山王学園シリーズ〜カサブランカの君へ〜

七海セレナ

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65.【タコパで発覚!?新事実!】

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桂樹「うめぇ。三木、シェフ呼んでくれ」

三木「こちらシェフの…って、リオお前ほんとそれ好きだな……ガクがいないから無理だぞ」


今回のタコパは各々好きに摘めるよう立食形式だ。

ノーマルなたこ焼きを口に入れた瞬間、3年の先輩達は謎のノリを繰り広げている。

ガクって誰だと思うものの、どうやらその3人で美味いものを食べたら必ずやるお決まりのノリらしい。

2人の反応を見る限りかなり美味しいようで良かったと胸を撫で下ろす。


梅生「あっつ…あ、おいしい!」

蘭世「うま!!何だよ普通に美味いじゃん!」


年功序列を意識し2年が口にしたのを確認してから俺も1口食べるが店と変わらない出来栄えに驚く。

美味いな……外はカリカリで中はふわっと……。

横を見るとこのたこ焼きを作った蓮池が焼き方に並々ならぬこだわりを見せ、更に追加で新しいのを焼いていた。

焼く合間に2個ずつたこ焼きを口に運ぶ姿を見て、手伝おうか?と声を掛けたいが少し戸惑う。

何か言われるのが嫌……とかではなく、単純に蓮池の目がキマってて怖いのだ。


夕太「むぅあさうぉみ」


隣の柊がぽいぽいと2個もたこ焼きを頬張りながら躊躇している俺の肩をつついた。


夕太「焼くのはでんちゃんに任せよう。どうせほとんどでんちゃんが食べるんだから」

そう言うと柊はたこ焼きをまた頬に詰めるが、やって貰ってばかりは良くない気がする。


雅臣「……蓮池、変わって欲しい時言ってくれ」


念の為ひと声かけるが、無視されたので気にせず俺も食べることにした。


三木「蓮池、追試はどうだった」

楓「………微妙です」


追試の勉強会で1番親身に教えていたのが三木先輩だから出来具合が気になるのは当然だろう。

答えに間があったのは躊躇した感じではなく、たこ焼きを焼く音で三木先輩の声がよく聞こえなかったみたいだ。

……微妙、か。

確かに手応えがあった顔つきじゃなかったよなと追試後の蓮池の様子を思い出していると、


蘭世「はー!?微妙ってなんだよ!」

楓「あ!!ちょっと!!」


せっかく教えたのに答え方が気に入らないのか、梓蘭世は蓮池の皿から出来上がったばかりのたこ焼きを奪い取る。


桂樹「あ、そだ、柊」

夕太「ふぁい」


ハムスターのように2個も一気に詰め込む柊を見て桂樹先輩は苦笑した。


桂樹「お前その髪で地毛ってどっかの血混ざってんの?」


柊はたこ焼きを飲み込みながらうん、と頷いた。


夕太「俺クォーターなんですよ。パピーがフランスと日本のハーフで母ちゃんが純ジャパ」


な……!!

ふ、フランス……!?!?

クォーター……!?!?


衝撃の発言に、思わず柊をガン見した。

柊は気にせず更にたこ焼きを頬張るが、詰め込みすぎたのか喉につかえてドンドン強く胸を叩く。

俺は慌てて目の前の烏龍茶を紙コップに注いで渡すと涙目の柊は音を鳴らして一気に飲み干した。


夕太「し、死ぬかと思った、……」

雅臣「……柊。前から言おうと思ってたけど、お前はよく噛んで飲み込んでから話をした方がいい」


もう1杯注いでやったのを勢いよく飲み干した柊は、唇を尖らせ上目遣いで頷いた。


夕太「わかったよ」


目を伏せると柊の睫毛はとても長く海外アニメのカナリアそっくりだというのにこいつの中間の英語は満点、他の教科も軒並み90点台を連発していて人は見かけに寄らないと改めて思い知らされた。

父親がフランス出身ならもしかしてフランス語もできたりするのかと密かに柊の底知れなさに怯える。


桂樹「うーわっ、じゃあこれまじで地毛?羨ましすぎる」

蘭世「桂樹さん黒似合わねぇもんな」

桂樹「うるせーよ!まあ金もかかるしそろそろ大人しく黒にするかなぁ……」


桂樹先輩と梓蘭世の2人に囲まれた柊はその発言を聞いて、突然何かを思い出したかのように箸を持った手を挙げた。


夕太「すぅおぅだ、ずりおんすぇんぷわい」

桂樹「どした?食ってからでいいぜ」


さっき言ったばかりなのにまたハムスターのように詰め込んで話す柊は、急いで何回か噛んでごくんと飲み込むとにっと笑った。


夕太「俺ら合唱部の大会見に行きます!」


…………………。


______なっ……!!


な、何で今ここで言うんだ!!

柊が俺の腕を組み、なっ?と笑う姿は物凄く友達っぽくて嬉しい……が、そんな事考えている場合ではない。

いつかは行くと伝えるつもりだったが、それは桂樹先輩1人の時に…と後悔してももう遅い。

早く柊にそう言わなかった自分が悪いのだ。


雅臣「お、俺と柊で行こうって話してて」


腕を組まれているので、潔く頑張ってくださいと桂樹先輩に頭を下げた。


桂樹「え、そうなん?1年で来る感じ?」

楓「あー、俺は行けないです。家のイベントあるんで」


蓮池はそう伝えながらも様々な種類のたこ焼きを、2個ずつ大きく口を開けて入れていく。

柊も蓮池も幼馴染だけあってたこ焼きの食べ方がよく似てる。


桂樹「へぇ、てかお前イベント会場どこ?今回大会参加者以外にも人が来て混むって事前に聞いてんだけど……まさか同じか?」

楓「うちは金山かなやま駅の市民会館ロビーです」

桂樹「一緒じゃん!」

楓「俺メインの若手で展示するんですよ」


……そんなすごい事をサラリと言う蓮池に驚いた。

そもそも金山がどこなのかも分からないが、合唱部の大会も行われる程の広い市民会館のロビーにメインで花を飾るなんて。

跡継ぎとはいえ俺と変わらない歳でメインを張るなんて、大役を任される責任が凄いよな。

柊が言ってた〝ストレス〟は確かにすごそうだ。


楓「一通り挨拶が終わったら俺も覗けるかもしれません」

桂樹「いやいや、無理すんなよ。家業の方優先しろって…お前らも無理しなくていいぞ?」


……これはもしかしたら来なくていいって意味なんだろうか。

俺と柊を見る桂樹先輩の表情からは何も伺えない。


______でも。


雅臣「いや……あの、いつも桂樹先輩良くしてくれるし、素直に応援しに行きたいな、と、」


上手く言えないが一生懸命気持ちを伝えることにした。

桂樹先輩は一瞬驚いた顔をしたが、勢いよく俺の肩に抱きつき後ろ髪ををガシガシ掻く。


桂樹「雅臣…お前ほんと可愛いな!」


桂樹先輩も何かの香水をつけてるんだろうか。

梓蘭世の甘い香りとは違う爽やかなグリーンの香りが先輩にピッタリだ。


蘭世「出たよ、桂樹さんすぐ贔屓する」


べ、と舌を出し呆れ顔の梓蘭世の言葉に、尊敬する先輩に贔屓されるなんてかなり嬉しいぞとこっそり喜びを噛み締める。


桂樹「お前は1年の時から可愛くねーから安心しろよ、愛嬌ないと売れねーぞ」

三木「こなれ感は良くない、蘭世の売り方は__」

蘭世「あーだのこーだうるせーな…」


すかさず梓蘭世の売り方について戦略を述べようとする三木先輩に梓蘭世がアホらしいとそっぽを向いた。


雅臣「あ、梓ら、梓先輩は綺麗なんで愛嬌とか要らないんじゃ……」


俺も思い切って自分の意見を述べてみると、全員が目を見合せたかと思えば腹を抱えてゲラゲラ笑いだした。

な、何かおかしい事言ったか!?

俺から手を離した桂樹先輩は特に大ウケしていて、梓蘭世をからかってつついた。


桂樹「お前復活したら雅臣みたいなファンつくんじゃね?」


俺みたいなファン?どういう意味だ?

首を傾げていると、


楓「梓蘭世って陰キャウケいいんですね」


蓮池がチラと俺をバカにした目で見たのでカチンときた。


雅臣「お前な…!!毎回俺のこと陰キャだって言うけど俺は……そ、そこまで陰キャじゃねぇ!!」



___い、言ったぞ。

陰キャ陰キャと皆の前でうるさい蓮池についに言ってやった。

俺が自分でそう思うのと他人が言うのとでは訳が違う。

分かってはいても言われたくない。こっちだって必死に色々挽回しようと努力してるんだ。


雅臣「陰キャって言うなよ」


さっきまで賑やかだった調理室がシンと静まり返る。


___が、梓蘭世が吹き出した。



梅生「ら、蘭世やめろよ」

蘭世「……っ、だ、だって梅ちゃんあいつ、」

梅生  「蘭世止めろ、笑うなってば!」


何が面白いのか、梓蘭世は手を叩いて息を詰まらせて大笑いしている。

そのつま先を一条先輩がギュッと踏みつけて、痛い痛いと大騒ぎする梓蘭世の姿をどこかで見たことがある気がした。


雅臣「あの……」


ただ前の時と少し違うのは、一条先輩が俺から目を逸らして何のフォローもしないということだが……。

……。

…………。

…………え?


俺が反論すると思ってなかったのか蓮池が眉根を寄せてるのは良しとして、誰も『そんな事ない』と一言も言わない事に焦りだす。

ぼっち、コミュ障までは受け入れたが、毎朝学校に行く前に鏡を見ながら陰キャはちょっと違うよな、と信じていなかった。

し、しかし、この感じは……。

三木先輩を見ても無言でたこ焼きを食べているだけで、わざとなのか目も合わせないし、一条先輩もさっと目を逸らす。

……まさか、蓮池の言う通りだと言うことか?

お、俺が陰キャだと全員がうっすら思っていたのか?


______俺はやっぱり陰キャなのか!?


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