池が眉根を寄せてるのは良しとして、誰も『そんな事ない』と一言も言わない事に焦りだす。
ぼっち、コミュ障までは受け入れたが、毎朝学校に行く前に鏡を見ながら陰キャはちょっと違うよな、と信じていなかった。
し、しかし、この感じは……。
三木先輩を見ても無言でたこ焼きを食べているだけで、わざとなのか目も合わせないし、一条先輩もさっと目を逸らす。
……まさか、蓮池の言う通りだと言うことか?
お、俺が陰キャだと全員がうっすら思っていたのか?
______俺はやっぱり陰キャなのか!?
21
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】
彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。
高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。
(これが最後のチャンスかもしれない)
流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。
(できれば、春樹に彼女が出来ませんように)
そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。
*********
久しぶりに始めてみました
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 一月十日のアルファポリス規約改定を受け、サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をこちらへ移しましたm(__)m サブ垢の『バウムクーヘンエンド』はこちらへ移動が出来次第、非公開となりますm(__)m)
【完結】後悔は再会の果てへ
関鷹親
BL
日々仕事で疲労困憊の松沢月人は、通勤中に倒れてしまう。
その時に助けてくれたのは、自らが縁を切ったはずの青柳晃成だった。
数年ぶりの再会に戸惑いながらも、変わらず接してくれる晃成に強く惹かれてしまう。
小さい頃から育ててきた独占欲は、縁を切ったくらいではなくなりはしない。
そうして再び始まった交流の中で、二人は一つの答えに辿り着く。
末っ子気質の甘ん坊大型犬×しっかり者の男前
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる